クモって、自分が食べたくないまたは食べられない動物が巣に引っかかったらどうするんですか？ それとも引っかかったものはなんでも食べるんですか？

●『異物』が枯葉や枝などの場合 網にかかったことが気づかないか、あるいは糸を脚でつついたり(ジャーキングといいます)、接近して噛みついたりして『生き物ではない』と判断し、糸を切って捨てます。 ●好物の虫がかかった場合 クモにも好き嫌いがありますが、どのクモも好むのは双翅目(ユスリカ、ハエなど)の昆虫。糸を伝う振動や、空中を伝う羽ばたきによる振動から異物を『生き物』と判断し、捕食します。大雑把ですが400Hzほどの振動数のものを獲物とみなすことがおおいようです。 捕食可能な獲物の種類や大きさは、クモの種類によって異なります。 これは、クモの生息環境や網の形状に関係があります。 たとえば人家の周辺に多いオオヒメグモは体長1cmほどのクモですが、地面に向けて張った吊り上げ式の罠によって、ダンゴムシやゴミムシダマシ、アリ、ヤスデなどの小動物や、トカゲなども食べてしまいます。 スズメバチなどの獰猛な昆虫、その他網主が捕食できそうもない大型の生き物が網にかかると、網主は逃げます。 多くは、網の隅へ退散しますが、アオオニグモやビジョオニグモなどは網の隅の葉っぱに糸で隠れ家をつくっており、ここに逃げ込みます。また、コガタコガネグモは網から素早く落下してしばらく網下の枯葉に隠れます。 カメムシやハバチなどの昆虫は一部のクモにとっては『不味い』そうで、触肢(口元の短い付属肢。化学受容毛が密生しています。)でつついて味見し、糸を切って捨ててしまいます。ただ、これらの虫を好んで食べるクモもいます。 アリは蟻酸をもつため多くのクモは網から捨ててしまいますが、ヒメグモの仲間は喜んで食べます。 また、毒をもつ虫にも反応しますが、すぐに糸を切って捨ててしまいます。ドクガの仲間が網にかかると、クモは触肢で毒を感知し、捕食不能と判断します。 ●特殊な例 ジョロウグモの網に、唾で濡らしたかっぱえびせんをかけると、それを捕食することがあります。網にかけた際の振動から獲物と判断し、そのまま食べてしまうとか。 案外『生きていない』ものでも食べることはあるみたいですね。