宇沢の定理とは? わかりやすく解説

宇沢の定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 04:38 UTC 版)

経済成長の黄金律」の記事における「宇沢の定理」の解説

変数それぞれ一定の伸び率成長する均斉成長において、技術進歩労働拡張型である。この定理初めジョーン・ロビンソン図示し1961年宇沢弘文証明した。これを宇沢の定理という。 宇沢の定理について、証明方法簡素化した Schlicht (2006)にもとづいて数式つかって示すと以下のとおりである。 宇沢の定理では、次のような経済構造考える。 Y t = F ( K t , L t ; t ) {\displaystyle Y_{t}=F(K_{t},L_{t};t)} …時点 t {\displaystyle t} の生産物 Y t {\displaystyle Y_{t}} は生産関数 F {\displaystyle F} をつうじて資本 K t {\displaystyle K_{t}} と労働投入 L t {\displaystyle L_{t}} によってつくられる関数 F {\displaystyle F} は資本 K t {\displaystyle K_{t}} と有効労働 L t {\displaystyle L_{t}} に関して1次同次関数とする(規模に関して収穫一定)。関数中の最後の項「 ; t {\displaystyle ;t} 」は時点 t {\displaystyle t} が進むにしたがって生産関数変化することを示す。 Y t = C t + I t {\displaystyle Y_{t}=C_{t}+I_{t}} …生産物 Y t {\displaystyle Y_{t}} は消費 C t {\displaystyle C_{t}} にあてられる投資 I t {\displaystyle I_{t}} にあてられるK t ˙ = I t − δ K t {\displaystyle {\dot {K_{t}}}=I_{t}-\delta K_{t}} …資本 K t {\displaystyle K_{t}} は投資 I t {\displaystyle I_{t}} によって増えるが、一定の減耗率 δ {\displaystyle \delta } で減る。 以上の経済構造のもとで、 X ∈ { Y , K , L , C , I } {\displaystyle X\in \{Y,K,L,C,I\}} について、各変数 X t > 0 {\displaystyle X_{t}>0} は一定のg X {\displaystyle g_{X}} で成長する、すなわち X t = X 0 e g X t {\displaystyle X_{t}=X_{0}e^{g_{X}t}} とする。これを時間微分すると X t ˙ = g X X t {\displaystyle {\dot {X_{t}}}=g_{X}X_{t}} である。 均斉成長生産資本成長率一致することを以下のとおり示す。 まず、 g Y = g I {\displaystyle g_{Y}=g_{I}} を次のように導く。 X t ˙ = g X X t {\displaystyle {\dot {X_{t}}}=g_{X}X_{t}} をもちいて次の式1の時間微分から式2を得て、またその時微分から式3を得る。 Y t = C t + I t {\displaystyle Y_{t}=C_{t}+I_{t}} g Y Y t = g C C t + g I I t {\displaystyle g_{Y}Y_{t}=g_{C}C_{t}+g_{I}I_{t}} g Y 2 Y t = g C 2 C t + g I 2 I t {\displaystyle g_{Y}^{2}Y_{t}=g_{C}^{2}C_{t}+g_{I}^{2}I_{t}} これらを適宜代入して ( g Yg I ) ( g Yg C ) Y t = 0 {\displaystyle (g_{Y}-g_{I})(g_{Y}-g_{C})Y_{t}=0} ( g Yg I ) ( g Cg I ) I t = 0 {\displaystyle (g_{Y}-g_{I})(g_{C}-g_{I})I_{t}=0} を得る。 Y t > 0 , I t > 0 {\displaystyle Y_{t}>0,I_{t}>0} であるから g Y = g I {\displaystyle g_{Y}=g_{I}} または g Y = g C {\displaystyle g_{Y}=g_{C}} 、かつ g Y = g I {\displaystyle g_{Y}=g_{I}} または g C = g I {\displaystyle g_{C}=g_{I}} である。