木内石亭とは? わかりやすく解説

きうち‐せきてい【木内石亭】

読み方:きうちせきてい

[1725〜1808]江戸後期鉱物学者近江(おうみ)の人。名は重暁(しげあき)。姓は「きのうち」とも読む。全国奇石収集研究し鉱物学化石学・考古学貢献。著「雲根志」など。


木内石亭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/30 07:34 UTC 版)

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木内 石亭(きうち/きのうち せきてい、享保9年12月1日1725年1月14日) - 文化5年3月11日1808年4月6日))は、江戸時代奇石収集家、本草学者。幼名は幾六。は重暁。

人物

『雲根志』。1773(安永2)年 - 1801(享和元)年刊、木内石亭著。国立科学博物館の展示。

近江国志賀郡下坂本村(現滋賀県大津市坂本)に生まれる。捨井家に生まれるが、母の生家である木内家の養子となる [† 1][1]。養子先の木内家は栗太郡山田村(現・草津市)にあり、膳所藩郷代官を務める家柄だった。ところが20歳の時、罪に連座して禁固3カ年に処された。その3年間は歳月が過ぎるのを忘れて石に集中していた。そして、石に集中する自分を自覚した。出身地の近江南部は名石や奇石の産出で知られており、「弄石」(ろうせき)趣味が流行していた。そのころから「奇石」への道を本格的に始めた[1]。 本草学を拡大した「物産学」が登場し、江戸・京都・大坂などで物産会が開かれるようになり、木内も参加した[† 2][1]宝暦元年(1751年)、大坂に赴き津島如蘭(桂庵)から本草学を学んだ。津島塾では木村蒹葭堂と同門。宝暦6年(1756年)には江戸に移り、田村元雄(藍水)に入門。同門下の一人平賀源内らと交流した。

11歳の頃から珍石奇石に興味を抱き、諸国を精力的に旅して、2000種を超える石を収集した。収集した奇石のなかには鉱物や石製品、石器化石も含まれており、分類や石鏃の人工説も唱えており、考古学の先駆者とも評される。

また「弄石社」を結成し、諸国に散らばっている愛好家達の指導的役割を果たした。享和3年(1803年)の弄石社中名簿[2]は全国の弄石家、通計156人の姓名を在住地、号、専門分野とともに掲げる。

著作に『雲根志』[† 3][3] や『奇石産誌』等があり、シーボルトが著書『日本』を記すにあたっては、石器や曲玉について石亭の研究成果を利用している。中山道守山宿の本像寺(滋賀県守山市今宿一丁目)に墓がある。

脚注

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注釈

  1. ^ 父は拾井平左衛門、母は見せ、名は重暁(しげあき)、石亭は号。幼くして母の実家の養子になった。
  2. ^ その頃幕府や諸藩の殖産興業政策を背景に、物産学が登場した
  3. ^ 安永2年(1773年)、約30年の期間を要して前編・後編・三編と順次刊行された。初版は18巻18冊で、後に版を重ねて15冊が普及した。なお、「雲根」は石の異名で、雲が岩根から生ずるとされたために、この名がある

出典

  1. ^ a b c 松藤和人・門田誠一 編著 『よく分かる考古学』 ミネルヴァ書房 <やわらかアカデミズム>・<わかる>シリーズ 2010年 p.10
  2. ^ 松田 2019, p. 65~68.
  3. ^ 松藤和人・門田誠一編著 『よく分かる考古学』 ミネルヴァ書房<やわらかアカデミズム>・<わかる>シリーズ 2010年 p.11

参考文献

  • 中江克己『江戸のスーパー科学者列伝』宝島社
  • 松田清京の学塾 山本読書室の世界』京都新聞出版センター、2019年。
  • 斎藤 忠『木内石亭』人物叢書<新装版>、吉川弘文館、1989年

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