マルカラスカル(Maruka Rascal)とは、2002年生まれの日本の競走馬。黒鹿毛の牡馬。
断然人気に支持された2008年中山大障害での逸走も印象深い、障害黄金世代の代表の1頭。
主な勝ち鞍
2006年:中山大障害(J-GⅠ)
2008年:中山グランドジャンプ(J-GⅠ)
父グラスワンダー、母トレアンサンブル、母父*トニービンという血統。
父は史上初のグランプリ3連覇を果たした、黄金世代こと1998年クラシック世代の「怪物2世」。種牡馬としてもスクリーンヒーローやアーネストリーを輩出し、孫にモーリスが出たことで令和現在、黄金世代ではサイアーラインが一番安泰だったりする。マルカラスカルは初年度産駒の1頭。
母は2戦未勝利だが、父に90年代を代表する名種牡馬*トニービン、母に80年代の女傑ダイナアクトレスをもち、半兄にステージチャンプ、半姉にプライムステージと2頭の重賞馬がいる良血である。マルカラスカルは第3仔。
いとこに前述したスクリーンヒーロー(母の半姉ランニングヒロインの産駒)がいる。
2002年5月3日、社台ファームで誕生。オーナーはマルカシェンクなど「マルカ」冠名を用いた河長産業。
2005年クラシック世代はJ-GⅠ馬が4頭、この世代で中山大障害を5連覇した障害黄金世代である。
馬名意味は「冠名+いたずらっ子」と登録されている。『あらいぐまラスカル』が由来だろう。
オグリキャップやネオユニヴァースで知られる、栗東の瀬戸口勉厩舎に入厩。同厩の同期にラインクラフトがいた。2004年10月23日、福永祐一を鞍上に京都・芝1400mの新馬戦でデビューし3着。中1週で芝1600mの未勝利戦に向かい2着、中1週で芝1400mに戻してまた2着。連闘でダート1400mの未勝利戦を使って勝ち上がる。
一休みして2月のダート1400mの平場500万下で復帰、また中1週での出走を重ねて3戦目で勝ち抜け。さらに中2週で芝1400mのマーガレットS(OP)、ダートに戻って中2週で端午S(OP)、中2週で昇竜S(OP)、中1週でユニコーンS(GⅢ)とかなりの使い詰めで出走を重ねたが、端午Sの5着が最高とオープンの壁には跳ね返された。
さらに中1週で自己条件の1000万下に戻り、中1週の2戦目で勝ち抜け。中1週で北九州記念(GⅢ)にて芝再挑戦するも9着。使いすぎでは?
さすがにここで一息入れて10月の京都・ダート1800mのエニフS(OP)に向かったが12着。ここで早くも平地に見切りを付け、障害競走に転向することになった。
2005年12月3日、阪神の障害未勝利戦で仲田雅興騎手を鞍上に障害デビュー。平地3勝の平地力を買われて3.0倍の1番人気に支持されたが、後に障害重賞8勝を挙げる牝馬コウエイトライ(こっちも障害デビュー戦)に敗れて3着。
続く中2週の同条件の未勝利戦で1.3倍の支持に応え、2着に2.9秒差をつける大差圧勝で障害初勝利を挙げた。
明けて4歳、瀬戸口厩舎所属の西谷誠を鞍上に、1月の牛若丸ジャンプS(OP)から始動。道悪に脚を滑らせながらも早めの仕掛けで半馬身押し切って勝利。
続く2月の淀ジャンプS(OP)では前走の3190mから3790mへの距離延長となったが、コースレコード4:16.4を叩き出して快勝。3連勝で一気に中山GJの有力候補に躍り出た。
……が、どうも脚部不安が出たようで休養、あえなく中山GJは回避となってしまう。
結局9ヶ月休み、11月に脚元の不安を考慮して平地競走で復帰。ダート1400mと芝2200mの1000万下を叩き(12着、13着)、そこから中山大障害(J-GⅠ)に向かうことになった。
昨年3歳で制したテイエムドラゴン、重賞3連勝中のスプリングゲントがともに故障で離脱したこともありメンバーが手薄で混戦ムードとなった中、同期のメルシーエイタイムに次ぐ6.0倍の2番人気となったマルカラスカルと西谷騎手は、スタートから果敢にハナを叩いた。初めての大障害コース、それまでより高い障害もものともせずレースを引っぱると、最終障害を越えてあとは後続をぶっちぎり、ラジニケの実況も「これは楽勝!」と口走る余裕の6馬身差圧勝。
グラスワンダー産駒はこれがGⅠ初制覇。この年メイショウサムソンで再び二冠を達成した名伯楽・瀬戸口師に最後のGⅠ勝利を贈った。
この年の中山GJは海外馬のカラジが勝っていたため、JRA賞最優秀障害馬を受賞した。
明けて5歳、瀬戸口師の定年に伴い増本豊厩舎に転厩したが、また脚元の不安が出て、結局春は全休。
結局11ヶ月の長期休養となり、11月に復帰。今回も平地を2戦叩いてから中山大障害へと向かった。復活したテイエムドラゴンが断然人気で、それに次ぐ4.7倍の2番人気に支持される。人気薄のハイヤーザンヘブンが大逃げ気味に逃げるのをテイエムドラゴンと同じく2~3番手で追いかけたが、かなり行きたがったようで、大生垣で先に前に出てハイヤーザンヘブンをかわし先頭へ。そのままレースを引っぱったが4コーナーでメルシーエイタイムに捕まり、食い下がったものの最後はキングジョイにもかわされ3着。
前年は馬券圏内を同世代で占拠したが、今度は1着メルシーエイタイム、2着キングジョイ、3着マルカラスカル、4着テイエムドラゴン、5着メジロハスラーまで掲示板を同世代で占拠。普段世代が意識されることはほとんどない障害競走だが、この5歳世代での中山大障害掲示板独占はなかなかのインパクトで、2005年クラシック世代が「障害黄金世代」と言われる理由のひとつとなっている。
