緊急着陸とは? わかりやすく解説

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緊急着陸!

作者五十嵐均

収載図書緊急着陸!
出版社実業之日本社
刊行年月1996.4
シリーズ名ジョイ・ノベルス


緊急着陸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/03 07:40 UTC 版)

ロサンゼルス国際空港に緊急着陸するジェットブルー航空292便

緊急着陸(きんきゅうちゃくりく、: emergency landing)とは、航空機の安全運航に対する切迫もしくは継続した脅威、または搭乗中の乗客もしくは乗務員に生じた突発的な事案(例:急患発生)などの緊急事態に対処するため、航空機を速やかに着陸させることをいう[注釈 1]。具体的には、最も近いまたは適切な飛行場への目的地外着陸 (forced diversion) のほか、飛行場まで到達できない場合の不時着 (forced landing) または不時着水 (ditching) などが含まれる。緊急着陸を行う航空機は、他の航空機に優先して着陸が許可される。

分類

航空機の 緊急着陸 (emergency landing) は、次のように分類される。

不時着 (forced landing)
何らかの技術的問題により、着陸を余儀なくされた場合をいう[注釈 2]。機体に重大な障害が発生し、または、その発生が差し迫った場合は、どこであっても、速やかに着陸することが重要となる。特に、動力系統、油圧系統、操縦装置などの重要な系統に故障または損傷が発生した場合は、滑走路がなくても着陸しなければならない。その場合、パイロットが何よりも重視するのは、死傷者の発生を可能な限り防止することである。よって、墜落 (crash)[注釈 3]や不時着水するのを避けるため、航空機がまだ飛行可能な状態であるにもかかわらず不時着することもあり得る。
予防着陸 (precautionary landing)
飛行中の予期しない状況の変化、または異常もしくは緊急事態の発生に伴い、危険を避けるためにあらかじめ着陸すること[注釈 4]。例えば、機体の故障、急患の発生、事件の発生などによるものが考えられる。着陸地点を発見し、決定するのが早いほど、故障の進展、天候の悪化などによる状況の悪化を回避するのが容易になる。
不時着水 (ditching)
水上に不時着することをいう。着水した航空機は、水に浮くように設計されたものを除き、やがては沈没してしまう。ただし、損傷の程度によっては、数時間にわたって浮いている場合がある。

要領

エンジンが停止した状態で不時着する場合、固定翼機滑空により着陸するが、回転翼機オートローテーションにより速度と引き換えに高度を得ることで機体を制御しながら着陸する。パイロットは、例えば、1発のエンジンが停止した場合を想定し、降着地域を選定し、適切な速度で降下し、安全に着陸するというような緊急操作訓練を行っている。

動力装置を有する航空機であっても、着陸時には、通常、ほとんど動力を用いていない。このため、滑空またはオートローテーションで到達できる距離内に着陸適地があれば、人員の負傷や機体の損傷を生じることなく緊急着陸できる場合が多い。小型機の場合は、野原、道路、または川岸の砂利の上でも安全に着陸できる(フロートが装備されていれば、水上にも着陸できる)。これに対し、重量が重く、着陸速度が速い中・大型機の場合は、舗装された長い滑走路が必要となる。

主要事例

旅客機の緊急着陸は、そのほとんどは事故にならずに済んでいる。ただし、緊急着陸は、本質的に不確実なものであり、落着 (crash landing) などの事故につながる可能性が常に存在する。アイルランドのシャノン空港は、東行きの大西洋横断飛行を開始後、最初に通過する主要空港であるため、緊急着陸に用いられる回数が多いことで知られる[2][3]

ハドソン川に不時着水したUSエアウェイズ1549便

脚注

注釈

  1. ^ 国土交通省航空局によると、航空法は「墜落」や「不時着」について特に定義していないようです。担当幹部は「航空業界では一般的に、操縦不能に陥って地面と衝突するような事態を墜落というイメージがある」と話します。(出典:朝日新聞)[1]
  2. ^ 不時着については、通常通りに飛行場へ着陸ができない状態(ランディングギアが降りないとか、安全に飛行場まで持たない)又はエンジン停止でオートローテンションや滑空をしながら(非常に限られた範囲で操縦ができる)、機体の損傷を最低限に抑えるように着陸・着水をするような感じです。[1]
  3. ^ 墜落については、操縦不能で地面または水面等に衝突するイメージです。その際に航空機の損傷具合や乗員上客の死傷は関係なくて、あくまで「操縦不能の状態」というところにウェイトがある感じです。[1]
  4. ^ 私の感覚では、「実際に警報灯がついているが、実際に不具合が感じる又は感じられないが、着陸して航空機の状態を把握してみよう」又は「急激な天候悪化により、飛行機(ヘリコプター)としては安全であるが安全を確保して着陸する」というのが予防着陸のような感じであると思います。[1]

出典

  1. ^ a b c d 緊急着陸が悪いのか!?”. 大山孝夫. 2021年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月19日閲覧。
  2. ^ Record number of emergency landings at Shannon as planes forced to divert” (2016年12月31日). 2021年9月10日閲覧。
  3. ^ Shannon Airport handles six unscheduled landings”. 2021年9月10日閲覧。
  4. ^ 遭難日航機真二つ、乗員十三人は救出(昭和15年2月7日 東京日日新聞(夕刊))『昭和ニュース辞典第7巻 昭和14年-昭和16年』p59 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
  5. ^ NTSB, Aloha Airlines, Flight 243, Boeing 737-200, N73711, National Transportation Safety Board, https://www.ntsb.gov/investigations/accidentreports/pages/aar8903.aspx 
  6. ^ NTSB, Explosive Decompression – Loss of Cargo Door in Flight, United Airlines Flight 811 Boeing 747-122, N4713U, National Transportation Safety Board, https://www.ntsb.gov/investigations/AccidentReports/Pages/AAR9202.aspx 
  7. ^ “Newark flight makes emergency landing in Poland”. CNN. (2011年11月1日). http://edition.cnn.com/2011/11/01/world/europe/poland-plane/?hpt=tr_c2 
  8. ^ “Pilot lands jet after bird strike”. (2007年4月29日). http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/manchester/6606375.stm 2009年5月14日閲覧。 

関連項目

外部リンク


緊急着陸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/27 12:46 UTC 版)

日本航空006便エンジン火災事故」の記事における「緊急着陸」の解説

006便は、羽田空港引き返して緊急着陸することになったが、まだ離陸したばかりだったために大量燃料残されており、着陸衝撃に耐えられる重量ではなかった。そのため、すぐに着陸するわけにはいかず、千葉県房総半島付近太平洋上空1時間ほど飛行することで、その間上空燃料放出した燃料十分に投棄され機体軽くなると、12時9分、006便は羽田空港A滑走路ランウェイ34L)に緊急着陸し、12時13分に908ゲート到着した251人の乗客全員無事で、死傷者が出ることはなかった。

※この「緊急着陸」の解説は、「日本航空006便エンジン火災事故」の解説の一部です。
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