「略奪、強姦は軍の常だよ」と述べた中島今朝吾・第十六師団長

では、南京での不軍紀行為の頻発は突然変異的な現象だったのか。
注目すべきは、阿南大将の報告を受けての田中軍事課長の所見である。田中はこう記している。

陸軍内部における多年の積弊が支那事変を通じて如実に露呈せられたものとみるべく、その百弊ウンジョウの深刻さには改めて驚かされる次第なり

http://d.hatena.ne.jp/bluefox014/20060718/p2

南京の不軍紀行為は「陸軍内部における多年の積弊」が如実に露呈したものである、と田中軍事課長は認識していたようだ。



阿南が現地調査に入ったときの中島中将(第十六師団長)の発言は、上の田中の認識と合致する。

たとえば一月二日南京に入った阿南人事局長一行が中島師団長をなじると、『捕虜を殺すくらいなんだ』(稲田正純氏談)と反論されているし、
四日にやってきた青木企画院次長一行に、やはり中島が平然と、『略奪、強姦は軍の常だよ』と語るので、文官の手前、恥ずかしくなった、と案内役の岡田芳政大尉は回想している。
(秦郁彦「南京事件」P.174)

中島師団長にとっては捕虜殺害も略奪・強姦も「異常ではない行為」と認識されていたようだ。


こういう感覚は第十六師団に限ったことではなかったようだ。第三師団の歩兵第三十四連隊、第十三師団の歩兵第百十六連隊の戦闘詳報には、南京戦の前の上海戦における捕虜殺害が明記されている(秦郁彦「南京事件」、68頁)

捕虜殺害にとどまらず、民間人殺害命令を示唆する文献も多くある。
http://www.geocities.jp/yu77799/minkanjin.html