樹状細胞
免疫細胞の一種。樹状の名のとおり分岐した突起を持っている。抗原を取り込み、他の細胞に提示することにより、体内の適応系統に抗原を覚えさせるという役割を持っている。この働きによって体内で異物を狙い撃ちする免疫機能が保たれている。
この樹状細胞を利用した免疫療法が、「樹状細胞ワクチン療法」(がんペプチドワクチン療法)と呼ばれる。これは患者から摘出した癌細胞を樹状細胞に覚えさせ、体外で培養して注射し、免疫系に癌細胞を攻撃対象として認識させるという手法である。体外で培養するため「養子免疫療法」とも呼ばれる。癌細胞の特徴として、癌細胞に特異的に見られる「WT1ペプチド」を樹状細胞に覚えさせる方式が主となっている。
関連サイト:
がんワクチン「樹状細胞ワクチン療法(樹状細胞療法)」 - テラ株式会社
じゅじょう‐さいぼう〔ジユジヤウサイバウ〕【樹状細胞】
樹状細胞
細胞表面に樹状突起を多く持つ単球由来の血球。組織内を移動して外来性の異物を細胞内に取り込んで消化し、MHC分子を使って細胞外に抗原を提示してT細胞を活性化する。
抗原提示細胞
英訳・(英)同義/類義語:antigen-presenting cell, Dendritic cells
白血球の中の単球から分化したマクロファージや樹状細胞で、体内の異物や死細胞を除去する。また、取り込んだ異物の一部を抗原としてMHCタンパクに結合した状態で細胞膜外に提示し、これを認識したT細胞を活性化する。
細胞名や細胞内の構造オルガネラに関連する用語: | 感覚母細胞 感覚細胞 抗原提示マクロファージ 抗原提示細胞 接合胞子 接触阻害 放射状グリア細胞 |
樹状細胞
【概要】 細胞質から多数の長い突起を出している免疫細胞の一つ。単球、マクロファージ系列の細胞。警察機構に例えれば、駐在所の巡査。地域に常駐していて、犯罪の現場に真っ先に駆けつけ、犯罪の様子を警察本部に知らせる役割である。ところがCD4抗原を表面に持っているので、現場に駆けつけたときに最初にHIVに感染してしまう。
【詳しく】 皮下、消化管や気道や性器の粘膜下にいる。皮下にいるものはランゲルハンス細胞と呼ばれ、リンパ節にいるものは濾胞樹状細胞と呼ばれる。樹状細胞の役割はリンパ球に抗原提示をすることである。HIVに感染した樹状細胞はHIVを産生し続けるが、細胞死に結びつかない。つまりHIV供給基地(リザーバー)になってしまう。
樹状細胞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/18 17:18 UTC 版)
樹状細胞(じゅじょうさいぼう、英: Dendritic cell)は、抗原提示細胞として機能する免疫細胞の一種であり、哺乳類の免疫系の一部を担っている。
- ^ Parham, Peter 『エッセンシャル免疫学』笹月健彦、メディカル・サイエンス・インターナショナル、2007年。
- ^ 宮坂昌之・小安重夫 著『標準免疫学』、2016年2月1日 第3版 第2刷、20ページ
- ^ 『樹状細胞のフェノタイプと免疫染色法』獨協医科大学解剖学マクロ講座 松野健二郎 3ページ目、2020年4月18日に閲覧.
- ^ 小山次郎・大沢利明 著『免疫学の基礎 第4版』、東京化学同人、第4版 第5刷 2013年8月1日 発行、105ページ
- ^ “市民公開講座_20180223 からだをまもる免疫の研究”. 樗木俊聡(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体防御学分野). 2021年3月30日閲覧。
樹状細胞(DC; dendritic cell)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 14:34 UTC 版)
「免疫系」の記事における「樹状細胞(DC; dendritic cell)」の解説
外界に接する組織の中に存在する食細胞である。したがってこの細胞は主に皮膚、鼻、肺、胃、腸に存在する。この細胞の名称は神経細胞の樹状突起(dendrite)に似ていることから付けられた。神経細胞も樹状細胞も樹状突起を多数もっているが、神経機能には関与していない。樹状細胞は適応免疫系の鍵となるT細胞に抗原を提示するので、自然免疫と獲得免疫の橋渡しをしている。
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