分限裁判(ぶんげんさいばん)
心身の故障または本人の希望により免職を決定する場合や、裁判官として相応しくない行為をしたなどの理由で懲戒処分を下す必要のあるとき、裁判所で行われる審理のことだ。裁判官分限法に基づき開かれる。
分限とは、身分を意味する言葉で、一般には、免職のほか休職や降格といった身分の異動が含まれる。しかし、裁判官の身分は手厚く保障されることから、懲戒には、戒告または1万円以下の過料しかない。
地方裁判所、家庭裁判所および簡易裁判所の裁判官が分限裁判にかけられる場合、高等裁判所において、5人の裁判官による合議体で審判が行われる。また、高等裁判所の裁判官については、最高裁判所の大法廷で開かれることになる。分限裁判とは、裁判所で裁判官を裁くことだと言える。
審理の進め方は、まず当該裁判官の陳述を聴き、原因となっている事実や証拠について調べる。免官や懲戒処分が決まると、その理由も合わせて言い渡される。
身内による処分と言える分限裁判は、当該裁判官が刑事被告人として起訴されたり、国会による弾劾裁判が開かれたりすると、これらの方が優先され、分限裁判の手続きを中止する。
裁判所法で禁じている「積極的政治活動」をめぐり、1998年7月24日、仙台地裁の判事補が分限裁判によって戒告処分を受けて話題に上ったことがあった。
(2001.04.01更新)
分限裁判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 00:29 UTC 版)
2018年7月24日、東京高裁は、岡口がTwitterへの投稿によって裁判の当事者の感情を傷つけたとして、裁判官分限法に基づき、最高裁に岡口の懲戒を申し立てた。この懲戒の申立理由は、犬に関する裁判についてのインターネット記事を要約して2018年5月にTwitterに投稿した件のみである。 「週刊現代」2018年9月8日号は「問題になっているのは犬のツイートではなく岡口さんが行ってきた統治機構への批判にあるのです。与党と野党が一体になって裁判官弾劾裁判所にかけようとしたが裁判所が責任をもって岡口裁判官にツイッターをやめさせるから弾劾裁判はやめてくれと与党と密約した。」「裁判官訴追委員会が半年近くかけて準備していた尋問招致が否決された」と報じた。 2018年9月11日、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は、岡口を懲戒にするかどうかを決める分限裁判の審問を開いた。審問は非公開とされた。岡口と6人の弁護団は審問手続きの後に司法記者クラブで会見を開き、「犬の元の飼い主が、どのような理由で傷ついたのか書かれていない。このままでは認否や反論ができないので、高裁に明らかにしてほしいとお願いした」「裁判官を名乗らずに記事を紹介しただけなのに、なぜ今ここにいるのか、私自身がよく分からない。名誉を毀損(きそん)したとか、一般人でもこういうことを書かれたら傷つくという書き込みをしたというなら、私も理解できる。しかも『傷ついた』というのは非常に主観的な言葉だ。ある人が傷ついたからダメだと後から言われるようでは、怖くて表現行為は何もできない」などと述べた。 2018年10月17日、分限裁判において最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は、14人全員一致の結論として、岡口を戒告とする決定をした。インターネットへの投稿を理由として裁判官が懲戒を受ける最初の事例となった。
※この「分限裁判」の解説は、「岡口基一」の解説の一部です。
「分限裁判」を含む「岡口基一」の記事については、「岡口基一」の概要を参照ください。
「分限裁判」の例文・使い方・用例・文例
分限裁判と同じ種類の言葉
- 分限裁判のページへのリンク