fc2ブログ

江戸美人捕物帳 入舟長屋のおみわ 長屋の危機

著者:山本巧次

Amazon
BOOK☆WALKER

早朝の朝、江戸の町を襲った地震。その影響で入舟長屋が傾いてしまった。相談のため、家主の寿々屋を訪れたお美羽たちだったが、寿々屋では出した商品に問題が発生し、入舟長屋を売却しなくてはならないかもしれない、という。そんなとき、手を挙げたのは土地ころがしで金を集めているという悪名高き商人。住人を守ろうと奔走する美羽の前に現れたのは、潰れてしまった長屋の裏を買い取った材木屋若旦那。二枚目で、仕事もできる若旦那は、美羽に惚れた、というのだが……
シリーズ第7作。
読んでいる最中、過去のエピソードの話題とかも色々と出てきただけに、もしかしたら、と思っていたのだけどやっぱり完結編だったか。
今回は、かなり複雑な形で事件が進展。冒頭に書いたように、地震によって建物自体に問題が生じた長屋。だが、家主もまた危機。そんな状況に。さらに、潰れてしまい、田舎に帰っていたはずの長屋の裏の店の(元)若旦那が何者かに殺害されてしまい……
長屋の買収を持ち掛ける悪徳商人と、美羽に惚れているという若旦那の対決。寿々屋で起きた問題。さらに、裏の店の若旦那の死。次々と起きるトラブル。メタ視点で見てしまう読者としては、それぞれに何か関係があるんだろうというのは予想ができるのだけど、それを結び付けて、敵が何をしようとしているのかはわからない。そんな中、亡くなった方の若旦那の友人というのが現れて、思わぬことを言い出し……
今回は、珍しく美羽の目が曇っていたな、というのを感じる。というのは、客観的に見て、「こいつは怪しいだろう」という人物を完全に見逃しているため。普段であれば、絶対に見逃さないことを見逃す。これは、シリーズで初めて美羽が、男に告白をされて、ということが関係しているのだろうな。完全に頭の中がお花畑、とでもいうか。謎解きそのものは、読んでいるうちに「こうじゃないかな?」と思うところに落ち着いていくのだけど、美羽が浮かれて色々と見逃す、という展開が面白かった。
そして、そんなシリーズの落としどころ。
その上で、美羽自身の幸せも回収。まさか、シリーズの前提となっている彼女の「豪傑」エピソードがそこに繋がるとは思わなかった。
美羽。友人。お気楽な父。長屋の住人達。それぞれ、個性的で楽しかった。それだけに、ちょっと寂しいので、また、シリーズ再開とかしてくれたら、嬉しいな、とも思う。美羽の気性とかを考えれば、結婚した後も、家庭内でのトラブルとか、色々と起こりそうだし。

No.7237

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

Tag:小説感想山本巧次

COMMENT 0

No image

');q.setNumEntries(5);q.load(dispfeed);function dispfeed(a){if(!a.error){var b=document.getElementById("feedContainer");for(var i=0;i'}else{n+=r}b.innerHTML+=''}var p=b.getElementsByTagName('a');for(var j=0,l=p.length;j