2024年10月05日

軽井沢/アントニン・レーモンド建築探訪




三十数年ぶりの軽井沢への小旅行。
一日目にかなり歩き回ったので、
二日目はレーモンド建築に絞ってゆっくりと。
まずは、ホテルの近くにある軽井沢タリアセン。
軽井沢町の南に位置する塩沢湖を中心するエリアです。
http://www.karuizawataliesin.com




フランクロイドライトのタリアセンの名前を冠していますが、
それは関係ありませんでした。。。
美術館、遊戯施設、レストラン、ショップが
塩沢湖畔に点在して、広い園内をゆっくりと散策できます。

そこにあるペイネ美術館は、アントニン・レーモンド設計の
『軽井沢・夏の家』と呼ばれるアトリエ兼別荘を移築した建築です。
http://www.karuizawataliesin.com/look




緩勾配屋根、外壁の下見板張り、丸太柱や丸太母屋、
丸太タル木というレーモンド建築のアイコン満載です。
入口横には建設当時に屋根の上に載せられていた
カラマツの枝の再現があります。
雨音軽減と直射日光の輻射で室内温度が高くならない目的ですが、
さすがに、それを維持することが難しかったようです。




鉄筋コンクリート造なら分かるバタフライルーフですが、
木造で造るにはちょっと勇気がいります。
また1階から2階へは階段の代わりに
スロープにより登っていきます。。。
建築関係者以外で、これはコルビュジエ風と・・・と思った方。




実はこの原型は、ルコルビュジエのエラズリス邸計画案です。
そのため夏の家はコルビュジエの模倣と言われ
批判されたこともありますが、
コルビュジエ本人がこの建築をみて自分の作品集に載せるほど
評価しています。巨匠は巨匠を知る・・・ですね。




内部の写真は不可でしたが、やはりバタフライルーフの木造化は
その処理が屋根材のみに寄るため、
内部には雨漏りのシミが出て、壁板が交換されていましたが、
しっかりと補修されていました。
スロープで2階へ上がっていくと、
目線が隅々まで変化しながら眺められるので新鮮でした。







内部は、それぞれ個室がありますが、
それぞれに、低い丸太の片流れの小屋組と
木製格子ガラス窓と無双窓の板戸に包まれた
落ち着いた空間となっています。
レイモン・ペイネの美術館ですので、スケッチが展示されていますが、
建築と共に心地よく、良い時間を過ごせました。
https://jp.pinterest.com/hyuganatussu/レイモンペイネ/




次に訪れたのは、1935年に設立された軽井沢聖パウロカトリック教会。
http://www.yokohama.catholic.jp/syokyoku_top/yb_parish_n04.html

外観の屋根の形状は独創的で大胆ですが、
全体の大きさは思ったよりもこぢんまりとしています。




正面は緩やかな下屋屋根の水平ライン上から
急勾配の切妻が立ち上がり、
縦長の格子窓と聖母像が持ち出された頂部
小さな寄棟の下に配されています。
丸太母屋の小口が保護のため白く塗られており
外壁の茶色とのコントラストが目に入ります。




木造トラスの屋根を支えている1階の壁は、
鉄筋コンクリート造ですが、改修工事で、
当初の型枠横板張り打放しの表情になっています。




内部のシザーストラス毎にある袖壁も
構造的な理に適っています。
内部に入ると、そのシザーストラスを構成する
丸太タイコ落としの部分がやじり模様に削られて
空間にアクセントとなっています。




片面はコンクリート壁上部の大梁で支えられていますが、
もう一方の面は太丸太柱と梁で構成されて、
奥に平屋の1列が増やされています。
この席に座ると、また違った角度から、
小屋組端部の切り替えが眺められて、
低い屋根組に囲まれた空間となっています。




教会には珍しく、正面のキリスト像背面からだけでなく、
側面の横長窓からも光が入り込み、
小屋組全体を柔らかい光が浮き上がらせています。




駐車場側に回り込みますと、
換気用の大きな塔屋が立ち上がり、
持ち上げた屋根とそこに回り込む下屋、
屋根頂部の棟部には小さな千木のような
交差した板が連続して、
正面とはまったく違う屋根デザインとなっていて、
各部に見所が満載でした。




