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患者の全体像を捉える看護アセスメント(看護学概説第1回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

ヘンダーソンは、人間には共通のニーズがあることを知ることが重要であると述べる一方で、それらのニーズが2つとして同じものがなく、無限に多様な生活様式によって満たされることも認識する必要があると指摘しています。看護師は、人間に共通する視点からニーズを把握しようとしますが、個人によって異なるニーズを完全に理解することが難しく、患者の充足感に合致するようニーズを満たすことも困難であること、さらに他者のニーズを見極める自身の能力には限界があることを認識する必要があります。

しかし、優れた看護師の特徴として、看護対象者との間に一体感を感じることができることが挙げられます。ヘンダーソンは、患者の「皮膚の内側に入り込む看護師は、傾聴する耳を持っているに違いない」と表現しています。看護師は、自身の能力の限界を認識しつつ、優れた看護師を目指し、対象者との一体感を大切にしながら、ニーズを知る努力を継続することが求められます。

臨地実習では、マージョリー・ゴードンによって開発された「11の機能的健康パターンモデル」を用いて患者の全体像を把握します。ゴードンは、1970年代に看護師が診断やケアに役立つ状態のリストを作成し、それを組織化する必要性を提唱しました。看護師が医学的データを使って看護診断を行う際の課題を解決するために、アセスメントと診断の両方に役立つ看護に焦点を当てた枠組みを構築したのです。

機能的健康パターンは、患者を全体的に捉える視点を提供する有用な枠組みです。この枠組みは、個人、家族、地域社会を対象とした看護アセスメントを行うために設計されており、以下の11のパターンから成り立っています。

  1. 健康知覚・健康管理パターン:健康と安全に関する患者の認識と管理。
  2. 栄養・代謝パターン:飲食物摂取の状態と身体各部への栄養供給状態。
  3. 排泄パターン:腸、膀胱、皮膚などの排泄機能のパターン。
  4. 活動・運動パターン:運動、活動、余暇、レクリエーションに関するパターン。
  5. 睡眠・休息パターン:睡眠、休息、リラクゼーションに関するパターン。
  6. 認知・知覚パターン:感覚知覚および認知に関するパターン。
  7. 自己認識・自己概念パターン:患者の自己概念や自己理解に関するパターン。
  8. 役割・関係パターン:患者の役割や人間関係に関するパターン。
  9. 性・生殖パターン:セクシュアリティおよび生殖に関する満足度や不満足のパターン。
  10. コーピング・ストレスパターン:コーピング方法とストレス耐性に関するパターン。
  11. 価値・信念パターン:価値観、信念、目標など意思決定を導くパターン。

これらのパターンを用いることで、看護師は患者の全体像を包括的に理解し、適切なケアを提供する基礎データを得ることができます。

 

 

看護学概説 (放送大学教材 4495)

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