益虫
益虫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 04:11 UTC 版)
腐食性のハエの幼虫(蛆)の多くは生態系において動植物の遺体の分解者として重要な位置を占めている。 ヤドリバエ科には一部養蚕害虫が見られるものの農業害虫の天敵が多く見られるし、捕食性のイエバエ科の幼虫には衛生害虫になるハエの幼虫の天敵として重要なものが少なくない。 青果業、醸造業において衛生害虫でもあるショウジョウバエ科の一部は生命科学の実験動物として多大の貢献をしている。 ハナアブ科は虫媒花に集まるので農作物の受粉に役立っている。イエバエの成虫も一般には害虫とされるが、種苗会社等による品種改良の際には、ハチの代わりに受粉のために用いられることがある。こうしたハエ(フライ)はミツバチ(ビー)にたとえて「ビーフライ」とも呼ばれ、ミツバチの世界的な激減を受けて一部作物の受粉に使われている。ミツバチより活動する温度帯は広いが、蜜が少ない農作物には寄り付かないこと、帰巣本能がないため管理が難しいことや消費者の嫌悪感が課題となる。また、アブラムシを捕食するヒラタアブ類の幼虫などもいる。 ハエの幼虫を食用にする民族もいる。 家畜の糞などにイエバエを産卵させ、分解した糞は肥料に、幼虫や蛹は飼料にして処理・利用する技術を日本企業のムスカが実用化している。元々はソビエト連邦が有人火星探査用宇宙船内での糞便処理と食料確保を想定して品種改良したイエバエを引き継いでいる。 マゴットセラピー(蛆虫療法)という、特別に清潔な環境下で繁殖させたハエの幼虫(蛆)に、外傷患部の壊死した組織を食べさせる外科的治療法がある。 チーズバエの一種はチーズの発酵に利用されることもある。イタリアのサルデーニャ地方で作られるカース・マルツゥはその代表格である。
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