2013-12-18(Wed)

WHITE ALBUM2 #11 雪が解け、そして雪が降るまで(後編)

恋してた、君といた、夏は終わり 

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戻れない 君といた、秋を想う。

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前回から引き続いての回想は夏休みも明けた2007年9月から。隣から聞こえてくる、上達しないヘボギターに呆れながらも優しく微笑むかずさの表情がまず凄い破壊力でした。そこから始まる音楽室の壁を隔てた例のセッション。春希がトチればピタッと止まり、優しい表情で暫し待ち、付いてこいと自らリードし音を重ねる。本編初期に度々見られた暴君かずさは、しかし第二音楽室ではこんな表情で春希と通じていたのだなあ。

窓際のスタンドに立てられた、春希と色違いの揃いのギターがまた泣かせます。トーンノブ外しまで揃いなんてどんだけチェックしているのかと。今となっては叶わぬ夢となってしまいましたが、おそらくかずさは好きな男と揃いのギターでマンツーマンコーチ&セッションをしたかったのでしょう。ああオトメすぎ。

駅での待ち伏せから朝の公園へ連れ込んであれこれのシーン。まずベンチの端と端に座る位置取りからしてニマニマが止まらず、そこから夏休みのギターコーチのお礼を言われて無愛想な一瞬に浮かぶ嬉しそうな表情、ギターの上達に「うそつけ」と小声の呟き、謎のピアノエリートの話題に手をわきわき…何このかわいい生き物。照れ隠しのぶっきらぼうでクールダウンするも、春希から手渡された包みにトキメキがV字回復どころかゲージを振り切っちゃってる表情もまた! 好きな男からのプレゼントにわくわくが止まらないかずさ、ところが包みの中身は何とまあ色気のないシロモノで…「イヌでも解る」基礎英文法とか、ナントモかずさにピンポイントヒットなアオリ(笑。春希的にはギター練習本の例に倣った100%の好意だけれど、そこにオトメゴコロへの考慮が完全欠如している辺り朴念仁堅物優等生の限界か。一方春希が何を言おうと眉を引き攣らせて不機嫌フルスロットルのかずさかわいい。あはははは。

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授業をサボって東屋で例の参考書を広げるかずさは変なベクトルで真面目というか義理堅いというか。映り込んだ時計の針が午後4時なので終業チャイム?と思ったら、次のカットに出てきた音楽科モブ子ちゃんが「お弁当」と言っていてハテナ。この学校はお昼が遅いな(笑。するとかずさはモブ子ちゃんから逃げるようにお帰り…慌てて片付けたため参考書は袋とカバンと重ねただけで、後に明らかになりますがこれが原因で落としてしまったのだなあ。あらら。

自宅へ戻ったかずさはベッドに沈んでぐるぐる考え、ってな様子を破れたぬいぐるみ(=自己の否定)が見つめている構図はなかなか面白い。ほどなくベッドから起き上がったかずさはスカートを落としタイを緩めてお着替え…の最中に大切なものを落とした事に気付きます。カバンをひっくり返して空っぽの袋を見て愕然、そのまま急いで探しに出ると思いきや「どうでもいいだろ」と踵を返し再びベッドでぐるぐる。素直になれない揺れるキモチがじつにナントモ。それはそうとさっき脱いだはずのスカートをいつの間に履いた?(笑

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などとぐるぐる考えながらも結局探しに出掛けちゃう辺り、不本意なモノとはいえ「好きな男からもらった初めてのプレゼント」の位置づけが窺えようというもの。ああもう! あちこち探し回るうち降り出した雨に打たれ、傘も差さずに探し続け…群衆の傘から一人浮かんで雨空を見つめる表情は何という捨てられた子犬! そんなこんなで例の東屋へ着いたのは深夜三時、雨の中夜通し探した疲れかかずさは足を滑らせてスッテン!と転んだのが幸いして捜索物を発見。ようやく見つけた参考書を手に雨の夜中の泣き笑い――

 冬馬に教えてもらったギターの練習本、
 買ってみました。
 本当にわかりやすく簡単で
 これなら自分にもついていけそうです。
 冬馬のおかげで、一番最初の基礎が
 一番大事ってこと思い出しました。
 なので冬馬にも、この参考書が一番役に
 立つと思います。
 たまには勉強の先輩の言うことも
 聞いてみてください。
 学園祭まで、卒業まであと少しだけど、
 お互い頑張ろう。

