ジントニック
英語:gin and tonic
別表記:ジン・トニック
ジントニック(英: gin and tonic)とは、蒸留酒のジンをベースにしたカクテルである。数あるカクテルのなかでも、マティーニなどと並んで定番のレシピのひとつとなっている。ジンは大麦やライ麦、ジャガイモなどを使った、度数約40%のアルコールで、蒸留の際にネズの実を中心に、コリアンダーなどの薬草類で香りづけされる。これに柑橘系のトニックウォーターを加えることによって10~15%の濃度となる。香りがよくて、柑橘系のほろ苦さが舌に残る、少しビターなお酒である。
熱帯地方の植民地で働くイギリス人の間では、マラリア防止の飲料として、炭酸水に各種の柑橘類の果皮や香草のエキス及び糖分を加えて調製したトニック・ウォーターという清涼飲料水が飲まれていた。これにジンを入れてみたところ、たいへん好評だった。こうして誕生したジントニックは、第二次大戦後に、世界中に広まったという経緯がある。
ジントニック
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ジンをベースにしたカクテルの中で、最もポピュラーなのがこのジントニック。熱帯にあるイギリスの植民地で、マラリア除けの保健飲料として飲まれていたトニックウォーターに、ジンを入れてみたら驚くほど飲み口がよかったというのが始まり。今では「とりあえずの一杯」として世界的に人気のあるジントニック。シンプルなレシピだけに、味わいはバーによって、またバーテンダーによって微妙に異なる。ジンやトニックの銘柄は?デコレーションにはライムかレモンか?こだわればこだわるほど奥の深いカクテルである。 「ビーフィータージン」は、1820年以来、変わらぬレシピを守り続けているビーフィーター社の製品。英国王室の近衛兵、ビーフィーターをシンボルにもつこのロンドン・ドライ・ジンの代表は、いまなおロンドンで蒸溜されている唯一のプレミアムジンでもある。 トニック・ウォーターをソーダと生ライムを絞ったものに変えると「ジン・リッキー」、水またはソーダに変え砂糖を加えると「ジン・スリング」になる。 |
ジン・トニック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/02 14:46 UTC 版)
ジン・トニック (英語: Gin and Tonic) | |
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基本情報 | |
種別 | ロングドリンク |
作成技法 | ビルド[1] |
色 | 無色透明 |
グラス | タンブラー |
アルコール度数 | |
度数 | |
レシピの一例 | |
ベース | ドライ・ジン[4] |
装飾材料 | ライムもしくはレモン[4] |
ジン・トニック(英語: Gin and Tonic)とは、ジンにトニックウォーターを加えて作るカクテルである。
標準的なレシピ
作り方
歴史
ジン・トニックはジンにトニックウォーターを加えて作るカクテルであり[4]、トニックウォーターはキニーネ入りの炭酸水である[6]。
キニーネはキナノキの樹皮に多く含まれる成分で[6]、1630年頃にイエズス会の宣教師によってヨーロッパに持ち帰られたことでマラリアへの効能が判明[7]、1800年頃にはマラリアのほか様々な症状に用いられる万能薬として扱われていた[8]。しかしキニーネは非常に強い苦みを伴うため飲みにくく[6]、アルコール飲料を中心に様々な飲料に混ぜることで摂取されていた[9]。ビールやワインのほか、1730年代イングランドではチョコレートと、1771年のイギリス海軍ではラム酒、1856年のニジェールではシェリー酒と様々である[9]。1700年代後半には人工的な炭酸水が開発され、当初は薬効があると考えられていたことから、同じく健康増進効果があると考えられていたキニーネを混ぜて販売する業者が現れた[10]。最古のキニーネ入り炭酸水はヒューズ・アンド・カンパニーが発売したもので、1835年の広告からその存在が確認できる[10]。1858年にはロンドンのエラスムス・ボンドが「ピッツの気泡入りトニックウォーター」を、1870年代にはシュウェップス社がトニックウォーターを作り始めた[10]。
ジンとトニックウォーターを混ぜ始めたのはイギリス統治下のインドである[10]。インドはマラリアが存在するため、イギリス人たちはキニーネの錠剤やトニックウォーターで摂取していた[10]。ジン・トニックはジンをトニックウォーターで割る単純なカクテルであるため誰が開発したのか特定するのは困難であるが、1868年のインドのイギリス人向けスポーツ雑誌にジン・トニックが嗜好品として飲まれていたことがわかる記述があり[11]、1880年頃にはインドで人気を博するようになった[12]。また、遠地に派遣されていたイギリス海軍では壊血病予防のためにレモンやライムなどの柑橘類が支給されていたため、ジン・トニックにそれらを絞って飲まれるようになった[13]
ジン・トニックがアメリカに伝わった当初は異国の薬用カクテルだと認識されていた[14]。チャールズ・H・ベイカー・ジュニアは1939年の著書でジン・トニックについて「米国に伝わってまだ日が浅く、東洋の異国に通じていることを仲間に印象づけたい者が、自ら主催するパーティで供する程度だ」と述べている[14]。アメリカで人気を博するようになったのは第二次世界大戦後で、シュウェップス社が1953年にアメリカに工場を開設し、積極的な宣伝を行ったことで定番のカクテルとして人気を博した[15]。
脚注
出典
- ^ 上田 2000, p. 78.
- ^ 稲保幸 (2003) p.165
- ^ 桑名伸佐 (2006) p.59
- ^ a b c d e f g h 福西, 花崎 & 山崎 1995, p. 281.
- ^ 日本ジン協会 2019, p. 261.
- ^ a b c 日本ジン協会 2019, p. 47.
- ^ イングリッシュ 2023, p. 284.
- ^ イングリッシュ 2023, p. 293.
- ^ a b イングリッシュ 2023, p. 289.
- ^ a b c d e イングリッシュ 2023, p. 295.
- ^ イングリッシュ 2023, p. 296.
- ^ イングリッシュ 2023, p. 297.
- ^ きたおか 2020, p. 79.
- ^ a b イングリッシュ 2023, p. 304.
- ^ イングリッシュ 2023, pp. 304–305.
参考文献
- キャンパー・イングリッシュ 著、海野桂 訳『酒が薬で、薬が酒で ビール、ワイン、蒸留酒が紡ぐ医学史』柏書房、2023年。ISBN 978-4760155415。
- きたおかろっき『ジンのすべて』旭屋出版、2020年。ISBN 978-4-7511-1345-5。
- 日本ジン協会『ジン大全 COMPLETE BOOK OF GIN』G.B.、2019年。ISBN 978-4-906993-69-7。
- 上田和男『カクテルテクニック』柴田書店、2000年。ISBN 4-388-05868-8。
- 福西英三、花崎一夫、山崎正信『新板 バーテンダーズマニュアル』柴田書店、1995年。ISBN 4-388-05765-7。
- 稲保幸『色でひけるカクテル』大泉書店、2003年12月18日 ISBN 4-278-03752-X
- 桑名伸佐監修『カクテル・パーフェクトブック』日本文芸社、2006年2月25日 ISBN 978-4-537-20423-0
ジントニック
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