bonotakeの日記

ソフトウェア工学系研究者 → AIエンジニア → スクラムマスター・アジャイルコーチ

フロー効率重視の開発について考える 後編 ~中長期目線の話~

註:この記事は前後編の後編です。前編を先に読むこと推奨です。 bonotake.hatenablog.com TL;DR(後編のみ) 中長期的には、ソロ開発はリソース効率(人員の稼働率の高さ)、アンサンブル開発はフロー効率(タスクが滞りなく処理される度合い)に長所がある…

フロー効率重視の開発について考える 前編 ~短期目線の話~

TL;DR(前編のみ) 「リソース効率重視」、「フロー効率重視」と呼ばれる開発スタイルは、それぞれソロ開発(個人分担制)とアンサンブル開発(1つのタスクを複数人で協働する方法)を指すのが一般的 短期的には、ソロ開発はスループットの高さ(開発アウト…

FAST導入に関するRSGT2025プロポーザルのお話

最近支援に入っているログラスのエンジニアリングマネージャー飯田さんが、RSGT2025にプロポーザルを書きました。一応僕もおまけで登壇予定です。 タイトルは「エンジニアリングマネージャー視点での、自律的なスケーリングを実現するFASTという選択肢につい…

スクラムフェス仙台2024に参加してきました

8/23, 24 に開催されたスクラムフェス仙台2024に参加してきました。 www.scrumfestsendai.org ということで軽い振り返りを。 2つのセッションで登壇した 自分の講演1「チームが自己組織化してから敢えて専任スクラムマスターを置いてみたらめちゃめちゃワー…

アジャイルスケーリングのための CASP 1 っていう資格を取ったよ

この度、CASP 1っていうScrum Allianceの資格を取りました。 CASP 1のバッジ たぶん存在自体知らない人が多いと思うので、このブログ記事で軽く紹介をしてみようと思います。 この資格は正式名称を Certified Agile Scaling Practitioner 1 と言って、アジャ…

ログラスがOrg Topologiesを使って組織の目標設定をした話

この記事は、元々僕がLinkedInに2回に渡って投稿したものがまとめられ、Org Topologies というフレームワークの公式サイトにケーススタディとして紹介されたもの(こちら)の翻訳です。 えらく仰々しく掲載していただいたし、せっかくなので日本語版を自分の…

夜目が効かない人が夜に本を読むためのライフハック

最近夜目が効かなくなって、夜、特に寝る前の寝床でに紙の本を読むということがほぼほぼできなくなっていました。 なので、どうしても読みたければ電子書籍で…となってたんですが、このクリップライトのおかげで一気に問題が解消したので書き留めておきます…

ソフトウェアが成功する仕組み

この記事は、ソフトウェア工学が専門のMITのDaniel Jackson教授が書いたブログ記事 "How software succeeds"を、本人の許可の元翻訳するものです。 なおこの記事と同じトピックを扱っている、彼のTEDx Talkもあります。 ソフトウェアが成功する仕組み 優れた…

Four Keys にはどうやら2つの意味があるらしい

先日、スクラムフェス福岡でこういう話をしてきました。 speakerdeck.com 特に国内ではここ1, 2年界隈を騒がせている "Four Keys" と呼ばれる4つの指標についての話で、乱暴に内容を一言でまとめるなら、「Four Keysをちゃんと使いたかったらまず出典の本を…

『嫌われる勇気』がとても面白かった話

嫌われる勇気作者:岸見 一郎,古賀 史健ダイヤモンド社Amazon 結構前に人に勧められていたのだけど、たまたま昨日手にとって読み始めたら止まらなくなり、結局一晩夜通しで読んでしまった。 びっくりしたのが、語られていることが僕がここ数年で獲得してきた…

Org Topologies を少し使ってみた

この記事は元々LinkedInに英語で書いた記事を、せっかくだから日本語に翻訳してちょっと手直ししたものです。先に英語で書いて、その後日本語にざっくり訳してるので何か日本語が微妙ですが許して。 最近、Org Topologies というフレームワークに興味を持っ…

RSGT2024に参加しましたの記

RSGT2024 記念の品 RSGT2024に参加してきました。 3日間のイベントですが、前日にスピーカーズディナーという関係者のみのプレイベントにも登壇者として参加でき、結果として4日間まるまる呑みっぱなし堪能しました。 ということで、感想をつらつらと書いて…

勉強会を開いてスクラムのCSP-SM資格を取得した話

これはスクラムマスター Advent Calendar 2023の12日目の記事です。 僕は11月にCSP-SM という資格を取りました。 CSP-SM というのは Certified Scrum Professional-ScrumMaster® の略で、Scrum Alliance が発行するスクラムマスターの資格の中では最上位のも…

アジャイルコーチとスクラムマスターの集い(2023年11月)に参加してきました

www.attractor.co.jp 参加してきました。2回連続2回めです。 ここでは備忘録がてら、思ったことを要約しつつつらつらと順不同に並べていきます。 ちなみに、3月にあった前回のときの記事はこちら。 全体の感想 秋のハジケ祭り discoveryとdeliveryを一緒にや…

「アジャイルソフトウェア開発という概念」の源流は日本なのか 〜『日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか 』を読んで〜

夜中におもむろに書評を書き出す第2段。 日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか~増補改訂版『日本“式”経営の逆襲』~ (光文社新書)作者:岩尾 俊兵光文社Amazon この本自体はとても面白いし首肯できる部分も多いが、1箇所だけイチャモンをつけたい。 そもそも…

