小惑星帯の環境
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 05:48 UTC 版)
創作などでは、まるで土星の環のように宇宙空間に岩石が、びっしりと密集しているイメージで描かれる事例も見られたが、実際の小惑星帯は、その大部分が空隙である。そのため宇宙探査機が小惑星帯を横断した際にも、これまで重大な衝突事故を起こした事例は1回も無い。もし現実に宇宙探査機サイズの物体が、小惑星とランデブーするためには、精密な軌道計算やターゲティングが必要である。なお、映画・小説『2001年宇宙の旅』は、孤独な小惑星と宇宙船の「遭遇」を現実的に描いている。 それでもなお、現在小惑星帯には何十万個もの小惑星が発見されており、その総数は数百万個を数えるだろうと推定されている。またそれ以外にも、1個の準惑星と逆行小惑星、何個ものメインベルト彗星や彗星・小惑星遷移天体も発見された。 小惑星帯に存在する天体のうち、およそ220個は直径が100 kmを超える。この中で最大の天体は小惑星番号1番のケレスであり、直径はおよそ1000 kmである。小惑星帯内の全体の質量は2.3 ×1021 kgであると見積もられ、これは地球の月の35分の1である。そしてその質量の総量の3分の1は、ケレスによって占められている。さらに小惑星番号10番までの天体で、総質量の約半分を占める。 小惑星帯に存在する小惑星の数の多さは、非常に活発な環境形成に役立ち、このため、小惑星同士の衝突は頻繁に発生する。小惑星同士の衝突は、小惑星を新しい小惑星の「族」を形成するような多数の小さい断片にするか、それが低い相対速度で起こるならば2つの小惑星を接合する可能性もある。このように、小惑星帯の小惑星は、次第に変化してきたし、これからも変化してゆく。
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