 北原

この限りなく愚直な恋愛のレの字もない文面に、かずさは思いの一方通行を突き付けられて涙し、なのにこんな夜中にずぶ濡れになってまで探していた滑稽さに笑うしかない。なるほどこれが恋愛感情に関する卑下(春希は自分に振り向かない)を意識付けたのか。募った思いの全力空回りに曜子さんへの拘りも馬鹿らしくなってぬいさんの修理、という流れも納得。夜通しの捜索+ぬいさん修理(指のバンソーコ)でおそらく徹夜明けだろうに、それでも学校へ来る=春希との繋がりを絶てない健気さがまた。

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時は進んで学祭ライブ後の第二音楽室。本編では寝入った春希を放置していつの間にかかずさが消え、その後突然現れた雪菜は既にスイッチオンの状態からキスを迫って以下略の流れ。ライブ中の宣戦布告に関わらずかずさを出し抜くような行動はいったい?と思っていましたが、やはり春希が寝落ちて雪菜が現れる間の空白の時間にストーリーの命運を決める出来事が起きていたのでした。

帽子をピアノに置いて立ち去ろうとするかずさはドア前で踵を返し、この時ドアはきちんと閉まっていて、事を済ませて音楽室を出る時は何故かドアが開いていて、その時第一音楽室のドア影に赤いコートが映っていて…要するに雪菜はかずさの一部始終を見ており、だからこそあの行動を取ったということ。雪菜的には「そりゃ無いよ冬馬さん…」だったでしょう。

そんなこんなで溢れる思いを止められずキスに走ったかずさは次の瞬間涙を落とし罪の意識に苛まれ、しかし人前では相変わらずの姐御キャラを通す。一方雪菜は全てを把握しながらオンナノコの武器を駆使し春希との恋人関係&三人の友情の両立を図る強かさを見せていく。などなど見かけ上の強弱と本質を逆転させたドラマ作りはベタな手法なれど、本編上でその本質部分をほぼ隠したまま上辺の話を10話も引っ張り、この大詰めになって回想描写で一気にネタバラシという流れは、確かにサプライズではあるものの、やはり一本のアニメ作品として見ると歪に感じなくなくもないと言ってあg(略。そもそも各キャラの恋愛ベクトルの強さ・根拠がほぼ描かれないまま「すれ違い」を察せというのはかなりハードルが高いと思う。全話一気に見られるならこういう形でも良いでしょうけれど実際は3ヶ月かけて放送するわけで、各話にて描かれていない部分の推察・脳内補完に楽しさを感じない層はこのネタバラシまで辿り着けないような。

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「雪菜に告白した」

シーン変わって春希の報告を聞くかずさの様子。ここで春希が気を回して「自分から告白した」テイで話した事がかずさの卑下の決定打となってしまったか。何せ春希本人から「雪菜を選んだ(=かずさは恋愛対象ではない)」と聞かされたわけで、かずさ的には完全に望みが絶たれた形でありましょう。報告を聞いた瞬間の魂を抜かれたような表情から絶望の深さが見て取れますね。思わず視線を逸らせたかずさは殊勝にも興味無さげに振る舞い、しかし春希が帰った後の様子を見れば…もう見てらんない。

てな所へ曜子さんから電話が来てお食事へ。離れて暮らしていてもさすが母親は全てお見通しのようで、かずさの内面変化を鋭く指摘し、音楽性の変化にももちろん気付き…おそらく教えられたとおりに弾いていただけの中学生までのかずさと、様々な経験によって音楽に感情を乗せられるようになった今のかずさを比べ「私好み」と言わしめた? そしてコンテストの話&結果次第でウィーン行きの話もここで。やはり全て曜子さんが絡んでいたのですね。

「三年前から望んでた事だ」

今のかずさにとって三年前に望んだ事に拘りなど無いはず。そもそも一人日本に置いてけぼりで捨て鉢になっていたかずさが「望んでた」はずもなく、にも関わらずこのセリフは自分への言い訳=嘘であることが判ります。画面はかずさの黒髪を左からの風が揺らしていて、演出のお約束として下手(左)から上手(右)への流れは逆行・不安定なものとされ、つまりかずさの嘘を表現していると思われます。

「そうか、私、この国を、捨てるのか」

曜子さんが去った瞬間風向きが変わって髪は左へ流れこのセリフへ繋がります。上手下手の意味も先ほどとは逆となり正道・真実の意に。つまり母親を追ってウィーンへ行く事が望みではなく、国を捨てる=自分に関わる全てを捨てる=拷問の日々から逃げ出す事がかずさの真の望みなのでしょう。そんな覚悟で臨んだコンテストにて客席のイチャラブを見せ付けられ、コンテスト後の喫茶店でも見せ付けられ、別れを呟き…今思えばどんだけハードモードだったのかと。逆にその感情が乗った演奏が曜子さんの琴線に触れたのかもしれませんが。

