エイプリルフールも一段落したので、退職&入社エントリを書こうと思います。
これまで
3/31付けで前職のNTT CS研を退職しました。CS研には(インターン期間も含め)4年間お世話になりました。
CS研はとても研究する上でよい環境
CS研は研究をする上でかなりよい環境であったと思っていて
- 世界で活躍しているトップの研究者がわらわらいて、日々ディスカッションできる
- (全くないわけではないですが)雑用が少なく、研究に集中できる
- 研究をする上で必要なリソース(計算機、データなど)が十分にある
- 足りないものやデータ等を新しく作りたい場合は、上長をちゃんと説得すればお金をかけて作ることができる
- 自然言語処理の研究をする上でかなり重要
などなど、とても研究しやすい環境です。AAAIやEMNLP、CoNLLなどに行くことができたのもこうしたCS研の環境なしではありえなかったと思います。ここで4年間働けたことに感謝です。研究職を志望する(特に修士以上の)学生さん、就職先にオススメします。
なぜ退職?
「上記の環境をなぜ退職するのか」という理由ですが、「自然言語処理や機械学習の分野において、研究と開発の境界がだんだんなくなってきている」が一番大きいかなと思っています。この分野は10-15年くらい前とは大きく様変わりをしたと思っていて
- エンジニアにも使いやすいツールが出てきた
- 自然言語処理や機械学習の専門ではないエンジニアでも実装が割と容易なディファクトスタンダードな手法が確立され、ノウハウなども共有され始めた
という点が特に大きく変わったと思います(この状況の背景には、研究者の人達が試行錯誤を重ねた上で、論文やツールを公開してくれたことを忘れてはいけません)。ツールの登場やノウハウの蓄積により、エンジニアも自然言語処理や機械学習を活用した様々なアプリケーションを作ることができるようになりました。私は自然言語処理や機械学習を工学の分野だと捉えているので、ベンチマークデータではなく、日々生み出されるリアルなデータに活用してこそ意味があるのではないかと考えています。こうした考えの末、エンジニアとして自然言語処理や機械学習を活用していきたいと思うようになりました。ツールやノウハウがあれば全てOKということはあまりないと思うので、ツールの中身や多少の理論を知っている元研究者がエンジニアとして働くことも意味があるのではないかと思っています。
補足
自然言語処理や機械学習の研究は全て終わった、みたいに思う方がいらっしゃるかもしれませんが、もちろん、そんなことはありません。全部が全部できたというわけではなく、言語生成などのフロンティアな分野は自然言語処理の研究者もどうすればいいかまだまだ分からないことだらけですし、project nextのような、個々のタスクのエラーを地道に分析していくことはこれからもまだまだ必要だと思います。自然言語処理や機械学習の研究はこれからも必要で、研究すべき分野がこれまでとは少し変わってきているということだと思います。
今後
4/1からは株式会社はてなでWebアプリケーションエンジニアとして働きます。職種はWebアプリケーションエンジニアとなっていますが、自然言語処理や機械学習に関連する業務に携わる予定ですので、今後も言語処理学会やローカルの勉強会等には顔を出していきたいと思っています。対外的な活動も推奨されているので、発表もどんどんしていきたい思いますし、会場で見かけた際には是非声をかけていただければ思います。