カール・ヤスパース、「哲学の学校」　(No.760　10/07/01) | ミネルバのフクロウ

カール・ヤスパース、「哲学の学校」　(No.760　10/07/01) | ミネルバのフクロウ

哲学という言葉から思い浮かぶのは「やたら難しい学問」ということだ。何ともわけの分からないことをテ...概要を表示 哲学という言葉から思い浮かぶのは「やたら難しい学問」ということだ。何ともわけの分からないことをテーマに、難しい言葉で、難しい内容を語るのが哲学と誰もが思っている。こんな難しい哲学を分かりやすく解説してくれる本はないか、という人が、ヤスパースの「哲学の学校」に期待すると、きっと失望することだろう。 ドイツの実存哲学者である彼が、1964年にドイツ、バイエルン放送局の依頼で、三ヶ月間、一般の人のために彼の哲学を分かりやすく解説したものを本にまとめたもの(彼は1964年にもバーゼルのラジオ局で12回に渡って哲学の講義をやっているが、これは明日以降に取り上げる予定）である。哲学者がテレビで自分の哲学を解説するのだから、ある程度は分かりやすく書いていると思って読み始めると、裏切られる。もちろん他の著作に比べて格段に分かりやすいことは事実だが、それでもヤスパースがこれまで語ってきた哲学についての基礎知