などなどここまで描かれた回想から時系列は第8話の屋上へ繋がるわけで、今回のネタバラシを見た後で過去分を見直すと印象が全く変わって面白い。というかいろいろキツい。

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時は流れて12月となりシーンは温泉帰りの車内の会話へ。お節介委員長を揶揄するかずさへ春希は「(お節介は)雪菜と冬馬に対してだけ」と答えて顔を背け、そんな春希にかずさはどよんど俯く。きっと春希は「お前へのお節介は特別」と言いたかっただろうにまたしても気を回す天の邪鬼、一方かずさは「参考書や看病やその他諸々のお節介に特別な意味は無かった」と受け取ったのでしょう。そんなやり取りの後で船を漕いでる雪菜がどうしても寝ているふりにしか見えない。

無事に帰着しクルマを止めて暫し。かずさは後席の雪菜に目をやると助手席で眠る春希の顔に近づいて、しかし寸前で思い直すとグーパンチで目覚まし。ああ辛い。とはいえこの車内シーンは前席よりも後席の雪菜についつい注視、いつ薄目を開けるか?ドキドキしながら見ていました(笑

二人を降ろして帰路に就くかずさはルームミラーに映る二人に目をやり、すると春希は雪菜に顔を寄せ…おそらくいつものように濃厚なキスを貪る姿を見てしまったのでしょう、誰の目もない一人の車内で感情を爆発させるかずさが悲しい。そしてこのキス目撃は今回ラストの拒絶に繋がるのだなあ。なるほど上手く出来てます。

上でも書きましたがこの状態からコンテストに出て以下同文。成績としては選外だったかずさのピアノに「合格」を告げる曜子さんが男前すぎて惚れる。そんなこんなでかずさはウィーン行きを決心し、ここから例の喫茶店シーンへ繋がるのか。ああ辛い。

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回想終わってシーンは雪が舞う夜の御宿へ戻って今回のハイライトへ。回想が長すぎ&インパクトありすぎて回想前に何があったか忘れてしまった(笑。言いたかった事を洗いざらい話したかずさはこれでようやく「友達」となり、と同時に絶交。そんなかずさに迫りギュッと抱き締める春希、涙を浮かべて身を任せるかずさ…前回のかずさ本音吐露シーンではかずさ→春希の方向へ走っていたヘッドライトがこのシーンでは春希→かずさの方向へ走り、各々の感情の流れを強調する演出はベタながら面白い。また前回はかずさが上手に立ち、今回は春希が上手に立ち、キス後のかずさが下手へ掃ける、基本どおり上手下手の流れに乗せた演出も印象的でした。そのため前回はイマジナリーラインより建物側にカメラがあって、今回はラインより道路側にカメラがある。これを忠実に守っているため画面が安定し繰り広げられるドラマに入り込め、また
映り込む背景が前者は基本的に道路、後者は建物となり、各々シーンの「解放」「閉塞」をも演出しています。などなどよく考えられたレイアウトに感心しきり。と同時に思いっきり往年のトレンディドラマ風のカット割りや雰囲気に、懐かしさとともにちょっと笑ってしまった。

「ふざけるな、ふざけるなよ!」
「俺はお前の事が!」
「何でそんなに慣れてんだよ! 雪菜と何回キスしたんだよ!」

暫し見つめ合い、これから起きる事を予見したかずさは罪の意識から視線を外し、しかし春希は意を決して唇を奪う。するとかずさは春希の背中に手を回し身を委ねるも…熱いベーゼのキステクからかずさは「春希と雪菜の深い関係・重ねた時間」に気付いて(思い出して)しまうのでした。なるほど雪菜との濃厚キスシーンはここへ繋がる布石だったのか。駆け去るかずさに手を伸ばすも届かず、薄雪の歩道へ膝から落ちる春希の引きもまたトレンディドラマの香りが漂いまくって以下同文。こうも思いっきりクサクサなドラマ演出は久しぶりに見た気がする。いやプリティーリズム・レインボーライブは結構このノリに近い? だからおっさんがハマるのか(笑

さてかずさ側のネタバラシはこれで終了かな。かずさは号泣しながら駆け去り、春希は雪が舞う中膝を着き、そして一人取り残されて待ちぼうけの雪菜は…どうしているのだろう。この修羅場から残り2話でどう着地するのか楽しみであります。

      

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アニメ感想 『WHITE ALBUM 2』#11「雪が解け、そして雪が降るまで(後編)」

視聴が遅れて感想を書くタイミングを逸し続けている今期アニメ… 当面は感想を諦めて視聴に専念するつもりだったんですけどね~ 『WHITE ALBUM2』の第11話を観ていたらもう我慢できなくなってしまいました(^^;) 年内締切のアニメ評価企画の記事を筆頭に優先順位の高い更新ネタは沢山あるんですが、ひとまず棚上げってコトで;(ぉ) 「前編」の第10話とまとめて感想という形でもい...