ここに車で訪れるには道も狭く、
道歩く人も多く、結構大変でした。
私は平日の午後でしたが、それでもこの状況でしたし、
また、教会の駐車場は15分の時間制限もありますので
ご注意ください。

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2022年04月03日

旧宅庇の緑青銅板の使い道




旧宅の再生材料は、すべて寸法取りをして図面化、
その使用部位も設計に折り込んでいました。
そのため、まずは解体工事が始まる前に、
大工さんに入ってもらって、取り外しを終えてから
本格的な解体工事に入ります。




どのお住まいでもそうですが、
それまで生まれ育った住まいがなくなることは、
住まい手にとっても複雑な思いが交錯するものですが、
設計者にとっても、それは同じ。
特に、古いお住まいでは継承すべき素材は
他に無かったか・・・と、想いを馳せます。








そんな中で、ふと目に留まった各庇の緑青銅板。
こんな所にも使ってあったのかと、
あらためてこのお住まいの建築時の想いに至り、
急遽、現場にお願いして各庇の緑青銅板を
外してもらいました。
大工さんではないので、あまり上手く取れないかもしれませんよ
と念を押されましたが、それでもお願いして
取り外していただき、保管しておきました。




くねくねとなった緑青銅板ですが、
大ケヤキの根元にあった、落ち葉を溜めておくための
小さいストック小屋の波板屋根の
葺き直しに使うことを思い立ちました。




解体前は暗がりの通路脇でしかありませんが、
新しい住まいの西庭として生まれ変わると、
その背景に目立ってくるので、
その屋根の化粧直しにうってつけだと考えました。

多少くねくねと曲がっていても、
それはご愛敬、それより年月を重ねた緑青銅板の方が、
よりその価値が大きいとの思いでした。




そして、再整備された西庭の大ケヤキの根元、
背景として、りっぱなコンポスト棟として、
新設された畑の腐葉土の再生産に役立ってくれることでしょう。




ちなみに、枯れ葉を腐葉土にするためには、
適度な湿気が必要というアドバイスの元に、
屋根に少しだけ穴を開けて、雨が下に落ちるようにしています。
また、解体の時に合わせて取っておいてもらった
銅製の軒樋と竪樋も良い感じに備わっています。




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2021年08月28日

外壁・軒裏・ガレージシャッターの色合い




住まいの外観の色を決める場合、
その色味の選択肢は多岐にわたりますが、
私の場合は、素材の選定によって
ある程度色のイメージが住まい設計の当初から
定まっていることがほとんどです。

基本設計段階で住まい手にもプレゼンをしますが、
現場でも建て方終了後に合わせて、
実際の色サンプルを幾つか製作してもらい
現地での確認をおこないます。

この色見本も、大きさには限界があるので、
そこから全体像の色を決定するには、経験が必要です。
色見本は日の当たるところと日陰の双方での確認、
また、面積が大きくなると彩度と明度が上がるので、
その辺りの案配も配慮する必要があります。

今回の住まいは、平屋で緩勾配のため、屋根の色よりも
軒裏のウェスタンレッドシーダー
の色味がベースにありますので
外壁はグレー系ですが深みのある色合いを選定しています。

また、外壁よりも道路側から大きく見える
ガレージシャッターも軒裏と同じ
米杉電動シャッターとなりますが、
こちらも、メーカーの色合いから選定しています。

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2021年07月28日

庇を薄くするにはスチールを併用




屋根の軒を出すのは設計の定番ですが、
妻側の開口部や勝手口には庇を取り付けます。

こうした箇所の庇はタル木の持ち出しができないので、
直接、壁からの持ち出しになるので、
建築で作るとあまり出すことができなかったり、
出を取ろうとするとそれなりの厚みが必要となりますが、
それでは、ちょっと見た目のスッキリさがでない。




こういう時は、スチール加工を併用して
片持ち庇を900mm程度持ち出すことができます。
躯体側に、コウチボルトの受け材、
スチールには下地の木材が上下に
造作できるように取付形状を考えます。
こうして、薄くて出が十分ある小庇ができあがります。






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2021年07月02日

軒裏を仕上げることは住まいの表情を決めること




今回の住まいの工法は枠組み壁工法。
平屋主体ということを考えると在来工法という選択もありますが、
平面計画、断面計画、立面計画に全体の構造計画、
そして、設備計画とダクト工事計画などを
総合的に判断すると、在来工法ではちょっと難しい。
躯体工事は、パネル化・建て方という
静鉄ホームズのパネル工場の仕事となっております。