『質的研究を科学する 』を読んだという話

夜中の変な時間に目が覚めてしまったので、以前読んだ本の感想をおもむろに書き出そうとしてみる。2ヶ月くらい前に読んだやつだけど。 質的研究を科学する作者:高木 廣文医学書院Amazon 自分は今初めて質的研究というのをやろうとしていて、何かと言うとイン…

『単体テストの考え方/使い方』が大変良かった話

単体テストの考え方/使い方作者:Vladimir Khorikovマイナビ出版Amazon 支援先のジュニアエンジニアにテストの書き方を、それも、テストを書く意義から教えることになって、なんかいい参考書ないかなぁ、と色々物色する中で出会った本。 そこいらにある教科書…

アジャイルコーチ 兼 ソフトウェア工学研究者 になりました

最近、自分の身分について色んな所で五月雨式に明かしたり明かさなかったりしていたんですが、それで誤解を受けることも多く。 しかも転職ブログ的な記事を半年前に書いたばかりでその舌の根も乾かぬうちに……て感じだし、しかもこの記事未だにPVが多くて、そ…

Normanの概念モデルは的を外している 〜『優れたデザインにとってコンセプトが重要な理由』補遺〜

この記事は、MITのDaniel Jackson教授が書いたブログ記事 "Conceptual models missed the point "を、彼の許可を得て翻訳するものです。 ざっくりと訳したので一部こなれておらず、十分なクオリティではないことはご容赦ください。また、"concept" は以下の…

転職しますの記

このブログ記事はいわゆる転職ブログです。昨日3/16が現職の最終出社日だったので、公開するものです。 ただし、よくある転職ブログのように、元職場や新しい職場を大きく取り上げて評価することを意図したものではありません。 僕は転職活動をするのがこれ…

アジャイルコーチとスクラムマスターの集いで僕が得た学び

これに行ってきました。 www.attractor.co.jp スクラムマスター、アジャイルコーチを生業とする人たちが集まる2泊3日の合宿で、一応OST の体裁を取っているが、2日目の午後にはもう単にみんなそこらで雑談しているだけにしか見えない会でした。 ただ、その雑…

『コーポレートファイナンス第10版』を読み始めた

何かめっちゃ久しぶりにブログ書く気がしますが。 唐突ですが、とある人の勧めで最近これを読み始めました。 コーポレート・ファイナンス 第10版 上作者:リチャード・A・ブリーリー,スチュワート・C・マイヤーズ,フランクリン・アレン日経BPAmazon コーポレ…

"The Essence of Software"が提唱する全く新しいソフトウェア設計の考え方

これは、AlloyのDaniel Jacksonが昨年新たに出版した本の書評です。 元々この個人ブログに書くつもりだったんですが、諸々の都合で会社のブログに書きました。 note.com てことで、ご興味あればぜひ読んでみてください。

たまたま入った近所の自転車屋さんが凄かった話

これは、僕が実際に近所の自転車屋から聞いた話です。 昔、会社のSlackに貼ったテキストをちょっと改訂して載せています。 その自転車屋さんに、ある小さい子供連れのお母さんがやってきました。 なんでも、トイザ○スで買った子供用の自転車のブレーキが効か…

確認を取るソフトウェア開発

僕もいい歳してオタクなのでオタクな絵をSNSで眺めてたりしてるんだけど、そういうオタク界隈でよく絵師さん(イラストレーターさん)が描きかけで没になった自作の絵を「供養」と称してTwitterに晒していることがよくある。 で、このブログ記事も趣旨は割と…

青山幹雄先生の訃報に際して

遅まきながら、南山大学の青山幹雄先生がお亡くなりになったのを今知りました。 訃報連絡(故 青山 幹雄 南山大学理工学部ソフトウェア工学科・教授) 私は大学院生のときに先生の著書を読んで感銘を受けたのが、先生とお付き合いすることになった最初でした…

ベッドから起き上がれなくなっていた男が完全復活を遂げた話

びっくりすることに1年半ぶりのブログです。どんな文体で文章書いてたかももう思い出せないレベル。 というか、ここ1年くらいSNSに顔を出す頻度が激減してました。 たまに出てきたと思ったら虚無なツイートをしたりして、もしかしたらご心配してくださってた…

MLSEの来年に向けた取り組み

この記事は、機械学習工学/MLSE Advent Calendar 2019の25日目の記事です。 最終日ということで少し趣向を変えて、技術の話ではなく、MLSE(日本ソフトウェア科学会 機械学習工学研究会)の現在の取組みに関する話を書こうと思います。 なので、書く場所をQ…

『Practical Developers』読みました

技術評論社様から献本いただきました。ありがとうございます。 Practical Developers ――機械学習時代のソフトウェア開発[ゲームアプリ/インフラ/エッジ編]作者: 飯塚健太郎,大川徳之,keno,古賀理,田中一樹,徳永拓之,西田圭介,森田和孝出版社/メーカー: 技術…

微分可能プログラミングの最近の動向

昨日の微分可能プログラミングに関する記事がやたらはてブつくしTwitterもいいねRTされるし、何でかわからずビビリ散らかしているんですが。 それはともかく、その記事も既に修正したんですが、公開後に David Dalrymple 氏と連絡が取れ、彼が色々教えてくれ…

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