この小説は僕が書いた小説です。 ル・クレジオの小説の日本語訳ですと言ったら信じちゃいますか? 白霧のたそがーれの中、夢から覚め往くように、彼らは沙漠の中を巻き上げる砂霧を抜け出した。その砂霧は、今でも沙漠の中にひそんでいる。夢を見つめる鏡の影に至る、そのナツメヤシの咲きこぼれる花が咲いている。今日も夜に死に、朝に覚める、その景色の風景を、彼らは今でも覚えている。 彼らは沙漠の中を歩んでいた。ランタンを持ち、暗闇を照らし、黄昏往くその凛とした断絶された夢の中に、いつまでも、いつまでも、閉じ往くカーテンを降りている。そのカーテンの奥には何が見えるかも、よくわからない。ただ、その奥に奥にと行って、夢から覚めることもないで、繊細なそのほほえみの中にいる。 永遠と太陽が死んでいた、死んでいた、それで死んでいた。暗く、そしてその暗い夢の中に、銀の楯を持ち、金屏風の飾絵の中に彼らは描かれている。 女神が今日も、夜にカーテンを閉じ、朝に開いたときに、何が見えるかもわからない。 声がする。中世を彩る、その朝焼けの世紀末の言葉をつづる、その灯かりの、夢を夜の中にうつらうつらと、そして朝が訪れた。伝説的な朝だ。それは朝だ。そして朝が今日もやってきた。白い夢から、彼らは覚めた。それは神話を歌う、その輝きのサーカスとなって、たそがーれが近づいてきた。それは止まった。止まった。深夜が訪れた。街灯から仄かな光がさーん、さーん、と、漂っている。実に静かな夜だった。雪が降っていた。白い銀世界が夜よりも明るい朝を謳う、その影の中、ぼくたちの日差しの凛とした影に今日もまだ、朝がやってきた。