キリンに雷が落ちてどうする 少し考える日々(品田遊)

実際にあった事件を踏まえて、雷がキリンに落ちてどうするんだよ(もっとましなものあっただろ)、という意味だったんですね。それはさておき、ネットネイティブ世代のエッセイ(というか短文)の書き手だな、というのと、長嶋有/ブルボン小林の在り様をロ…

銀河特急 ミルキー☆サブウェイ(亀山陽平)

よくできている作品でしたね。ただ脚本上の根本的難点をいえば、警察の(というか体制側の)目的に対して手段が迂遠すぎる、コストがかかりすぎている、ということでしょうか。一方で、キャラクターの背景は想像に任せる案配に留めているのが、尺との関係と…

サブスタンス(コラリー・ファルジャ)

想像していたのより、リアルで正確な比較として、10倍過剰でした。正直ついていけないなというのが素直な感想です。とはいえ、特殊造形物が出てくればひとまず元を取った気になれた80年代でもないのに、クローネンバーグをはじめ、好きなものを全部入れてみ…

こぽこぽ、珈琲(V.A)

食にまつわる随筆、エッセイ選集のシリーズ「おいしい文藝」のコーヒーがテーマの1冊。そういえばエッセイでもコラムでもなく、「随筆」というジャンルはもう存在しないような気がします。それはやっぱり作家「先生」という幻想の土壌がなくなったせいなの…

KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ(マギー・カン)

評判を聞いて期待していたのですが、(ソニー・ピクチャーズ・アニメーション制作なので水準は高いけれど)つまるところ音楽や画がハイレベルなプリキュアだったな、という印象でした。『スパイダー・バース』の革新性や『ミッチェル家』のようなドラマの奥…

黄昏にマックの店で(ロス・トーマス)

作者の中でもかなり末期の作品になるのでしょうか。数をある程度読んでくると、ちょっと手癖で書いているような印象が残りました。マッコークルとパディロのコンビだからアクションに期待したけど、コンゲーム重視だったかな。 それにしても、肝心の手記とメ…

シューテム・アップ(マイケル・デイヴィス)

映画研究部が作りそうな、「こんなガンアクション面白くない?」というアイディアだけで押し切った作品ですよね。なんというか、シーンの繋ぎ方の拙い感じまでもが映研っぽくて、よくまあシネコンで上映されるような映画になったよな…というある意味奇跡的な…

フライト・リスク(メル・ギブソン)

いわゆる低予算のソリッドシチュエーション・サスペンスなんだけど、演出の手堅さと奇をてらわない脚本で、ああ、いい娯楽作品観たな…という確かな満足を感じられる作品でした。フライトパニックもの定番の「素人によるランディング」の場面もちゃんとすごく…

女刑事の死(ロス・トーマス)

初めて読んだ著者の作品『愚者の街』が、アクションあり、謎解きあり、エスピオナージュでもありの、しかも大河小説だったから最高すぎて、どの作品もとても面白いのだけど、どうしてもあのインパクトを超えられないですね…マッコークルとパディロのコンビシ…

バレリーナ(レン・ワイズマン)

冒頭ののったりしたアクションを見た時は、これ以上は面白くならない感じかな…というまるでかつてのヨーロッパ・コープの作品のような印象を受けたのですが、後半主人公が一人前と認められてからはアクション的には持ち直した感じでしょうか。 ただ、アクシ…

こいつで、今夜もイート・イット(エリック・アッペル)

ダニエル・ラドクリフはストレンジでチャレンジングな企画に挑む姿勢はいいと思うのだけど、今作は若干微妙だったかな。80年代後半から90年代前半の(つまりアル・ヤンコビック全盛期の)、本気過ぎない、面白いんだか面白くないんだかという、いわゆるオフ…

いつかどこかにあった場所(サラ・ピンスカー)

引き続きスモール・ビア・プレスから刊行されただけあって、(かつての)ケリー・リンク的な雰囲気が増していたかなという印象。しかしながら残念だったのは、『いずれ全ては海の中に』にあった奇想とかSFならではのセンス・オブ・ワンダーが後退していたこ…

ノスフェラトゥ(ロバート・エガース)

正直エガース作品について、好みじゃないってことなのかなと改めて思いました。しかしそれはそれとして、確固とした「硬質な世界観」があるし、これだけの役者さんを配して、大掛かりなプロダクションデザインができるだけの予算を預けられるのだから大した…

JUNK WORLD(堀貴秀)

前作の荒寥とした寄る辺なさみたいな感じは後退して、物としての造形が洗練されたり(人間のキャラクターの昭和っぽい感じ、NHKの人形劇みたいな感じが好みでした)、動きがスムーズになったりした分、普通のSFアクションになった印象。 とても面白かったの…

エイリアン:ロムルス(フェデ・アルバレス)

総じて面白かったです。ただ物語そのものは、(もう見た人すべてが思うことだと思うけど)あまり共感できない若者集団が、無茶をして想像もしていなかった敵に追い詰められる、という完全に宇宙の『ドント・ブリーズ』でしたよね。 ところで、そもそも彼らが…

トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦(ソイ・チェン)

