本年中の記事更新は今回が最後です。
ということで、新年に向けて、オリジナルのいろは歌留多を作ってみることにしました。
私はこういう一人仕事が好きです。徹夜も厭いません。っていうか、徹夜しました。年甲斐もなく。
さてしかし、いろは48文字のすべてについて新規の句を揃えるのはなかなかどうして困難な課題でありまして、文字によっては3つ4つできるものもあるのですが、できないものはどうしてもできません。で、4例ほど既出(以前私が作ってほかのところで発表したもの)の読み札が混じってしまっています。ご容赦ください。
まずは「いろは」の「い」から。
《い》 犬も歩きながら棒読み
今日も今日とて書類の朗読に終始する首相閣下は、ぶら下がり取材に答える時もメモ頼り。歩きながら。恥ずかしくないのであろうか。政治家にとってお役人が作るカンニングペーパーは、犬にとっての首輪と一緒だということを、ぜひ自覚していただきたい。犬も歩けば足が棒になる。下っ端の苦労はいつの時代も不変。が、総理にあっては自ら足を棒にすることをせず、棒読みを繰り返すのみ。いずれ職歴を棒に振ることになるであろう。
《ろ》 論よりショーアップ
事業仕分の席で展開されているのは、どうやらシナリオ進行の小芝居らしい。そういうご意見がある。本当だろうか。とすると、仕分け自体が政策プロレスてなことになるが。というよりも予算削減ストリップショーだろうか。仕分けは踊る、されど進まず。
《は》 花より団塊
さよう。有望な市場はいまや団塊の世代周辺にしか残っていない。若者は草食系。ギャルは装飾系。30代は僧職系。いずれも貧乏でケチ。だからマーケッターは今日もオヤジをおだて上げ、オヤジは図に乗り、草食系の庭には草も生えず、だからマーケッターは今日もオヤジをおだて上げ……以下無限ループ。むなしい。
《に》 二位を追う者一位を得ず
二位じゃダメなんですよ。わかってるんですか、蓮舫さん。二等を追う者ITを得ず。気がついたら極東の三等国です。後ろ姿のしぐれて行くか。山頭火。ワビサビ立国。ううう。
《ほ》 仏の顔もサンドバッグ
甘い顔をしてるとフルボッコ。国際社会の常識です。ということはつまり仏の顔も三度目の正直者はバカを見る豚のケツなわけでして、なればこそ仏の顔はサンドペーパーの如くにハードボイルドたるべきであるのかもしれませぬ。
《へ》 下手の横並び
自信の無いヤツほど、やたらに場の空気を読みたがる。でもって、隣のヤツのマネをしてそれで仕事をしたつもりになっている。結局、横並びというのは、一種の伝染病なのであろうな。っていうか、風土病かも。
《と》 遠くて近きは北方領土
むしろ近くて遠いのだろうか。近づくと遠ざかる。追えば逃げる。磯のアワビの片想い。前原さんの肩は重い。背負ってるから。責任をじゃなくて勘違いを。おそらく。
《ち》 チリで埋もれて一山当てる
チリの落盤事故は実に結果から見れば大成功のロードショーだった。うらやましくはないが。
《り》 律儀者のコダックさん
デジカメ全盛のこの時代に、銀塩フィルムを売り続けてくれているコダックさんの老舗の意地に乾杯。とはいえ、町の写真屋さんの消滅傾向はガチ。お正月を写そう、と、いくら煽ったところで誰も現像しないのだからもはやどうにもならない。合掌。
《ぬ》 濡れ手でアワード
昨今の賞イベントはどれもこれもデキレースに見える。水嶋ヒロ君の文学賞受賞も、あれはオフサイドだと思う。マッチの最優秀歌唱賞は一種のシャレ。仮称。言ってみただけ。だと思いたい。
《る》 累は友に及ぶ
薬物事犯の発覚は、一族郎党から知人友人をひとっからげにお縄につなげる芋づる式の逮捕劇をもたらす。気をつけようぜブラザー。クスリは病気になってから。
《を》 をんなはIQ
知能指数の効能は学生時代限定。美貌は30歳まで。やっぱり最後にモノを言うのは愛嬌。カツマで闘いをやめないみたいななりふりかまわぬ上昇志向は嫌われるということですよ。ええ。
《わ》 わたりに泥船
公務員の天下り先が次々と仕分けでお先真っ暗……になってくれると良いのだが、退職金獲得先を渡り歩く高級官僚はワタリガニみたいに両手ピースで横歩きなのさ。どうせ。
《か》 金持ち変化せず
勝ち組の顔ぶれって、バブル以前からまるで変わってないんだよね。うん。ちょっとひがみっぽくなってきてるかもしれない。オレ、構造不況業種の申し子だからね。
《よ》 弱り目に叩き上げ
気の弱い人間に限ってなぜかブラック企業に誘引される。で、叩き上げのパワハラ系上司に虐められ、唯我独尊の人肉食系ワンマン経営者に叩かれる。叩く側は叩き直しているつもりだが、叩かれる側は、ただただ壊れていくのみ。叩き下げ。弱るほど叩かれる。悲しい。
《た》 高値の花畑牧場
生キャラメルをおぼえていますか? まだ行列に並びますか? っていうか、行列はありませんが。店舗すら。高値は暴落の前兆。アタマの中に蝶々が飛んでる客ばっかりじゃないわけだから。当然。
《れ》 蓮舫ヒマなし
客を呼べるスターが蓮舫議員だけなのは仕方がないのだとしても、選挙に仕分けに代表質問にTV出演に、と、いくらなんでも酷使が過ぎるんではなかろうか。最近は顔がドクロマークみたいに見えるぞ。休ませてやってくれ。たのむ。
《そ》 袖に詰め込む多少の円
交渉はアンダー・ザ・テーブル。条件は袖の下。情報はオン・ザ・ピロー。外交の基本だよ。こういう基本をないがしろにするからW杯も来ない。
《つ》 月とスッポンポン
月夜の晩に全裸になった地デジ大使がいましたよね。テレビの皆さんは忘れたふりしてるけど。
《ね》 猫に小林秀雄
猫には無理だよね。オレだって読めないんだから。もちろんゆとり諸君にも無理。いいかげん、大学受験の問題に使うのはやめてあげてほしいな。
《な》 泣きっ面に八戸勤務
降格左遷の上島流し。いや、八戸に含むところがあるとか、東北地方を蔑視しているとか、そういうことではありません。人事考課システムは、最も弱い社員に最も過酷な負荷をかけることで組織全体の淘汰を促す場合があるということでして、つまり ♪シワ寄せなら肩叩こう♪ と……叩かれるのはいつも下っ端なわけですわ。
《ら》 ラブあれば苦あり
苦しみは愛あればこそ。というよりも、ここは一番、「手前勝手な下心が破滅を招く」というふうに解釈するのが大人のたしなみかもしれません。不倫みたいなことで職を失うのは馬鹿げてますよ。ね。○○さん。
《む》 無視の知らせ
無視というのが一番雄弁なメッセージだよね、結局のところ、別れを伝える場合には。馘首に先立つ根回しにおいても。つまり、上司が目を逸らすようになったら要注意ってことかな。
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