5版(2014)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 09:08 UTC 版)
『モンスターマニュアル』(2014)に登場。この版でビホルダーの解釈は一変した。 新たな特徴として、この世ならざるビホルダーの存在が場を歪ませることで生じる怪奇現象が加わった。ビホルダーの住居1マイル四方では時折視線を感じる。またビホルダーが眠る都度図形が歪む・無毒の粘液が付着するなど比較的無害な超常現象が起きる。そして住居の中ではビホルダーは近くの床・壁・天井に移動困難な滑りを作る・触手や腕を生やして掴み掛かる・眼柄を生やして魔法光線で攻撃するなど有害な現象を引き起こせる。これらにより、住居にいるビホルダーは脅威度が上昇する。 最も変わったのは眠りと夢である。ビホルダーは眠っている間も眼柄で周囲を知覚しており、このいつでも覚醒できる状態で夢を見る。この夢が住居周辺に起こる比較的無害な超常現象の原因である。そして夢はビホルダーと世界に大きな影響を与え得る。年を経たビホルダーは自身の寿命と死に怯え続けた末に死を超越した夢を見ることがある。その結果変異した姿が5版のデス・タイラント(後述)である。 5版サプリメント『ヴォーロのモンスター見聞録』(2016)ではこの夢による現実改変はそのままビホルダーの繁殖に関わるとされた。ビホルダーが自身を含むビホルダーを夢見たとき、現実が歪められてビホルダーやビホルダーキンが出現するのである。ビホルダーの異常な想像力から生み出されるため、その造形は変化に富んでいる。新旧のビホルダーは殺し合い、逃げ延びることで数を増やす。この際、極稀にビホルダーが多重人格的な夢を見た場合、自身に良く似た一回り小さなビホルダーが出現するケースがある。この時のビホルダーは互いを拡張された自身と認識し、殺し合うこと無く共に暮らす=親子になる。この設定を踏まえ、身体的特徴をダイスで造形するための表が掲載された。更に選択ルールでは脅威度(=経験値)を変えずにそれぞれの魔法と置き換えても良い呪文が提示され、主眼含む全ての眼の魔法光線は3種類の内1種を選んでビホルダーのキャラクターを造形できる(より簡易な方法として「ダメージの種類を変える」も提示されている)。 標準的なビホルダーの眼の魔法は概ね3.5版までと同じで、二種類あった「魅了」が一つになり、代わって「麻痺」が追加された。光線によるダメージ以外の状態異常は同様の効果の呪文と同じく1分間続き、目標は毎ターン抵抗判定を行い効果から逃れる事ができるものが多い。TSR社時代にあった眼を潰す=魔法を封じるルールがない事からか、4版の「アイズ・オブ・ザ・ビホルダー/何ものも看過せぬ無数の目」発動時のように戦闘時には眼柄の光線はランダムに使用される=任意に選んで使えないようになった。これらの光線を自分のターンに3種、全員の行動が終わったら(同一の光線でも)3回と計4~6種の光線を6回使える。 1:魅了光線(魅了状態は1時間続く) コンフュージョン(混乱。表で決定した行動を実行する) バニッシュメント(放逐。目標をこの次元界から最大1分間追放する) 2:麻痺光線 サイレンス(静寂。目標を包む空気の振動を消す) モディファイ・メモリー(記憶修正。目標を1分間魅了し、24時間以内・10分以下の記憶を示唆・改竄する) 3:恐怖光線 ガシアス・フォーム(ガス化。同意する目標を自発移動できる気体に変換する) ムーンビーム(月光。[光輝]ダメージ+変身生物を本来の姿に戻す) 4:減速光線 スリート・ストーム(みぞれの嵐。視界とむき出しの炎を奪い足元の地形を滑りやすくする) ビストウ・カース(短時間の呪詛。目標に表から選んだ不利な効果を与える) 5:衰弱光線([死霊]ダメージ) クリエイト・アンデッド(死体グール化+24時間支配) ポリモーフ(変身。目標を別形態に最大1時間変身させる) 6:念動光線(ビホルダーの次ターンまで拘束状態。300ポンドまでの物体を操作できる) ウォール・オブ・フォース(ほぼ破壊不可能の不可視なエーテル力場の壁を作る) ギアス(最大30日間の命令の強制) 7:睡眠光線 ブラインドネス/デフネス(視覚/聴覚剥奪。1分間盲目か耳聾にする) ミスティ・ステップ(目標を靄に包んで30フィート先まで転移させる) 8:石化光線(石化が始まると拘束状態。次ターン判定失敗で石化完了) ウォール・オブ・アイス(厚さ1フィートの氷の壁を作る。壁に伴う冷気に触れると[冷気]ダメージ) オットーズ・イレジスティブル・ダンス(1分間躍らせ続ける) 9:分解光線([力場]ダメージ。㏋0になると分解) アイバイト(魔眼。眠り・恐慌・不調のいずれかの状態にする) チェイン・ライトニング(連鎖電撃。目標から更に3本の電撃が伸び計4体に[電撃]ダメージ) 10:死の光線([死霊]ダメージ。㏋0になると即死) サークル・オブ・デス(死霊空間。射程内の一点から半径60フィートの球内全員に[死霊]ダメージ) フィーブルマインド(知能低下。[精神]ダメージ+最大30日間【知力】【魅力】の能力値を1にする) 央:魔法抑止の円錐(アンティマジック・フィールド) パワー・ワード・スタンの円錐(範囲内の最も最大HPが少ないものを朦朧状態) ミラージュ・アーケイン(1平方マイル内の全生物の知感全てに及ぶ幻覚) 『ヴォーロのモンスター見聞録』ではビホルダーの種族・生態・社会・住居が詳細に説明されている。 他のモンスター同様名前や内面を決めるための表の他に、下僕やペットを決める表が記載され、戦闘時には選んで使えない魔法光線が日常ではどのように使用されているか―恐怖光線は捕虜への心理的拷問として、分解光線は微調整により自然石を整形したり生物の四肢を切断したりする手段として―が説明されている。 住居は3版のものに準ずるが、階層の移動は基本垂直の通路となった。部屋には自身の価値を語る記念品(強力な魔法の品や敵の肉体の一部、石化した敵など)が収集されており、ビホルダーの居室は上方からの(一方的な)攻撃が行えるよう天井の高い大広間(脱出用隠し通路完備)であることが多い。『ヴォーロのモンスター見聞録』では住居内の部屋をつなぐ垂直通路はつるつるで滑りやすく、主のビホルダーの直径ぎりぎりに掘られているとある。各エリアは半ば孤立していて通路は少なく、最奥部のビホルダーの居室に達するにはビホルダーが想定した侵入ルートを通らざるを得ない構造で、「分解」で壁を消す=最後の一堀りで開通する隠し通路、自身が引っかかる事のない落とし穴などが仕掛けられている。
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