「日本の財政政策の可塑性は本当に小さくなっている」

 マニフェストで政府予算の組み換えを標榜している民主党による政権は、最初から予算編成に取り組むのはこれで2回目。

 各省庁一律で政策的経費を1割カットしても、各省庁の公務員の数はほとんど変わっていなければ、法令の数も変わっていない。*1

 これでは、法令が実行される政策的行政のサービスの質は、一様に、劣化する。選択と集中、が、ない。集中がないから、どこの分野も、腐りかねない。

 企業のリストラで、すべての事業部に対して、投資や売上高のポートフォリオの組み替えを、一定割合のカットを一律に課すなんてありえない。組み替えるなら、予算だけでなく、事業部自体の編成も社員数にも手を付けるでしょう。

 一方で、政府は、公務員の身分が保障されているため、その数の調整を過激に行うことはできない。そして、政府にとっての事業部である省庁は、それぞれの役所を定義づけた法律があり、その役所の仕事を定めた法律があり、省庁の組み替えはできない(これが自治体なら、条例だから首長のリーダーシップ次第なのだが。)

http://d.hatena.ne.jp/what_a_dude/20110824/p1

… 私が切なさを感じたのは、法律によって支出が義務付けられている義務的経費を除いた一般歳出の1割が2兆円ない、という点です。いや、はっきり言って、日本の財政政策の可塑性は本当に小さくなっているのがもう明らかなのですよ。

… 2006年から見れば一般会計予算は12兆円ほど膨らんだわけですが、その殆ど全てが国債費(3兆円)、社会保障費(8兆円)、地方交付税(2兆円)なわけです*2国債費は3兆増えた、と言ってもその間に金利は0.5%ほど下がっていますのでヤバさは推して知るべしでしょうし、社会保障費も高齢化人口のピークが2040年代であることを考えるともう今の段階でヒーコラ言っててどうすんの?って話なわけです。

*1:政党交付金について、1年前にhttp://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/440732/という記事があったが、結局聖域のままなのだろうか?

*2:これらが、いわゆる義務的経費。