新田理論
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前述のように新田の教え子に故障する選手が多く出た事もあり、野球界もゴルフ界も新田理論の正当な評価をしてこなかったが近年、再評価をする声も出ている。ゴルフダイジェスト社が2000年発行した『ゴルフインタビュー』でも 「もし、新田さんの理論を日本のゴルフ界が謙虚に聞く耳を持っていたなら、日本のゴルフ技術の水準はかなりレベルアップしていたに違いない。じつに彼の20年前の持論が、今日のアメリカの最先端をいく技術論と一致しているのだから。この市井の理論家が、その慧眼のほどに正当な評価を得られなかったことは事実である」と述べられている。この本の新田のインタビュー『新田理論』は以下の通り(抜粋)。 理論は野球・ゴルフの両方から得られたもの。人間の動きに違いはなく、バットを振る、球を投げる、クラブを振る、それは皆、同じ要素から成り立っており、ただ目的や条件が違うだけのこと。つまり人間の動きというのは3つしかない。曲げる、伸ばす、ねじるの3つでそれ以外ない。ただその3つの動きの順序、いわゆる体重移動を終結させる、たとえば野球でいえば球をはなす、ゴルフではクラブを振る、そこに至るまでの順序が重要。ゴルフでも野球でも、へたな人は力の使い方の順序が違う。手を先に使うから、その力が二の腕や肩に返ってくるために痛みが出る。間違った投げ方をすると、前腕部はねじれる結果になり、そこが無理がいって痛む。人間のからだは、自然の法則に合うように力を使えば絶対に痛まない。軸が回転していって、軸に近いところから、次に肩が働いて、ひじが働いてという順序になると回転の力が素直に出ていく。ピッチャーでもへたな人は、いちばん遅れてスタートしなければならないはずの手先を先に使ってしまう。手先の力が下半身からの力を受けていないから、つまり止まっている肩に、手先からと軸からの力が互いに拮抗するかたちで集まって骨折したり、肩を痛めたりする。バックスイングは下からねじり上がっていき、ダウンスイングでは、下からねじり戻していく。だから足首からねじり始め、ひざがねじれて、腰がねじれて、肩がねじれ、手がねじれる。ボクシングでもピッチャーでもゴルフでも人間のからだは同一の構造であるという発想から出発しなくてはならない。センターがあって、左右がある。ゴルフの場合はバックスイングで右サイドから左腰と左肩が前へ出てまわる。それでダウンスイングでは左サイドを引くから右サイドがまわってくる。スウィングというのは、回転運動とテコの力をうまく利用すること。へたな人は両手とヘッドをいっしょに押すように打つ。そうではなくて、支点を決めてテコで打つ。両手が先に動いてきて止まり、ヘッドがあとからついてくる。おまけに軸が回転するのだから、振られるものも回転しなければならない。だから飛距離のインサイドからインサイドへ抜けていく。止まるということは、バネになっているということで、それにテコと円運動が組み合わさっている。へたな人は、右と左がいっしょにいくか、右が先にいく。そうするとテコを失ってしまう。グリップの位置は飛球線に対して直角にかぶっていれば、斜めはいけないが、多少かぶろうが、浅かろうが構わない。スタンスの幅はバリエーションがあってよい。構えは重要、セミ・シッティングというが、お尻を突き出して構えるかたち。そう構えないとバックスイングでねじれない。その構えで下からの力を正確に伝えることが出来る。
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