・住まいの基礎工事までに決めるべきことは多数
https://atelier-m-architects.at.webry.info/202104/article_3.html
・住まいの省エネルギー性能を設計通り確保するために1
https://atelier-m-architects.at.webry.info/202104/article_8.html
・住まいの省エネルギー性能を設計通り確保するために2
https://atelier-m-architects.at.webry.info/202105/article_1.html
・住まいの省エネルギー性能を設計通り確保するために3
https://atelier-m-architects.at.webry.info/202105/article_3.html
・住まいの省エネルギー性能を設計通り確保するために4
https://atelier-m-architects.at.webry.info/202106/article_1.html




地盤改良や基礎工事、先行設備配管工事を終えて、
しばし助走期間の中に詳細図などを進めておりましたが、
いよいよ本体施工の平和建設と棟梁の本格的な出番となります。
この住まいは、外部からは屋根はほとんど見えないので、
平屋の建物ということぐらいしか分からないと思います。






つまりこの住まいは軒裏が大きくその表情を決める要素となります。
外壁の透湿防水シート張りや通気胴縁の設置と共に
進められるのは、破風や軒裏の下地作り。

今回の設計では、破風は軒裏に使用する耐火板厚18を、
ガルバリウム鋼板で巻き込む仕様として、
しっかりと準耐火構造に準じる納まりとしています。






これは軒先のガルバリウム鋼板樋と屋根を一体に見せるための
アトリエMアーキテクツの定番仕様ですが、
その辺りはまた別の機会に。








その軒裏破風下には、屋根換気の通気口として、
ステンレスメッシュ+アルミパンチングメタルを
ウェスタンレッドシーダーの押し縁で留めて、
そこからウェスタンレッドシーダー厚11×135
本実材の乱尺が張られます。

軒裏の納まりは、水平に張るか、屋根勾配なりに張るか
これは納まり上大きな分岐点となります。
今回は、平屋の部分と2階建て部分とで、
違和感の内容に仕様を分けて張ることにしていて、
これは、建て方時点で詳細図にて検討して決めていますので、
躯体の軒先がそれぞれ、それに合わせてカット加工されています。








3(914mm)〜16(4876mm)フィート乱尺といいながら
その多くは、10(3048mm)フィート以上が大半を占めて、
さすが、カナダ産ウェスタンレッドシーダーのお陰です。
全体で140m2弱ありますので、長物の12〜16フィートは
メインのところに取り置きして、ある程度選択します。
軒裏張りがほぼ終了して、通気廻りの押し縁を取り付ければ、
すっきりと締まった軒裏が完成します。







しかし、4月の値上げ前に発注していたので旧価格でしたが、
7月からさらに23%の値上げのお知らせが。。。
製品によっては、10〜40%。。。(;゚ロ゚)
何とか二回にわたる値上げをすり抜けて工事が進んでいます。

今回のお住まいは、当初から
軟らかい表現として、内外にウェスタンレッドシーダーを
当初から選定していましたので、これも幸いしました。
これまでの軒裏は米松ピーラーが多かったのですが、
もし今回が米松ピーラーだったらどうなっていたか?
というくらい、納期不確定な状況が
今年前半から続きております。
木材のこの先の動向は、まだまだ上方傾向が続くようで、
これからの計画には、その辺りの様子見の見極めが必要かもしれません。




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2021年04月13日

住まいの基礎工事までに決めるべきことは多数




企画→基本→実施へと設計を進める中で、
住まい手の要望や設計の詳細検討などで変更がおこります。
それらをすべて解決しつつ実施設計を煮詰めていきますが、
その大部分は決めていても、
どうしても積み残しの箇所はあるものです。
その辺りは現場に入ってから・・・とするのですが、
現場が着工して、地縄遣り方→地盤改良→根切→
そして、基礎工事へと入ってくるまでの期間、
その辺りは、建物規模にもよりますが、
今回は約2ヶ月あまり。
結構あるように感じますが、
この間に決めておかなければならないことが数多くあります。