ここで g Yg I {\displaystyle g_{Y}\neq g_{I}} を仮定すると、上記1から g Y = g C {\displaystyle g_{Y}=g_{C}} 、上記2から g C = g I {\displaystyle g_{C}=g_{I}} になるので、 g Y = g C = g I {\displaystyle g_{Y}=g_{C}=g_{I}} になるが、これは g Yg I {\displaystyle g_{Y}\neq g_{I}} の仮定矛盾する背理法により g Y = g I {\displaystyle g_{Y}=g_{I}} であることがわかる。 また、 g I = g K {\displaystyle g_{I}=g_{K}} を次のように導く。 K t ˙ = g K K t {\displaystyle {\dot {K_{t}}}=g_{K}K_{t}} を K t ˙ = I t − δ K t {\displaystyle {\dot {K_{t}}}=I_{t}-{\delta }K_{t}} に代入して次の式1を得て、またその時微分から次の式2を得る。 g K K t = I t − δ K t {\displaystyle g_{K}K_{t}=I_{t}-{\delta }K_{t}} g K 2 K t = g I I t − g K δ K t {\displaystyle g_{K}^{2}K_{t}=g_{I}I_{t}-g_{K}{\delta }K_{t}} これらから K t {\displaystyle K_{t}} を消去して ( g Ig K ) I I = 0 {\displaystyle (g_{I}-g_{K})I_{I}=0} を得る。 I t > 0 {\displaystyle I_{t}>0} であるから g I = g K {\displaystyle g_{I}=g_{K}} である。 以上により、 g Y = g I = g K {\displaystyle g_{Y}=g_{I}=g_{K}} であり、生産成長率資本成長率一致することが示された。一致する成長率を g {\displaystyle g} と表す。 生産成長率資本成長率一致することをふまえ、技術進歩労働拡張型になることを以下のとおり示す。 0時点では次の式1であり、また Y t = Y 0 e g t {\displaystyle Y_{t}=Y_{0}e^{gt}} 、 K t = K 0 e g t {\displaystyle K_{t}=K_{0}e^{gt}} 、 L t = L 0 e g L t {\displaystyle L_{t}=L_{0}e^{g_{L}t}} であるから、式1は式2のように書ける。関数1次同次性から式2は式3になる。 A t ≡ e ( g − g L ) t {\displaystyle A_{t}\equiv e^{(g-g_{L})t}} と定義すると、式4を得る。 Y 0 = F ( K 0 , L 0 ; 0 ) {\displaystyle Y_{0}=F(K_{0},L_{0};0)} Y t eg t = F ( K t eg t , L t eg L t ; 0 ) {\displaystyle Y_{t}e^{-gt}=F(K_{t}e^{-gt},L_{t}e^{-g_{L}t};0)} Y t = F ( K t , L t e ( g − g L ) t ; 0 ) {\displaystyle Y_{t}=F(K_{t},L_{t}e^{(g-g_{L})t};0)} Y t = F ( K t , A t L t ; 0 ) {\displaystyle Y_{t}=F(K_{t},A_{t}L_{t};0)} 関数形変化を示す最終項がゼロ固定されることは関数形変化しないことを意味する最後の式4の関数のなかで A t {\displaystyle A_{t}} は一定の率で成長し労働 L t {\displaystyle L_{t}} を拡張するのようなになっているので、これを労働拡張技術進歩という。また A t L t {\displaystyle A_{t}L_{t}} を有効労働という。有効労働 A t L t {\displaystyle A_{t}L_{t}} は、生産 Y t {\displaystyle Y_{t}} や資本 K t {\displaystyle K_{t}} と同じ率 g {\displaystyle g} で成長する

※この「宇沢の定理」の解説は、「経済成長の黄金律」の解説の一部です。
「宇沢の定理」を含む「経済成長の黄金律」の記事については、「経済成長の黄金律」の概要を参照ください。

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