南浦文之とは? わかりやすく解説

なんぽ‐ぶんし【南浦文之】

読み方:なんぽぶんし

[1555〜1620江戸初期禅僧日向の人。名は玄昌島津氏仕え薩摩竜源寺大竜寺などに住す。「四書集註」などに和訓文之点)を施したことで知られる著作に「南浦文集」など。


南浦文之

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/13 15:21 UTC 版)

南浦文之(なんぽぶんし、弘治元年(1555年) - 元和6年9月30日1620年10月25日))は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての臨済宗の僧。

俗姓は湯佐氏(一説に和仁氏)[1][2][3][注釈 1]。別名文之玄昌(ぶんしげんしょう)。別号雲興軒・時習斎。

経歴

弘治元年(1555年)に日向国飫肥の南郷外浦に生まれる。号の南浦はこの出生地に由来する。幼い頃から非凡ぶりを発揮し、文殊童と呼ばれていた。12歳のとき、現在の日南市南郷にあった延命寺(現、西明寺)と言う禅門に入り、諱は玄昌で、桂庵玄樹の孫弟子にあたる龍源寺の一翁玄心に儒学を、江夏友賢に五経周易の宋学を学んだ。章句訓詁に秀で、15歳で京に上り東福寺龍吟庵の煕春竜喜の法嗣となり、雲興・懶雲・狂雲などとも号した。

慶長7年(1602年)、島津家久が創建した大竜寺の開山となり、翌8年(1603年)、島津氏の嘱により使として徳川家康に謁し、家康の薦めで建長寺に上堂秉払(じょうどうひんぼつ)の式を行い、後水尾天皇に召され宮中にて四書の新註の講を行うなど、その学識の深さで知られる。島津義久・家久らの深い帰依もあり、薩摩藩の明や琉球との外交文書を司っていた。桂庵玄樹に始まる薩南学派とよばれる朱子学を継ぎ、『四書集註』に玄樹が施した訓点を改訂した[5]

著書に『鉄炮記』『南浦文集』『日州平治記』『決勝記』などがある。

元和6年(1620年)9月30日、66歳で死去。墓所は鹿児島県姶良市の太平山安国寺(墓は国の史跡に指定)。

薩摩藩の剣術家であった東郷重位の剣術へ「示現流」との流派名を与えている。

主な著書

脚注

注釈

  1. ^ 森慶造は湯浅氏としている[4]

出典

  1. ^ 東京帝国大学文学部史料編纂所 編『大日本史料 第十二編之三十四東京帝国大学、1943年、377、379頁。全国書誌番号:73016145https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3450654/207 「薩州旧記」大龍開山文之大和尚行状、および「漢学起源」南浦第三十六。
  2. ^ 神谷成三 著「文之和尚の生涯(上)―生い立ちより慶長十五年頃までの行李とその詩、文―」、鹿児島大学教養部 編『鹿児島大学文科報告 第四号 国文学・漢文学』鹿児島大学教養部、1968年、20頁。doi:10.11501/1759046 
  3. ^ 文之玄昌」『デジタル版 日本人名大辞典+Plus』https://kotobank.jp/word/%E6%96%87%E4%B9%8B%E7%8E%84%E6%98%8Cコトバンクより2024年10月13日閲覧 
  4. ^ 森慶造『南浦文之和尚民友社〈成簣堂叢書第十一篇別冊〉、1918年、24頁。全国書誌番号:43041843https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1182793/27 
  5. ^ 田尻祐一郎南浦文之」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E5%8D%97%E6%B5%A6%E6%96%87%E4%B9%8Bコトバンクより2018年3月22日閲覧 



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