共存仮説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/06 22:23 UTC 版)
さまざまな病原体が他の生命体に侵入・感染する目的は、さまざまな病原体が自らの体内で子孫を残せないからであり、全ての生命体の唯一の目的たる種の保存を達成するために、他の特定の生命体に感染することで細胞内に侵入し、その細胞を利用して、子孫を残し種の保存を行うという説がある。この説によると、さまざまな病原体は他の生命体と「共存」するが、ごく稀に、他の生命体の免疫力が劣っていた場合などに、他の生命体を殺してしまう場合があるとされる。この場合には、さまざまな病原体は種の保存を達成出来ず、宿主と共に死滅する「矛盾」を犯してしまう。しかし、この「不幸なお互いの死滅」は、生命体の普遍的目的たる「種の保存」の原則に反するから、さまざまな病原体の側に「未必の故意」は存在せず、反対に、宿主の側の「免疫力低下」などに起因する「不幸な結果」であり、さまざまな病原体とそれに感染・罹患する全ての生命体は、必ず「共存の道」を選択する。 ミトコンドリアがその好例であり、ミトコンドリアは生命体の進化の過程で動植物に「侵入」したが、動植物は結果的に「共存」する道を選択し、動物の細胞内では動物にエネルギーを与える脇役を担い、植物の細胞内では光合成の手助けを行う脇役を担っている。 ミトコンドリアの侵入および共存の過程の具体的な実証は存在しないが、ミトコンドリアは生命体の存続に不可欠な存在となっており、最新の分子生物学の研究成果は、ミトコンドリアが細胞核との長い共存関係の中で、「相互浸透」している事実を実証した。 このように、さまざまな病原体も生命体であり、種の保存という生命体誕生以来、生命体の遺伝子に刻み込まれた「唯一の目的」を達成するために、他の生命体の細胞を利用するため感染・罹患するのであって、他の生命体を「死滅」させることは遺伝子には刻み込まれていない。
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