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北山猛邦 『猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条』

猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条 (講談社ノベルス)
シリーズ第二作。
大東亜帝国大学探偵学部の猫柳探偵と二人の探偵助手が今回巻き込まれるのは、旧家に伝わる呪いの伝承。
前作は孤島での連続殺人というオーソドックスな設定だったが、本作では探偵は事件の外側に位置する。犯人との暗闘を繰り広げる探偵という図式がより強調される。
前作とは打って変わって物理の北山面目躍如、といったところで、図解付きの物理トリックにはゾクゾクするものがある。
また、恋愛方面に一気に舵切りしてきたのも面白い。勿論前作からその傾向はあったものの、本作はかなり直球。シリーズを続けて固めるというよりも一気に安定地点まで進めておいたような印象。2019年7月時点で続編は刊行されていないが、果たしてこの先の光景は見られるのだろうか。完結と言われても不思議ではない。