脱塩
読み方: だつえん
【英】: desalting
【英】: desalting
原油中には産油地で除去しきれなかった泥水分および輸送中にタンカーの残留バラスト水(海水)の混入により塩分を含む水が存在する。塩分の大部分はナトリウム、カリウム、マグネシウムの塩化物であり、このほか、硫酸塩、炭酸塩も含まれている。これら塩類は原油の精製過程で、熱交換器や加熱炉チューブの汚れの原因となるだけでなく、加熱炉で加熱された際に、塩化マグネシウムや塩化カルシウムのような分解されやすい塩類は分解して塩化水素を発生し、精留塔塔頂部の腐食の原因となる。また、未分解の塩類の多くは残油中に濃縮された形で残存する。これは残油の脱硫や接触分解を行う場合に触媒を被毒するなどその性能に悪影響を及ぼす。塩類を多く含んだ残油を重油として使用した場合には燃焼に際して灰分を増加させていろいろな障害を与える。そのため、原油蒸留装置の安定運転のためには原油中の塩分が 15g/kL 以上ある場合には一般的に脱塩することが好ましいといわれている。また、残油の接触プロセスでの処理を考えた場合には約 3g/kL まで塩分を下げる必要があるため、2 段あるいは 3 段の脱塩が行われる。脱塩操作は、原油に対原油 3 ~ 10 %の清水を加え、よく攪拌{かくはん}、混合して原油中の塩分を水側に溶解させる。しかし、このままでは原油と水はエマルジョンを形成しているので、次にこれを脱塩槽(デソルター)に導いてエマルジョンを破壊し、塩分や泥分を排水中に除去させるものである。エマルジョン破壊の方法には、エマルジョン破壊剤を使用する化学的脱塩法と高圧電場を用いる電気脱塩法があるが、今日では電気脱塩法が一般的である。代表的な脱塩法としてはペトレコ(Petreco)式とハウベーカー(Howe-Baker)式がある。 |
脱塩
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