1.地盤改良深さ、範囲、耐圧版位置確認
2.基礎配筋とホールダウン金物
3.外部排水経路設備図
4.給排水排水衛生ガス冷暖房雨水配管位置図
・基礎人通孔、設備配管貫通部の処理と配筋
・基礎下の人通孔と配管工事の交錯と床下点検口
5.躯体工事と内部衛生設備配管干渉のチェック
6.躯体工事とホールダウン金物位置図
7.外部サッシ納まりとラフ開口
8.構造躯体図とダクト経路関係図
9.軸組図による詳細部の検討
これを2ヶ月で終わらせることは難しいのですが、
他のプロジェクトの兼ね合いをみながら、
その検討は、工事契約金額が決まった段階から、
徐々に進めておりました。




1.地盤改良深さ、範囲、耐圧版位置確認
今回は中庭コの字型建物と既存建物や敷地内水路との
関係がタイトでしたが、敷地測量図のデジタル情報があり
それを元にした配置設計でしたので、
多少の微調整ですみました。
2. 基礎配筋とホールダウン金物
これはこれまでの基礎と同様の設計ですので
図面流用が可能ですが、今回は基礎芯と躯体芯のズレが
大きく4つ存在するのでその辺りの確認が必要です。




3.外部排水経路設備図
4.給排水排水衛生ガス冷暖房雨水配管位置図
・基礎人通孔、設備配管貫通部の処理と配筋
・基礎下の人通孔と配管工事の交錯と床下点検口
5.躯体工事と内部衛生設備配管干渉のチェック




これについては、私の設計で現場で最初に行う作業ですが、
外部の雨樋の位置、躯体からの離れ、
内部の衛生設備の給水給湯排水位置をすべて数値化して
事前に配管突き出し位置を決めておきます。
これには、2つの施工に対する配慮です。

外部足場を建てたあとは、外部排水の施工できません。
雨樋や給排水位置は事前に決定しておけば、
足場撤去後の外構や外部の塗作業の終盤に
工事職種による錯綜が起こりません。

この時期は竣工が近くて、各職種が入り乱れるので、
事前に決めておけば、それぞれが落ち着いて作業できます。
もう一つは、断熱性能4等級を設計通り確保するため。




今回の住まいはの性能は、
・外皮平均熱貫流率:0.48 W / ㎡K
・平均日射取得率:ηAH 1.4 ηAC 1.7
・BEI:0.76
という平屋主体の不利な条件にも関わらず、
高断熱性能を有しており、床断熱材ネオマフォーム厚80mm、
床構造用合板厚28mm、これを配管の立ち上がりに
最小限の欠き込みでおこなうためには、
事前に配管をセットして、建て方時にピンポイントのみの
開口処理で納めることが必須となります。






6.躯体工事とホールダウン金物位置図
7.外部サッシ納まりとラフ開口
ホールダウン金物については、基礎工事で決めておくのは
構造計算による壁量・許容応力度によるため
在来工法でも枠組み壁工法でも変わりません。

8.構造躯体図とダクト経路関係図

9.軸組図による詳細部の検討
これについては普通であればもう少し後でも可能ですが、
今回は、セントラル冷暖房設備の導入による
ダクト経路がかなりの本数と量となるため、
適正な経路と躯体干渉の処理や床加工など
多岐にわたる調整と共に、
屋根断熱か天井断熱かによって、野地板下の
通気部と下地を変える必要があり、軸組図による
詳細な検討がおこなわれております。




20年前に当時の山武ハネウェル社が住宅用の
セントラル冷暖房システムの導入する折りに、
私がコンサルタントで担当したご縁で、
現アズビルのきくばりを採用していますが、
もう私の物件では、6軒目となります。
https://www.kikubari.com/special/index.html
電子式エアクリーナーとVAV制御のフル装備です。
ちなみみ、アズビルという会社は住宅では耳慣れないですが、
ビル空調の制御機器では、7割以上のシェアも持つ老舗メーカーです。




枠組み壁工法の構造躯体ですが、
静鉄ホームズの大井川フレイミングセンターによる
工場製作パネル化が前提となっており、
https://www.shizutetsu-homes.co.jp/technology/

