真空式(復水式)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 17:07 UTC 版)
タービンから出た蒸気を復水器で冷却して凝縮して水に戻す方式である。気体である蒸気が液体である水になることで復水器内は真空に近づき、タービンの排気を引き込む働きをする。このためタービンの回転駆動力を強めて熱効率も背圧式に比べると大きくなり、真空式は背圧式に比べて1.7倍ほどの出力が得られる。真空に近い排気圧まで低圧段の蒸気を膨張させるとそれだけ車室などの構造を大きくしなければならず、しかも真空近くに保つ必要があるのでさらに強度が要求される。車室の他にも復水器や冷却水などプラントが大掛かりとなるので小型・簡便な蒸気タービンでは採用されず、効率が求められる大型プラントで用いられる。発電用や船舶用で広く用いられている。真空式は復水式とも呼ばれる。
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真空式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 04:43 UTC 版)
真空式下水道システム、真空式汚水収集システム、真空下水と称され、気密性の高い、真空ステーション(中継ポンプ場)、真空管路、及び各家庭単位の真空弁ユニット(弁マス)から構成される。真空管路内は、ステーションにおける排気によって管路は減圧され、そのまま負圧に保たれる。一方、家庭からの汚水は自然流下にて真空弁ユニットに流入、貯留される。水位の上昇により圧力スイッチやフロートが作動すると、機械的機構が無電源で真空弁を開閉し、汚水は管路へ吸引されステーションへ収集される。 自然流下式よりも地形条件に左右されにくく、布設費が割安で、一般に平坦で軟弱な地盤のエリアでの採用が多い。また、真空ステーション以外で動力用電源を必要としない(真空弁ユニットの異常通報装置などにはバッテリーが必要な場合はある)。管種にはポリエチレン(PE)管や真空下水用塩化ビニル (PVC) 管が使用され、特にポリエチレン管は耐震性が高く、長寿命であるため、現在はこちらが主流となっている。農業集落排水や特環下水・特公下水道など、中から小規模向きの収集システムである。近年は真空ステーションが道路下埋設型でコンパクトかつ、旧来より安価となったため、小規模な収集もコストメリットが出るようになってきた。そのため、下水道普及率が高く財務の良い自治体を中心に、自然流下方式では収集が難しい「下水道整備の残された」エリアの収集方式として多く採用される。民地が道路より低い所や、国道沿いの民家で収集管の敷設が困難な地域、地盤沈下地域などでの採用が進んでいる。中越地震の被災地区の本復旧に採用された事例もあり、その後の中越沖地震で全く管路被害が無いなどの高い耐震性を示した。東日本大震災 では宮城県の烈震地域を中心に数多くの真空式採用地域に於いて、ポリエチレン管路が無被害であった事と、電源の少なさから、近隣の自然流下+ポンプによる下水道敷設地域が大きな道被災を招いたのをよそに、短期復旧している。改めて耐震性に優れたシステムである事を印象付けた。 真空下水管路内の負圧は-25~70kPaである。この負圧で汚水のみ吸引・揚水するのは地球上では2m程度から最大7m程度までが限界である。管路内で、汚水は空気と混合され、低比重の流体(気液混合物)となり2相流を形成して「リフト」と呼ばれる登り勾配(標準で30cm、最大で100cm)を上昇し乗り越えていく。リフトの下流管路は一般に2‰(1~3‰)の下り勾配からなり、気液分離後も自然流下にて流下する。2‰勾配の場合、平坦地でのリフトは150mおきにつけられる事になる。リフト部は、気体の逆流は許しても液体の逆流は妨げる構造となっている。一回の吸引でステーションへ達しなかった汚水も管路底部に担持され、他の真空弁ユニットから流入した気液混合物で後押しされる機会を待つことが出来る。この様に、真空式では水理工学的に高度な技を駆使して汚水を収集する仕組みが備えられている。
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