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先日十二月九日は漱石の忌日であった。新聞のコラムにも漱石忌にちなんだ話があり、そういえば漱石の胃... 先日十二月九日は漱石の忌日であった。新聞のコラムにも漱石忌にちなんだ話があり、そういえば漱石の胃潰瘍の原因は飯の食い過ぎかなどと先達に諭されもした。その晩だったか、妙に気鬱で寝付かれず、寝間着のまま閑散とした食卓でグリューワインを飲みながら、よもやと虚空を睨んだ。黴菌マンのような微細な悪魔がはひふへほ~と不吉に笑うのを聞いたようでもあった。十万ボルトを浴びたように事典を引くと案の定。夏目漱石、一八六七~一九一六。引き算をする。一九一六マイナス一八六七イコール四九。え? 四九? 享年五〇とばかり思っていた。我ながら自分の愚かさに泣き俯した。享年というのは満年齢だ。漱石先生は一月五日生まれ(新暦二月九日)。やはり四九。この無精髭の眠れぬ愚物よ、お前は何歳だ。四九。外天に飽満したか、餡パンマン。お顔が濡れて力が出ない。 己はついに漱石先生の今生の日数を超えるのか。そんな日が来るのか。冷え切った身
2008/08/28 リンク