しかも今月初めの基礎工事完成時には、
躯体のパネル製作も完了するということでしたので、
詳細図までの検討をおこなった上で、
私自身が描き起こした構造図のパネル化への打ち合わせを重ね、
必要な軸組図追加して、細部を詰めております。
今回は、躯体設計の3Dと加工機が連動する部分も多くあり、
そのデータを私のVectorworksarchitectsに取り込むことで、
事前検証と共に、屋根や内部の打ち合わせにも活用しております。




こうした準備を経て、今週からの床・躯体工事となり、
来週末には、屋根までの組み上げ完了と
同時に、ゴムアス付ルーフィング粘着厚1.0の施工も終わる予定です。
本来であれば、枠組み壁工法の屋根は一番最後となりますが、
在来工法より進んだ形で、ほぼ造作前の状態まで
一気に完成させることができます。
そしてここからが長い、こだわりの造作ディテールが展開します。

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2017年06月13日

屋根より軒裏が見える住まいの決め手




住まいのデザインを大きく形づくるのは、
屋根と外壁。
特に、屋根形状はデザインもさることながら、
庇の出と日射遮蔽率や通気口など、
省エネ効果に大きく寄与する部分となります。

そんな屋根形状ですが、
完成してみると、外部から眺められる機会は、
近隣関係で多くの空地があれば別ですが、
案外少ないということが、よくあります。



そんな時、一番目に入ってくるのが軒裏。
まさに、屋根や庇の裏扱いですが、
そこが一番目につく所となります。

ケイ酸カルシウム板の有孔板とVP塗装、
或いは、同様の既製品軒裏材。
これらは、あまり特徴のある材料ではないので、
外壁のグレードがアップするほど、
その差が際立って、よりチープに見えることも多々。

かといって、木を張るには、下地防火処理を含めて、
コストが掛かって来ます。



ここで、ご紹介する二例。
ひとつは、マンサード屋根という特殊な形状ですが、
屋根材を同じ、ガルバリウム鋼板で巻いている軒裏。
http://atelier-m-architects.at.webry.info/201511/article_3.html

もう一つは、ケイ酸カルシウム板の有孔板とVP塗装の上に、
米杉板を押し縁として、均等感覚に打ち付けた例。
軒先の一列を有孔板にして通気口として、
残りは軒裏押し縁の役割と共に
木質の素材感を高めています。



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Posted by macchan24 at 07:12Comments(0)軒裏

2017年06月12日

屋根裏換気の入口デザインと省エネ効果



住宅の屋根は、全体が見える所と
部分が見える所があります。

この部分が見える所、
これが実は、屋根以上に目に停まり、
住宅の雰囲気を決めてしまう軒裏・軒先でしょう。

断熱等級ばかりが目立ちますが、
それと同時に、平均日射熱取得率η(イータ)Aも重要。
そのためには、窓のペアサッシによる断熱化と共に、
庇による遮蔽が欠かせません。

外部の簾や緑のカーテンが有効なように、
古来から、そういう工夫がありましたが、
いままさに、そうしたことが再認識され、
数値化されて、住まいの省エネをサポートしています。



その屋根の深い庇、そこには屋根裏換気の
外気の取り入れ口でもあります。
この通気がなければ、その省エネも成り立ちません。
屋根裏に溜まった熱気が、内部環境に影響し、
また、高温結露の原因にもなります。

通常は、穴の空いたケイカル板を適度に設けて、
それ以外を、既製品の軒裏材で、が一般的。
私の場合は、木を張ることが多いのですが、
ときには、OSB合板も使用します。
合板で大丈夫?という気もするでしょうが、
自邸でも実践していますが、20年経っても問題ありません。
その辺りは、また次の機会に・・・。



軒裏に張る木は、米松板厚10mmが多いですが、
これに、ステンプルーフ(コシイ)という
撥水性の高い防腐防虫の保護材を塗布します。
http://www.koshii.com/sp/
キシラデコールという同材も。
http://www.xyladecor.jp/

もちろん、防火性能を考えて
その下に、耐火板厚12を併用しています。
こうした軒裏では、既製品の通気口
というわけにはいけませんから、
防虫用のサランネット(網戸材)の上に、
アルミパンチングメタルを米松材で留め付け、
軒裏の質感と一体となった通気口を製作しています。

住まいの質感はそれぞれですが、
これは、ちょっと上級仕様とはなりますが、
その住まいの質にあった軒裏造りも必要です。



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Posted by macchan24 at 07:21Comments(0)軒裏