明けて6歳、2年ぶりの牛若丸ジャンプSから始動し、最初の障害からハナをとって何度か障害に脚をぶつけながら余裕の3馬身半差で逃げ切り勝ち。
ただ、脚をぶつけたせいで外傷を負ってしまい、そのまま中山グランドジャンプ(J-GⅠ)に直行することになった。3連勝中の新星エイシンニーザン、毎度おなじみメルシーエイタイムに次ぐ5.1倍の3番人気。
人気薄のフォレストダンスが大逃げし、マルカラスカルと西谷騎手はそれを2番手でゆったり追走。徐々に後ろを離していくと、大生垣を越えたところでフォレストダンスをあっさりとかわして先頭へ。そのまま後続を突き放して逃げると、グイグイ押して追いすがるメルシーエイタイムを余裕の手応えで突き放し、あとは思うまま直線でぶっちぎって2.2秒差の大差圧勝。改めて現役障害トップホースであることを示した。
秋は例によって11月に平地を一叩きしたあと、イルミネーションJS(OP)へ。スタートしてすぐハナに立つと、そのまま他の馬など存在しないかのような余裕しゃくしゃくの一人旅。実況も「後ろからはなーんにも来ません!」と言い放つ、2着になんと4.6秒差をつける大圧勝で西谷騎手に障害100勝目をプレゼントし、障害統一制覇へ視界良好、という感じであった。
というわけで迎えた中山大障害では単勝1.4倍の断然人気。先行逃げ切り圧勝が勝ちパターンのマルカラスカルなら他馬のアクシデントに巻き込まれる可能性は低いし、落馬しない限り負ける理由もないだろうと思われたのもまあ当然である。……が、何が起きるかわからないのが競馬ということを馬券師たちは思い知ることになる。
他に強気にハナを叩く馬はおらず、スタートからハナを切ったマルカラスカルは後続をぐんぐん突き放して飛ばしていく。大竹柵を飛越する頃には後続を置き去りに大逃げ独走態勢。後続に20馬身近いリードをつけていた。もうここから一人旅かとみんな思った。が。
さあこの間にマルカラスカルぐんぐんリードを開いて10馬身以上、
15,6馬身、20馬身近いリードを開いて、さあここから一人旅になるのか、
ちょっと外に逃避している! 外に逃避している! 大丈夫か!?
外ラ、外ラ、外ラチッツォ、ィまで行ってしまいましたが、
さあここから立て直して、1・2コーナー中間の障害、逆回りに飛んで行きます、
先頭替わってスプリングゲント、スプリングゲント先頭で飛越、
マルカラスカルは4番手になりました!
なんとマルカラスカルはコーナーで勢い余って外ラチ沿いまで逸走。断然人気の逸走に実況の佐藤泉アナもテンパって噛みまくる中、何とか立て直したマルカラスカルと西谷騎手は再びハナに立ち、そのまま最終直線まで先頭で引っぱったが、さすがにこれだけのロスをしては保たず、直線で捕まって5着。
西谷騎手は「今日は返し馬で嫌な予感がしたんです。スタートして楽に行けたけど、大竹柵を飛んだ後、急にグワーッと行ってどうにもならなかったんです」「申し訳ありません」とがっくり。あれだけのロスをして最終直線まで先頭で5着なのだから強さを見せたとも言えるが、マルカラスカルといえばJ-GⅠ2勝よりこの逸走が印象深いというファンも少なくないのではないだろうか。
この大逸走事件のあと、マルカラスカルは屈腱炎を発症。2年の長期休養を余儀なくされる。
2010年にようやく復帰、平地を叩いて中山大障害に臨んだが、逃げたものの残り800mの谷でもう捕まり、あとは見せ場なく沈んで7着。異変を感じた西谷騎手がゴール後に下馬し、診断の結果、左前浅屈腱不全断裂が判明。現役引退となった。
引退後は栗東トレセンの近くにある金勝牧場で乗馬になると報じられた……のだが、引退名馬繋養展示事業の対象となることもなく、繋養先と報じられた金勝牧場も既になくなっており(所在地は現在は別の育成牧場になっている)、マルカラスカルは消息不明となってしまっている。
*グラスワンダー 1995 栗毛 |
Silver Hawk 1979 鹿毛 |
Roberto | Hail to Reason |
Bramalea | |||
Gris Vitesse | Amerigo | ||
Matchiche | |||
Ameriflora 1989 鹿毛 |
Danzig | Northern Dancer | |
Pas de Nom | |||
Graceful Touch | His Majesty | ||
Pi Phi Gal | |||
トレアンサンブル 1995 鹿毛 FNo.1-x |
*トニービン 1983 鹿毛 |
*カンパラ | Kalamoun |
State Pension | |||
Severn Bridge | Hornbeam | ||
Priddy Fair | |||
ダイナアクトレス 1983 鹿毛 |
*ノーザンテースト | Northern Dancer | |
Lady Victoria | |||
モデルスポート | *モデルフール | ||
*マジックゴデイス |
クロス:Northern Dancer 4×4(12.50%)
2008年イルミネーションJSがあるのはいいけど2006年の中山大障害がないやん!
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