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◇伊原昭(あき)著(笠間書院・2310円) ◇古典文学をときほぐす「色」への尽きぬ想い 先日、三十六... ◇伊原昭(あき)著(笠間書院・2310円) ◇古典文学をときほぐす「色」への尽きぬ想い 先日、三十六年ぶりにトキが野生で孵化(ふか)し、無事に巣立った。これは絶滅危惧種を救うと同時に、朱鷺(とき)色という色をも救う、大きな出来事である。鳥の名を付したひとつの色が色として成り立つためには、自然、文化、経済をふくむ、時代のすべての条件が整わなければならない。同時代に生きる者が、色に対してどのように心を寄せ、どのように接するか。鳥と色の関係は、人と言葉に、命そのものにかかわってくるのだ。 本書は、文学と色のかかわりについて地道な研究を重ねてきた著者の、成果というより「想(おも)い」の精髄をまとめたものである。さまざまな媒体で語られた「色へのことば」。大切なのは、色の言葉ではなく、色への言葉、色と自分との近さ遠さを、いま一度見きわめようとする姿勢である。 神話の時代から、色はことばとともにあった。
2012/07/01 リンク