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2013-02-25(Mon)

国選弁護人の費用

刑事被告人が弁護士を付ける権利は憲法で保障されています。

「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。(日本国憲法は第37条3項)」

裁判員裁判の対象は「重大な刑事裁判」なので、公判までにかなり時間を要します。
無罪を争うと、なおさら多くの調査期間が必要になるので、1人の弁護人だけで50~60万円。
今回、弁護人が2人付いて、証言の信ぴょう性を疑うような心理学の学者を呼んだりしているので、相場の足し算ではおよそ150万円くらいかかっています。

では、この金は誰が払うか。

公判では、情状を斟酌するときに被告人の資力について主に検察官が問います。

「あなた、貯金はいくら持ってるの?今すぐどれくらい払えるの?被害者にどうやって謝罪していくつもりなの?」

大きな事件を起こしたのだから、被害者への賠償を続ける必要もあるのと同時に、訴訟費用を負担させられるか判断しなければならないからです。
これで十分に支払う能力があると判断したら、判決文で被告人に払うように命じるのです。

判決主文は
「被告人を、懲役○年○月に処する。
この裁判確定の日から、5年間右刑の執行を猶予する。
(没収するものがあれば品目、拘留機関を参入する場合は日数)
訴訟にかかる費用は被告人負担とする。
という感じ。

被告人にとって執行猶予が付くか否か(刑務所に行くか否か)が最重要ポイントだとは思いますが、訴訟費用も大きな問題なのです。

結論として、公判で払う能力まで判断して、資力があるなら判決で被告人に払わせ、ないなら国が負担することになります。


国選弁護人は「どうせ安い費用しか貰えないからやる気がない」という噂が留置場で流れることもあるそうですが、相応の報酬はきちんと受け取るのでそういうことはほぼないとのことです。
金がある人は自分が信頼を置く私選弁護人を雇うとよいでしょうけど、裁判の結果がひっくり返ることはあまりないでしょう。
「真実は、一つ!」というセリフですw

国選弁護人に対して、「私費を払うから私選弁護人になってくれ」と言う人もいるそうですが、弁護士の職務規定で弁護士からそのように要求することはご法度になっていて、請け負うとまるで自分から要求したように見えるので遠慮・お断りする弁護士が多いという事です。
よほど信頼がおけないと思ったら、別の私選弁護人を雇うことになりますね。