重水炉とは? わかりやすく解説

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じゅうすい‐ろ〔ヂユウスイ‐〕【重水炉】

読み方:じゅうすいろ

減速材重水用い原子炉総称重水軽水よりも中性子吸収しにくいため燃料利用効率高く天然ウラン濃縮せずに燃料として利用できるHWRheavy water reactor)。→軽水炉黒鉛炉

[補説] カナダ開発されCANDU炉重水減速重水冷却圧力管型炉)が同国およびインド中国ルーマニアなどで導入されている。


重水炉(Heavy Water Reactor : HWR)

重水D2O)を減速材として用い原子炉。普通の用い軽水炉よりは無駄な中性子核分裂反応使えるため、天然ウランそのまま燃料として使用できるカナダCANDU炉が重水炉の例。なお、重水H2O)より中性子1個分重く天然水の中には0.015%含まれている。

【重水炉】(じゅうすいろ)

原子炉のうち、減速材として重水重水素酸素化合物)を使うもの。
重水中性子吸収しづらいため、核燃料として天然ウラニウムなどを使うことができる。
しかし大量重水用意することは難しく、また使用後重水三重水素トリチウム)を含むため処理の困難な放射性廃棄物となってしまうといった問題点がある。
また、軽水炉比べてプルトニウム生成しやすいことから、使用国核兵器開発疑惑持たれることがある

カナダなど一部の国では原子力発電所用いられているが、世界的に見れば軽水炉ほど一般的ではない。
これはCANDU炉呼ばれ重水一次冷却水兼ね加圧水型の重水炉である。

一方日本では減速材重水を、冷却材軽水を使う新型転換炉研究され実験炉「ふげん」が運用されていた。
これは重水使用量を節約することでコスト低減図り、さらに核燃料としてプルトニウム混合燃料MOX燃料)を使用できるようにしたものである。
しかし重水軽水個別循環路を設けるなど機構複雑なため期待されたほどのコスト低減はできず、また軽水炉MOX燃料を使うプルサーマル技術開発すすんだこともあり、開発中止されている。


重水炉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/14 22:51 UTC 版)

重水炉じゅうすいろHWR: Heavy Water Reactor)は、減速材重水を用いる原子炉のこと。加圧水型がほとんどであり、特にPHWR(Pressurized Heavy Water Reactor)とよばれる。

重水は高価で、高速中性子の減速能力は軽水に劣る。しかし、中性子吸収量が小さく(軽水の300分の1)減速材として優れており、燃料として安価な天然ウランを使用できる。このため、天然ウラン資源が豊富なカナダが開発に取り組み、1960年代に重水減速重水冷却圧力管型炉(CANDU炉)を実用化した。

現在商業運転されている重水炉は全てこのCANDU炉およびその発展型であり、2010年1月末現在、運転中43基、建設中7基、計画中4基[1]となっている。

主な重水炉

特徴

  • 濃縮していない天然ウランが利用できる
    濃縮されていない天然ウランは価格が安く、ウラン資源が豊かな国では大きな利点となる。ただし、実際の商業運転では効率を上げるため濃縮ウランが用いられる。天然ウランの主成分であるウラン238は中性子捕獲によりプルトニウム239となるが、これは発電に寄与する一方、使用済み核燃料中の超ウラン元素を増やしてしまう。
  • ウラン燃料炉の場合は、核兵器の製造に適する(核拡散防止に不利)
    軽水炉よりプルトニウムトリウム[要出典]の生産効率が高く、濃縮工場無しで兵器転用が可能で、核拡散リスクが高い。実際、インドCIRUS(CANDU炉)で生成したプルトニウムから原子爆弾を製造し、核武装が懸念されているイランも、核開発を重水炉により進めている。
  • 重水が大量に必要
    発電炉ではトン単位で使用しなければならない重水は、天然水中に微量(0.015574%)しか存在せず、高価である。1968年の記録にはポンド当り28.5USドル(2,250円/100g)とあり、2004年現在、試薬用の純度99%の重水は15,000円 / 100gである。
  • 重水の純度維持が必要
    減速材である重水の濃度は効率に直結し、濃度管理が必要となる。原子炉級重水は濃度99.75wt%以上が要求されるが、運転中に中性子を吸収して放射性のトリチウムが生成したり、冷却材が軽水の場合はこれが混入するなどして濃度が低下(劣化重水)するので、再濃縮プラントを併設する必要がある。
  • トリチウムの発生
    重水の放射化により生じるトリチウム水は、核融合炉が実用化されれば燃料として利用できるが、現状では夜光塗料、ラベリングなど用途が限られ、液体廃棄物とする場合はコスト要因となる。

脚注

  1. ^ https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_02-01-01-05.html 財)高度情報科学技術研究機構
  2. ^ https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_03-02-05-02.html
  3. ^ es:Central_nuclear_Atucha

関連項目

炉型


重水炉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/11/13 05:22 UTC 版)

核分裂炉」の記事における「重水炉」の解説

重水炉には以下の炉型がある。 カナダ型加圧重水炉CANDU重水減速軽水冷却炉SGHWR新型転換炉はこれの一種ガス冷却重水炉(GCHWRまたはHWGCR)

※この「重水炉」の解説は、「核分裂炉」の解説の一部です。
「重水炉」を含む「核分裂炉」の記事については、「核分裂炉」の概要を参照ください。

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