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【映画】『ザ・バンク 落ちた虚像』(2009年) 暴け、世界を操る巨大銀行の闇。真実を追う執念が、正義と現実の境界線を揺るがす | ネタバレあらすじと感想

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映画『ザ・バンク 落ちた虚像』の作品情報

【原題】The International

【監督】トム・テイクヴァ

【脚本】エリック・ウォーレン・シンガー

【出演】クライヴ・オーウェン、ナオミ・ワッツ、アーミン・ミューラー=スタール他

【配給】コロンビア ピクチャーズ、ソニー・ピクチャーズ

【公開】2009年2月

【上映時間】117分

【製作国】アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス

【ジャンル】サスペンス、スリラー、アクション、犯罪ドラマ、政治スリラー

【視聴ツール】Netflix、吹替、自室モニター

キャスト

ルイス・サリンジャー : クライヴ・オーウェン

エレノア・ホイットマン : ナオミ・ワッツ
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ジョナス・スカールセン : ウルリッヒ・トゥクル

ヴィルヘルム・ウェクスラー : アーミン・ミューラー=スタール

アンドレ・クレメント : ブリアン・F・オバーン

ウーゴ・カリーニ : ルーカ・ジョルダーノ

カール・サンチェス : フェリックス・ソリス

ヴィクター・カリエフ : ズドラヴコ・ブリッチ

ネタバレあらすじ

国際刑事警察機構(インターポール)の捜査官ルイス・サリンジャー(クライヴ・オーウェン)とニューヨーク地方検事局の検事エレノア・ホイットマン(ナオミ・ワッツ)は、巨大な多国籍銀行「IBBC」(インターナショナル・バンク・オブ・ビジネス・アンド・クレジット)の違法活動を暴こうとしています。
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IBBCは合法的な金融取引の裏で武器取引や戦争犯罪に資金提供を行い、各国政府や組織と癒着することで世界的な影響力を拡大していました。
捜査の端緒は、IBBC内部の情報提供者トマス・シャーベルの突然の死でした。心臓発作とされましたが、サリンジャーは暗殺の可能性を疑い、事件の背後にIBBCがいると確信します。彼とホイットマンは証拠を求めて各地を転々とし、ベルリン、リヨン、イスタンブール、ニューヨークと調査を進めます。
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捜査の中で二人は、IBBCの会長ジョナス・スカールセン(ウルリッヒ・トゥクル)が武器取引を通じて紛争地域を操り、利益を上げていることを突き止めます。また、IBBCは自らに敵対する者や、内部情報を漏らそうとする人物を暗殺するためのプロフェッショナルな殺し屋ネットワークを保有していることが判明。特に暗殺者ヴィクター・カリエフ(ズドラヴコ・ブリッチ)の存在が浮かび上がります。
調査が進む中で、IBBCの関与を裏付ける証拠を得るため、サリンジャーとホイットマンはヨーロッパでの足取りを追います。しかし、捜査は次第に命の危険を伴うものとなり、彼らの周囲で多くの関係者が命を落としていきます。
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その中には、IBBCの内部関係者であるヴィルヘルム・ウェクスラー(アーミン・ミューラー=スタール)も含まれていました。彼はかつて銀行の信念に従い活動していましたが、徐々に組織の非道さに気づき、サリンジャーたちに協力を試みます。しかし彼もまた暗殺者に命を狙われます。
クライマックスはニューヨークのグッゲンハイム美術館で展開されます。ここでサリンジャーは暗殺者カリエフと直接対決し、激しい銃撃戦が繰り広げられます。このシーンは映画の中でも最も緊迫感のある場面として知られています。最終的にカリエフは死亡しますが、彼を雇ったIBBCの指導層には直接的な打撃を与えることができません。
その後、サリンジャーはイスタンブールに向かい、IBBCの会長スカールセンを追い詰めます。スカールセンは組織の非合法活動を認めつつも、自身の地位と権力を盾に逃れようとします。しかし、サリンジャーの直接的な行動により、銀行のリーダーシップは大きな混乱に陥ります。
映画は、巨大組織の非道を暴くことの難しさと、個人がそれに立ち向かう姿を描きつつ、完全な正義が成し遂げられない現実を強調して幕を閉じます。サリンジャーとホイットマンは、それぞれの方法で正義を追求し続ける決意を胸に、新たな戦いへと挑む姿を残します。

考察や感想

本作、『ザ・バンク 堕ちた巨像』は、巨大な国際銀行が裏で行う武器取引や政治的陰謀を暴くサスペンススリラーです。監督トム・ティクヴァは、金融システムの腐敗をテーマにした社会派作品をスタイリッシュな映像美と緊迫感で描き、観客に現代社会への問いを投げかけます。
この作品の中心には、「個人が巨大な権力構造にどう立ち向かうのか」という普遍的なテーマがあります。主人公ルイス・サリンジャー(クライヴ・オーウェン)は、不正を暴こうとする執念深い捜査官ですが、その過程でシステムの圧倒的な力を目の当たりにし、自らの無力感や限界と向き合います。特に終盤、彼が「正義」を成し遂げるために自らの信念を揺るがせざるを得ない姿は、視聴者に「正義とは何か」「システムを変えることは可能なのか」という複雑な感情を呼び起こします。一方、ナオミ・ワッツ演じるエレノア・ホイットマンは、現実主義的な視点を持ちながらも、真実を追求する理想主義を失わないキャラクターとして、サリンジャーの行動にバランスを与えています。
映像面では、特にグッゲンハイム美術館での銃撃戦が際立っています。このシーンは美術館の独特な建築美を生かしつつ、息をのむような緊張感と迫力を演出しており、映画全体の象徴的な瞬間となっています。一方で、ストーリーは全体的に淡々と進むため、アクション映画を期待すると物足りなく感じる観客もいるかもしれません。しかし、作品の本質は派手な展開ではなく、金融業界と世界の不正に潜む暗部を描くことにあります。そのため、深く考えさせられる重厚なテーマに共感できるかどうかが評価の分かれ目となるでしょう。
本作の最大の特徴は、明確な解決や勝利が描かれない点です。IBBCという巨大組織は最後まで崩壊せず、サリンジャーやホイットマンが成し遂げたのは一部の真実の暴露に過ぎません。観客は、「現実では巨大な権力を完全に倒すことは難しい」というほろ苦いメッセージを突きつけられます。この点は、ハリウッド映画に多い勧善懲悪的な展開とは異なり、現実の複雑さや矛盾を反映しています。
本作は、アクションを伴うエンターテイメントでありながら、社会問題を考えさせる知的な作品でもあります。金融システムや国際的な権力構造に興味がある人にとっては興味深いテーマですが、単純明快なカタルシスを求める人にはやや重く感じられるかもしれません。それでも、この映画は、現代社会の見えない権力とその影響を描くことで、観客に「正義とは何か」を改めて考えさせる力強い作品です。

本作から得られる教訓

「巨大な権力や腐敗に立ち向かうには、個人の信念と行動が必要だが、現実の正義は必ずしも完全に成し遂げられるとは限らない」





評価点   94点
お薦め度  96点


2009年  117分  アメリカ/イギリス/ドイツ/フランス製作

 
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