ひとつ‐め【一つ目】
一つ目
『出雲国風土記』大原郡阿用の郷 目一つの鬼が、山田を耕作する人の息子を喰った→〔鬼〕1。
『神統記』(ヘシオドス) 原初の時、ガイア(大地)は傲慢なキュクロプスたちを産んだ。彼らは、ゼウスに雷鳴を贈り、雷電を造ってやった者たちである。彼らは神々と同じ姿をしていたが、額の真中に、目が1つしかなかった。それゆえ「円い目(キュクロプス)」と綽名された。
*キュクロプス族の1人ポリュペモスは一つしかない目を、オデュッセウスによってつぶされる→〔盲目〕1の『オデュッセイア』第9巻
『春雨物語』「目ひとつの神」 目一つの神が、歌道修行を志し上京する若者に、故郷へ帰るよう諭した→〔宴席〕1。
★2.一つ目小僧
一つ目小僧と道祖神の伝説 12月8日の夜には、一つ目小僧が家々を巡り、子供たちの悪い行ないを帳面に書きつけて行く。たくさんの子供の悪事を記したために帳面が重くなり、一つ目小僧は帳面を「正月15日に取りに来るから」と言って、道祖神に預ける。帳面に書かれた子供たちは皆さらわれてしまうので、道祖神は、正月14日の左義長の火の中に、帳面を放り込んでしまった(神奈川県秦野市八沢)。
★3.一眼国。
『一眼国』(落語) 香具師が一眼国へ行くと、住人が皆一つ目なので、女の子を1人さらって見世物にしようとする。しかし大勢に取り押さえられ、役所へ連行される。役人が香具師を見て「目が2つもある化け物だ。見世物にせよ」と言う。
『ギリシア神話』(アポロドロス)第2巻第4章 ゴルゴンたちの姉妹であるエニューオー・ペプレードー・デイノーの3姉妹(グライアイ)は、生まれながらに老婆であり、1つの目と1つの歯を互いに貸し借りしていた。ペルセウスがこれを奪い、返すことと交換に、ニムフたちの所へ行く道を聞き出した→〔靴(履・沓・鞋)〕1a。
『子不語』巻9-222 浙江地方に5匹の化け物がいる。4匹は目がなく、1匹だけが目を1つ持っており、他の4匹はその目に頼って物を見るので、「一目五先生」と呼ばれる。5匹の化け物は、眠る人のにおいを嗅(か)ぐ。1匹に嗅がれるとその人は病気になり、5匹全部に嗅がれると死んでしまう。
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