診断・治療
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 12:26 UTC 版)
「男性ホルモン補充療法」の記事における「診断・治療」の解説
テストステロン値が一定の値よりも低い状態をLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)と診断し、男性ホルモン補充療法がおこなわれる。日本では独自の基準が設定され、フリーテストステロン8.5 pg/ml未満が治療適応、8.5から11.8pg/mlはボーダーラインとなっているが、これはあくまでも目安であって、テストステロンの値自体と症状の重症度が相関しないたことから、実際は以前の状態からどの程度減少したかが考慮される。その他、食事療法、エクササイズ、マインドフルネス、リラクゼーションなどの治療が有効である。男性ホルモン補充療法には、筋肉注射のほか、内服薬もあるが日本で認められているものは、効果の不安定さや副作用の問題で使用できない。ジェル剤を使った経皮処方もあるが、日本では保険適用になるのは1980年代に承認された筋肉注射剤のみでゲル剤は自費診療になる。これに対し、アメリカでは塗り薬、クリーム、ジェルが多く使用される。経皮吸収である塗り薬の場合、肝臓への負担が少ないため、少ない量で効き目を発揮するためより安全であると考えられる。塗布する場所は陰嚢が推奨され、腕の42倍の吸収量である。 筋肉注射による治療では、テストステロン製剤を2-4週間に1回、腕や尻の筋肉に注射する。3か月間程度行って効果を確認し、効果がある場合は1年間を目安に継続する。約70%の患者に効果があり、1回で効果が出る場合や3か月ほどかけて徐々に改善するケースなど様々である。医師は、最初に他の病気の可能性がないかのスクリーニングを行う。男性ホルモン補充療法を行っても効果が現れない場合は、うつ病、脳の下垂体や甲状腺の病気などが疑われるため、精神科や心療内科、脳神経内科、内分泌科などでの治療が検討される。臨床現場では、酒・タバコを控え、運動をする習慣を持つようになった患者は回復し、諸症状も改善する傾向が高いといわれる。 漢方薬ではストレスがあると分泌されるコルチゾールというホルモンや、コルチゾールの分泌を促す副腎皮質刺激ホルモンの分泌を低下させる作用がある補中益気湯が有効とされる。その他、男性ホルモンの一種であるDHEAの分泌を高める働きのある八味地黄丸、コルチゾールの分泌を低下させることでテストステロンの分泌を高める作用がある柴胡加竜骨牡蛎湯などが使用される。 また、男性ホルモンは夜間に作られるため、睡眠時無呼吸症候群がないかどうかのチェックなど睡眠の質の向上が重要である。
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