>・敷地外へ撤去することに対する法的な問題
>・敷地外へ撤去され、その自転車が盗難にあった場合に損害賠償を請求できるのか?
(1)
そもそも、無断駐輪は、
自転車を放置する行為が原因で
マンション敷地内の土地や建物の所有権を侵害されています。
所有権はその物を完全に支配できる権利であることから、所有者は妨害物の排除を占有者に請求することができます。
これを、所有権に基づく物権的妨害排除請求権といいます。
しかし、ここから問題が発生します。
所有権が侵害されているからといって、その原因となる自転車を勝手に処分することは、原則として認められません。
なぜなら、自力救済は認められていないからです。
(2)
自力救済とは「自己の権利を自ら実現し救済する行為」を言います。
もし、自力救済を認めてしまうと、社会秩序の維持が出来ないので、
原則自力救済は認められてはいません。
①
まず、わかりやすい例で話しましょう。
実際に時々発生する事件です。
駐車違反でレッカー移動させられた車が警察署にありました。
自動車の所有者が夜中に警察署に忍びこんで、持ち出しました。
自動車の所有者としては「おれの車だから、所有権に基づく、物権的返還請求権を行使したんだ」との言い分になります。
しかし、こんな言い分は通りません。
②
違う例をあげましょう。
過去に、ブランド物のバッグを盗まれたとします。
そして「後日」街中で、その所有者がその盗まれたバッグを見つけたとします。
だからと言って、物権的所有権に基づき、そのバッグの占有者に対して、
無理やり取り戻したりしたら「社会秩序の維持」が出来ないですよね。
(3)
したがって、本件では、
民事事件としては、次の様にするのが適切だと思います。
①無断駐輪自転車は保管しておくべきです。
その所有者に保管費用の負担と持ち帰りを請求するに止まります。
②もし、管理上も保管が困難であるならば、
「無断駐輪者は処分する」旨の掲示をした上で、処分することになります。
③ただ、相手方に損害が発生します。
したがって、相手方から損害賠償請求されたら、
減価償却を考慮して、中古自転車相当額の損害賠償する必要があります。
④なお、こちらにも損害が発生しています。マンション敷地への不法占拠です。
したがって、「自転車保管料/日*日数」を相手に請求出来ます。
(4)
なお、刑事事件の問題も発生しますよ。
相手が無断で、正当な理由がなく、マンション敷地内に侵入するのは、住居侵入罪(刑法130条)にあたります。法定刑は、3年以下の懲役または、10万円以下の罰金です。
警察に、住居侵入罪で相談するのも良いかと思います。
(警察がどこまで真剣に相談に乗ってくれるか疑問はありますが 笑)
目的はそこにはありません。
目的は、無断駐輪自転車抑止のために
「無断駐輪が発覚した場合は、住居侵入罪で、直ちに警察に通報します」という
張り紙を貼る方法もあるからです。
よくスーパーの張り紙でもありますよね。
万引き抑止のために
「万引き発覚した場合には、窃盗罪で、直ちに警察に通報します」と。
これと同じ作戦ですよ(笑)