竜土軒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/21 05:52 UTC 版)
竜土軒は、かつて麻布龍土町12番地(現在の六本木7丁目4番)にあった西洋料理店である。竜土軒は明治時代に開店した小さなフランス料理店であったが、東京で最古の西洋料理店のひとつとされ、初めは文人ら、後には将校らが集った。店主は麹町の駐日英国大使館に勤めていたコックで、同じく大使館の家政婦だった妻と明治33年(1900年)に大使館裏に西洋料理店「快楽亭」を開き、学習院の学生や永井荷風・柳田国男ら作家たちの行きつけとなり、明治35年(1902年)に龍土町に移転後、町名から龍土軒と改称した。 1941年(昭和16年)に編まれた 『麻布区史』は竜土軒について、次のように記している:「12番地の竜土軒は、東京最古の洋食店の一つで、明治の中頃、国木田独歩、島崎藤村、尾崎紅葉、柳田國男、田山花袋、中沢臨川、蒲原有明、小山内薫、長谷川天渓、川上眉山、小栗風葉、徳田秋声、生田葵山等の文人諸氏が相会しては談論風発したものである。」 和田英作や岡田三郎ら西洋帰りの画家らを最初期の常連として始まった竜土軒であったが、次第に銀座などに本格的な西洋料理店が増えるにつれて、文化人の集いの場として使われることは少なくなった。代わって、歩兵第1連隊の前にあった竜土軒は昭和初年ころからは連隊の将校らが会食する場となり、中野正剛の主宰した「猪を食ふ会」などが開かれて、1936年(昭和11年)の二・二六事件に連座した青年士官らが国粋主義の気勢を昂揚した。 1969年(昭和44年)に西麻布(旧麻布霞町)へ移転し、現在も同地で営業している。
※この「竜土軒」の解説は、「龍土町」の解説の一部です。
「竜土軒」を含む「龍土町」の記事については、「龍土町」の概要を参照ください。
- 竜土軒のページへのリンク