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No title

「もう、ハーレムアニメでいいから全員幸せになってくれよ…」と、今回の話で心の底から思いました。

冒頭のギター、お揃いだったんですねぇ。楽器関係はあまり詳しくないのでコレにはびっくり。『一緒に弾きたいけど、そんな事出来るか…!』なかずさの声が聞こえて来そう(笑

それにしても、今回は壮絶なネタバレ回でしたね…文化祭後の回想なんて、胸がキュウ…っと締め付けられました。そしてその後の雪菜覗きの発覚の所は脳内で『おわかりいただけただろうか?』とナレーションががg。
後、お節介云々の所はちゃんとかずさに伝わってたんじゃないかと私は思いますね。かずさの質問の仕方が「全部“喜んで”お節介してるのか?」ですし、春希から「雪菜と冬馬にだけだ」と返され「そっか」と呟いた後、確かに俯いてますが微妙に口元が綻んでいます。これはしっかりと「喜んでお節介するをするのは雪菜と冬馬にだけで、他の奴に対しては事務的(あるいは義務的)にお節介をしているんだ」と受け止めてると思いますね、かずさは。
そしてラストのキスですが…いや、まさか嫉妬からくるビンタとは思いもしませんでした。普通に理性を取り戻したが上のだと思ってましたよ(初視聴当時)。自身がキスをした時は触れ合うだけだったのに、大好きな春希がしたキスは初めてのソレではなく、明かに技巧(=雪菜との経験)を感じさせるもので…もうね、かずさが可愛いと思うと同時に胃がキリリと。何せ私、かずさ派ですので(黒髪好きです)。

最後に、ふと気付いたんですが…今回、雪菜一言も喋ってない、だと…?(テロップを見ながら)

れすれす

>待宵草さん
この上手い事いかなさこそWHITE ALBUMの肝とはいえ、見ている最中は真綿で胃(笑)を絞められる思いでありますね。学祭ライブまでの、微妙にすれ違いながらも最高の時間を過ごしていた三人が今や眩しすぎます。お揃いのギターはホントかわいい。夏休み中にドヤ顔でギターを教えていた時、ひょっとしたら隣室へ乗り込む前にこのギターでこっそり自己練・指慣らししていたのかも? とか想像するとさらにかわいい(笑

車中でのお節介云々についてはなるほど。会話後のあの口元は自分の空回りを自嘲したものと解釈しましたが少々深読みが過ぎたかも。春希の言葉に込められた「特別扱い」を理解したからこそ再びキスの誘惑にかられ…とすれば感情の流れも自然ですし、その後の慟哭もより深く感じます。ラストのキス後のビンタ→あのセリフは、よくもあんな返しを思いつくものだと感心が止みません。あれほど嫉妬深い子がこれまでずっと目の前でイチャイチャを見せ付けられていたわけで、つまり係る状態を「拷問」と表現していたのは決して大げさでは無く、あのキスビンタは本編描写の裏側でかずさが感じていた辛さの補完にもなっているのですね。

雪菜。今回セリフが無いにも関わらずあの存在感はさすが。私は雪菜も好きなのであの飛雄馬のクリスマス状態は堪えます。どうにかフォローが欲しいけれど、するとかずさが不憫で不憫で…ああどうしたら。

No title

レビューお疲れ様です<(_ _)>
「ホワイトアルバムの季節」に突入して以来、目の離せない展開が加速していますね…
直球のドラマ演出、クセになります(^^)

学祭ライブ後の舞台裏明かし、nobumaさんの7話レビューを読み返して(着眼点の鋭さに)唸らされました。
冬馬が北原を起こさずに帰った理由、既成事実へ走ろうとする雪菜への違和感。どちらにもきちんと説明がつきましたね(^^)

温泉旅行後の車内シーンは心臓バクバクでした(^^;)
まだ12話を観ていないので判りませんが、この場面を雪菜サイドから補完するパートがもしあったりしたら…ますますメンタル削られそうです;;
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