注目コメント算出アルゴリズムの一部にLINEヤフー株式会社の「建設的コメント順位付けモデルAPI」を使用しています
『人が見たら蛙に化(な)れ』( 朝日新聞社)というのは村田喜代子の骨董を題材にした小説である。自分... 『人が見たら蛙に化(な)れ』( 朝日新聞社)というのは村田喜代子の骨董を題材にした小説である。自分だけのお宝は、決して他人には知られたくないものだ。そんな人間の占有欲を見事に言い表したタイトルなのである。 元は民話から来ているようだ。二つのタイプがあって、一つは嫁と姑の話で、姑がぼた餅に「嫁が見たら蛙になれ、わしが見たらぼた餅になれ」といって出かける。それを見た嫁がぼた餅を食べ、蛙を入れておき騒動になるという物語で狂言の「附子(ぶす/ぶし)」やひと休とんち話の原形になっている。 もう一つの話では、兄が遊び好きで金を遣い、弟は働き者で金をため、かめの中に入れ「兄が見たら蛙になれ、わしが見たら金になれ」といってためている。それを兄が見つけて金を奪って大騒ぎになる…。 実は村田の小説の前に、この言い回しを知っていた。それは白州正子の『縁あって』(青土社)のエッセイである。 「人