胸部外傷という恐怖

2022年07月09日
胸部外傷という恐怖
暑い日が続いてますね。飛騨は昔はこんなに暑くなかったと、いろんな人に言われます。最近移住してきた我々にとっては、それでも名古屋とかに比べれば、特に夜はマシな方だと思います。
ショッキングなニュースに多くの方が,動揺されたと思います。心から安らかなる眠りを祈るものです。みなさん、今度の選挙、いきましょうね。
報道では、銃撃による心損傷が死因であったようです。一般的には、胸部外傷による心損傷では、病院に到着する前に、患者が死亡する確率は50%以上、病院に到着後も、かなり生存の確率は厳しいです。
輸血100単位を行ったということで、この数字は殆どの医者が聞いたことのない大きな値だと思います。小生もこれまでみたことのある量は50単位までです。ご家族が到着するまで、なんとか血圧を出すために、出血血液と一緒に体外式補助心臓回路から輸血し続けたと思われます。
で、飛騨地域で胸部外傷による大血管損傷や、心損傷をきたした場合、残念ながら救命できる可能性はほとんどないと思います。
補助人工心臓(ECMOとしても使いますが)は、当地域にはありません。また、セルセーバーという出血血液の回収輸血装置に関しては、当院にもあと1人分しかありません。はっきり言いますが、予算がなくて買ってもらえません。もちろん、こういう機器があったとしても救命は難しいでしょう。大動脈のブロックバルーンを入れられる血管外科医や、開心術ができる医師もいません。
飛騨地域は農作業中の外傷が比較的少ないですが、交通事故や、雪下ろしの際の転落事故での胸部外傷は時折みられます。心臓や大動脈損傷が疑われる場合では、都会への搬送を要しますが、間に合わないこともありえます。先日も市内の交通事故で亡くなられた方もいます。トラクターの転倒や、交通事故など、皆さんくれぐれも注意してください。
スポンサーリンク
Posted by ChestSurgeon  at 08:50 │Comments(1)
この記事へのコメント
輸血の量にも驚きましたが、一般人はあんなに時間かけて救命してもらえないなと思いました。

山で伐採するきこりさんは、倒木などで大怪我されることがありますよね。

気をつけてお仕事して欲しいです。
Posted by いまでのびぃ at 2022年07月13日 15:03
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
削除
胸部外傷という恐怖
    コメント(1)