均斉成長(黄金時代)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 04:38 UTC 版)
「経済成長の黄金律」の記事における「均斉成長(黄金時代)」の解説
1961年に黄金律を提唱したフェルプスは、全ての経済変数がそれぞれ一定の成長率で伸びてゆく経済成長を黄金時代とよんだ。 この黄金時代の概念は1956年にジョーン・ロビンソンが定義した。現実には経済が厳密に一定の伸び率で成長しつづけることはないので、黄金時代という言葉には「実現しそうにない神話的な状態」という意味がこめられていた。もともと黄金時代はギリシア神話上の時代区分のひとつであり、最も古く長くつづいた時代であったとされる。フェルプスが黄金律を提唱したときの寓話は、古代ギリシア風の架空の王国を舞台とし、その主人公は古代ギリシア語の「経済」をモジったオイコ・ノモスという名であった。 黄金律が提唱された当時は経済学で黄金時代という言葉がつかわれていた。現在は経済学で黄金時代という言葉をつかうことはほとんどなく、そのかわりに均斉成長という。これを恒常状態ともいうが、経済学者によっては成長率がゼロの場合に限ってこれを恒常状態とよぶことがあるというので気をつける。 黄金律が提唱される少し前、ニコラス・カルドアは経済統計を観察し、現実の経済成長がおおむね均斉成長であるという事実を発見した。カルドアはこれを定型化された事実(英語版)とよび、黄金律が提唱された年と同じ1961年に公表した。現代の経済成長理論でも、均斉成長は現実を要約して記述する概念として有益であると考えられている。 均斉成長における技術進歩は資本の生産効率を高めずに労働の生産効率を高めるかのようなかたちになる。これを労働拡張型技術進歩という。このことは、1961年に宇沢弘文が発表した論文で証明された(宇沢の定理)。これと同じ1961年に黄金律を提唱したフェルプスは、初めこのことに気づいていなかったが、1965年の第二論文でこれを取りいれた。
※この「均斉成長(黄金時代)」の解説は、「経済成長の黄金律」の解説の一部です。
「均斉成長(黄金時代)」を含む「経済成長の黄金律」の記事については、「経済成長の黄金律」の概要を参照ください。
- 均斉成長のページへのリンク