遺伝的原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 02:54 UTC 版)
大部分のがんは偶発的であり、特定遺伝子の遺伝的な欠損や変異によるものではない。しかし遺伝的要素を持ちあわせる、がん症候群が存在する。 女性のBRCA1/BRCA2遺伝子がもたらす、乳癌あるいは卵巣癌 多発性内分泌腺腫 (multiple endocrine neoplasia) - 遺伝子MEN types 1, 2a, 2bによる種々の内分泌腺の腫瘍 p53遺伝子の変異により発症するLi-Fraumeni症候群 (Li-Fraumeni syndrome) (骨肉腫、乳がん、軟組織肉腫、脳腫瘍) (脳腫瘍や大腸ポリポーシスを起す)Turcot症候群 (Turcot syndrome) 若年期に大腸癌を発症する、APC遺伝子の変異が遺伝した家族性大腸腺腫症 (Familial adenomatous polyposis) 若年期に大腸癌を発症する、hMLH1, hMSH2, hMSH6DNA修復遺伝子の変異が遺伝した遺伝性非ポリポーシス大腸癌 (Hereditary nonpolyposis colorectal cancer) 幼少期に網膜内にがんが発生する、Rb遺伝子の変異が遺伝した網膜芽細胞腫 (Retinoblastoma) 若年期に高頻度に多発性嚢胞腎を発症し、のちに腎がんが発生する、VHL遺伝子の変異が遺伝したフォン・ヒッペル・リンドウ病 原因となる遺伝子は不詳であるが、家族内集積のみられる非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) や原発性胆汁性胆管炎 (PBC) による肝細胞癌 (Hepatocellular carcinoma) 遺伝的素因と環境因子の双方により発癌リスクが高くなるものとして、アルコール脱水素酵素の低活性とアルコール多飲がある。これらが揃うと頭頸部癌(咽頭癌・食道癌)の罹患率が上昇する。日本を含むアジアではアルコール脱水素酵素(ADH1B)の活性が低い人が多い。
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