なるほど、最近感じるフラストレーションは、新しい仕事の考え方のフレームワークを欲している線から来てるのはあるかもしれないな。前回まとめた↓のが4.5年前で、当時と変わった視点もあるので考えてみよう。https://t.co/RPkqTwQtic
— Father as a Software hacker (@Kengo_TODA) September 14, 2019
ということで形にするために書き下しています。
背景にある考え方
- 高い利益を上げる製品、キャリアを高める成長機会、より良い待遇と給与、良い顧客。こうした良いモノすべての源泉が「良いチーム」である。
- しかし変化の激しい時代、ひとつの固定した「理想のチーム像」を作ることは不可能である。よって現代のチームは「時や状況に応じて学び変化できるチーム」を目指すべきである。
- この文書では「最高のチーム」「理想的なマネジメント」ではなく「より良いチーム」を作ることを目標とする。
良いチームの指標
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頻繁に質の高い学習ができる。
- 頻繁に:組織の目的によるが、少なくとも月イチ程度にretrospectiveを行う。開発組織の場合はweekly iterationやbiweekly iterationを目指す。突発性インシデントへの対応が規定され共有されているため、ダメージを抑えpostmortemを行い学習し製品にfeedbackできる。
- 質の高い:すべての施策に共有された目標がある。このfactがほしいと思ったときに探し出せる、あるいは新規に測定できる。problem solvingについてチームが理解している。他社事例や公開された研究結果などを適宜参照する。自分たちの学習したことも可能な限り公開し、ひろくフィードバックを受け付ける。
- 学習ができる:人のせいにしない、失敗を成長の糧として捉える、blameless postmortemの文化がある。個人の意識や努力でカバーするのではなく、組織や自動化でカバーする。目指す像が全員に共有されている。目標に対するオープンな議論とdisagree and commitのための責任の所在(後述)が明確である。
個人の個性と意思が尊重され、結果としてモチベーション高くモノづくりができる。
- 多様性を重視する、オープンな議論を行う、役職を発言と紐付けない。認知的不協和を抑えるためにも、個人が謙遜さとオープンさを身につける必要が、組織が心理的安全性を満たす必要がある。
- マネジメントが「上司」ではなく「支援者」であることを信じてもらう。servant leadershipを実行する。
- 各個人が学びたいこと、挑戦したいことの把握に努める。得た情報を現状に照らし、勤務の一環として成長機会を作る努力をする。学びたくないこと、目を背けたいこととの折り合いを共に考える。
- 健康状態や家庭の事情に気を配る。可能な限り勤務時間や貢献手法に制限を設けない。場所や時間を縛る働き方を排除する。
従来の「責任」と、これからの「責任」
我々は(失敗したときに)責任を取れという言い方をすることがあるが、それになんの意味があるのだろうか?
まさにそれですね。「責任」というものが出てくるのは仕事、職業が社会身分、ステータスの延長にあるようなメンタルモデルにとどまっているからだと考える次第。
— cobot_1 (@cobot_1) September 14, 2019
失敗によるダメージを抑えるためにマネジメントはリスク管理をするべきで、管理が足りていなかったなら反省し学ぶ必要がある。 また管理できなかったダメージは既に存在するので、再発防止だけでなくケアの方法も考える必要がある。
責任の本質は、情報と権限を明確にして状況に応じて速やかに学び行動できる組織づくりではないか。 責任を取らせることが必要なのではなく、責任を預けるに足る能力(組織づくりやリスク管理)を持つ人材を責任者に据えることと、能力が足りないと判断したときに上長の判断で外せることが必要なのではないか。
問題点を発見する運用手法
One on oneとOKR。MBO-Sでも良いけどOKRではダメな理由がないのと、OKRの方が明確に失敗を織り込んでいる(Key Resultsがすべて達成できてるのは逆に良くないという前提が共有されている)ので良いと思う。あとフォームを利用したマネジメントへの匿名FBも有用。あとで掘り下げる。
コーチングが問題発見の手法になるかもしれない。少なくとも聞き手と話し手の双方に問題発見を促す働きがある。
不確実性を早期に発見するために、目標は小さくし、Scrum手法を適用する。 ダメージを想定し備えるとともに、失敗したときのコンティンジェンシープランを持っておく。
良いチームを支える技術
手を動かすことと議論することにチームを集中させる必要がある。ここで言う議論はコンセンサスを作ることではなく知恵を出し合うことである。
手を動かす時間を作るために、作業は極力自動化する。バグの再現環境を作ったり、管理用の情報を揃えたり、やるべき作業をリマインドしたり、必要なライブラリやミドルウェアを揃えたり、コードレビューをしたり。 CIジョブでできるチェックは極力CIジョブで実施する。理想的には1日あたり4時間以上集中して作業できる状態にする。時間はまとまって確保できるようにし、フローに入れるようにする。
議論はあらかじめ目的を明確にして、結論の出し方を決めておく。ファシリテーターを置く。ここでは思考や知見を積み上げることを目的としているため、アウトプットは文書化し検索可能にする必要がある。
ほか
- TeachingとCoachingの使い分け
- 組織パターン
- 売上、利益、バジェット
参考書
- 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織
- The DevOps ハンドブック 理論・原則・実践のすべて
- 失敗学のすすめ (講談社文庫)
- 組織パターン (Object Oriented SELECTION)
- ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書トップポイント大賞第2位! ハーパーコリンズ・ノンフィクション)
- 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (1984年)
- ワーク・ルールズ! ―君の生き方とリーダーシップを変える
- 個人、チーム、組織を伸ばす 目標管理の教科書
- リーン・スタートアップ
- エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング
- オープン・オーガニゼーション
- re:Work