帆船とは、船舶の種類のうち、帆に風を受けて動力とするものの総称である。
帆船は、1~4本ほど(場合によってはもっと多く)のマストに帆布(キャンバス)などによって作られた帆を張り、それに風を受けることで水上を進んだり、方向転換したりを行う。帆のみに動力を依存している帆船は皆無で、大抵補助としてオールや錨、曳き舟などを利用する。
帆には大きく分けて横帆と縦帆があり、前者は主に追い風を受けての推進に用いられ、後者は間切りを始めとした様々な操船に用いられた。
蒸気船が登場するまで人類の水上航行手段は主にオールによる人力か、潮流を利用して「流される」航法、そして帆などによる風力を利用したものだった。このうち、風力を利用する為に帆を備えているものを帆船という。
おそらく人類文明のかなり初期から「船」という乗り物は利用されており、その動力としての風力もまた利用されていたと考えられるが、いつから「帆船」が生まれたかは定かではない。だが、少なくとも紀元前数千年ごろから帆船は存在していたようである。
船舶技術は地球上の各文明で様々な発展をしていったが、大規模・長距離の航海を実現するにあたって、人力よりもはるかに大きな力を利用でき、かつ潮流よりも融通が利く風力が最も重要な動力となっていった。特に、風上に向かって「間切る」技術が発見されると帆船による航海技術は飛躍的に高まって行く。
アラブのダウ船、鄭和の宝船など様々な帆船が世界各地で生まれたが、西洋においてキャラック船が発明され、いわゆる大航海時代が始まるに至って世界の海を帆船が埋め尽くすようになるに至る。
その後、制海権がヘゲモニーの獲得に必要不可欠になると軍艦としての機能が重視されるようになり、ガレオン船、戦列艦、フリゲートといった種類の帆船が生まれて行く。
産業革命期に至り、軍艦の主体が蒸気動力の装甲艦に移っても帆船は快速船として命脈を保ったが、やがて蒸気船に海の主役の座を明け渡すことになる。現在では、主に個人用の中小型船舶としてや、実用性より文化的な役割を期待した運用にとどまっている。
原義の帆船からは外れるが、恒星風や恒星光、レーザー照射などを展開した「帆」で受けて推進力とする宇宙船が構想、研究されている。SF作品中に登場する未来技術の一種であったが、JAXAによる光帆船「IKAROS」によって世界で初めて太陽光による推進が成功した。
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/23(月) 10:00
最終更新:2024/12/23(月) 10:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。