皇民化教育を進めた父、スパイと疑われ日本軍に殺される＜戦世ぬ沖縄　侵略への動員＞10

皇民化教育を進めた父、スパイと疑われ日本軍に殺される＜戦世ぬ沖縄　侵略への動員＞10

1945年の沖縄戦のさなか、照屋忠英さん＝当時53歳＝はスパイと疑われ、本島北部で日本軍に殺された。耳...概要を表示 1945年の沖縄戦のさなか、照屋忠英さん＝当時53歳＝はスパイと疑われ、本島北部で日本軍に殺された。耳が遠かったことが理由の一つとされる。娘の与儀毬（まり）子さん（94）＝那覇市＝が振り返った。「中国に持っていたような蔑視は、沖縄にもあったのでは」。中国の人々に暴力を振るい、痛めつけた日本軍が毬子さんの中で重なる。 忠英さんは校長として、率先して皇民化教育を実践した。満州事変から2年後の1933年、今帰仁村の天底尋常高等小学校で「御真影」（天皇、皇后両陛下の写真）への礼拝を始め、日中戦争が拡大した38年には「荘厳県下一」とも言われた、御真影などを入れる奉安殿を建立。子どもたちに、周辺諸国と比べて日本の優越性や国のために死ねる価値観を強いた。 ただ毬子さんにとっては、音楽を愛する父。師範学校音楽部を卒業した忠英さんは自宅でバイオリンを弾き、オルガンを教えてくれた。43年、県立第一高等女学校に