言わずもがなですが今年を象徴する1作。しかし聞こえてくる評判が高すぎたせいか、とても面白かったものの、予想を超えるものではありませんでした。(これ級に面白い香港映画は結構あると思うので。) 物語について言えば、秋兄貴の怒り、恨みは(妻子に手…

ヨハン・クライフ サッカー論(ヨハン・クライフ)

レナート・バルディの『モダンサッカーの教科書』を読んで、現代のサッカーにおける戦術の基礎知識として蒙を啓かれたのですが、ほとんど全く同じことが中学生以上向けくらいに書かれていて、改めてなるほど!となりました。(実際、小学校高学年でも理解で…

スクリーム6(マット・ベティネッリ=オルピン)

「スクリーム」シリーズは自己言及的でメタなつくりを、アートフィルムでなくジャンルムービーで行う、そこまでポストモダンがカジュアルなものになってきた、というところが90年代の気分だったのだなと今改めて思うのですが、さすがに2000年代も四半世紀過…

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(ジョナサン・ゴールドスタイン、J・F・デイリー)

名作たらんとする力みもなく、軽やかな娯楽作でいいという趣旨に徹していたのがすごくよかったですね。セリフの掛け合いも気が利いているし、オリジナルの意図に忠実と思われる吹き替えも素晴らしかったです。 「ダンジョンズ&~」というのは僕ら世代だと『…

ゲット・ショーティ(バリー・ソネンフェルド)

久しぶりに見返したけど、最高でした。映画愛とか異なる派閥の騙し合いとか、今改めて見るといわゆるエルモア・レナードらしい要素が随所にありました。何事も苦にしない動じないひょうひょうとした主人公もそうですね。 映像化された作品群は「犯罪ものなの…

THE BATMAN-ザ・バットマン-(マット・リーヴス)

難点を挙げるなら、画面が暗すぎる、長すぎる、リドラーのなぞなぞが回答も含めてよく考えたら成立していない。ということはあるのだけど、バットマンでハードボイルド/ノワールをやるという趣旨については完全に100点なので問題ない。公開以来改めて見たの…

フットボールクラブ哲学図鑑(西部謙司)

サッカーの戦術みたいな側面も少しずつ知識を増やしていっているところなのですが、海外のクラブ事情が気になって手に取りました。 僕が海外のサッカーに触れたのは中学生の時のメキシコW杯のマラドーナの「神の手」かつ「5人抜き」が最初のトピックスかな…

モダンサッカーの教科書(レナート・バルディ)

現代サッカーの基本的な戦術であるポジショナル・サッカーの基本的な知識が分かりやすく説明されていました。理解しやすいのは対談形式だからかもしれません。ちょっと残念だけど図解が少ないので、前提となるサッカー用語はある程度理解していないといけな…

もっとも危険なゲーム(ギャビン・ライアル)

(ネタバレ)『深夜プラス1』は研ぎ澄まされたソリッドかつストイックな筋運びで大好きなのですが、こちらは物語がどこに着地するのか分からないまま小事件が頻発して、最後に至って種々の要素が「そういうことだったのか!」という結末に収斂するというエ…

ハント(イ・ジョンジェ)

初監督作かつ脚本も、ということで頑張っていたと思います。これだけできれば立派だなそつがないな、と思うものの、演出としてじっくり見せる感じは少し乏しくて、映画って難しいなと思いました。 ツイストはなかなかよくできていて、実は『インファナル・ア…

獣兵衛忍風帖(川尻善昭)

『バンパイアハンターD』がすごく良かったのと『妖獣都市』は一応見ている、それと「アニマトリックス」ぐらい、かな…というのが見たことがある川尻作品のほぼ全てなのですが、名前のみ知っていた、そして海外での評判が高いと聞いているこの作品がアマゾン…

プレデター:バッドランド(ダン・トラクテンバーグ)

『ザ・プレイ』がその世間的高評価にも関わらずピンとこなかったので(なんというかいかにもディズニー的「弱者をエンパワメント」マーケティングオリエンテッドな感じが居心地が悪いというか、どうですか!と言われてる感じがして)、今作も若干心配だった…

トマス・モアの大冒険: パスト・マスター(R.A.ラファティ)

前に読んだ時は人工知能対野蛮な人類というストレートな大冒険活劇で、ラファティの長編としては一番分かりやすいな、という印象だったのですが、今回改めて読んでみると、結末のジャンプでいきなりものすごく抽象的、観念的、神話的な世界に突入するから、…

ウィキッド(ジョン・M・チュウ)

高い評判を聞いて期待しすぎたのかな…正直、物語を通してエルファバを全面的に支えてくれる人が誰もいないのが辛過ぎた印象です。親も妹も自己憐憫に終始して、愛情が本当に必要な時に気づいてもいない(特にあれだけ(本人自身が過酷な境遇の)姉から愛情を…

クレイヴン・ザ・ハンター(J・C・チャンダー)

「超」大作ではないほどほどの大作として、毎回ほどほどの満足感を味わわせてくれることで毎度お馴染みのスパイダーマン・ユニバースですが、今回はかなり面白かったですね。監督がよかったんじゃないかな。 身体一つでなんでも突破してやるぜ、という冒頭の…