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ヴィルヌーヴの作品は物語が遅く、見ている者が先回りしてしまうところを、後からゆっくり追いつたり、... ヴィルヌーヴの作品は物語が遅く、見ている者が先回りしてしまうところを、後からゆっくり追いつたり、いつの間にか追い抜いて見果てぬ地平にいたり、不意に背中を押していったりするのだが、今作でもその筆致は健在で、見ている最中や見た直後よりも、見終わって少し経ってから感じ入るものがあるほど遅く、それは前作『ブレードランナー』が「近未来を描いた過去作」であり、そこから35年経った『2049』が「過去作の未来であり、現在の少し先」である事などを考えると、作品とフィットしているように思えた。まぎれもなく、前作の続きであり、あの世界と地続き。テレビはいつもブラウン管。傘は絶対ビニール傘。大きなソニーの広告が輝いている。 ロジャー・ディーキンスの撮影による出来上がったワンショットワンショットに対し、物語も人物も幾分揺らぎがあって、それは言うまでもなく「本物」と「紛い物」の揺らぎでもあり、彼・彼女らレプリカント