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【映画】『DON’T DIE “永遠に生きる”を極めし男』(2025年) 老化に挑む男の執念と科学の最前線。永遠の若さを求める人類の究極の夢 | ネタバレあらすじと感想

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映画『DON’T DIE “永遠に生きる”を極めし男』の作品情報

【原題】DON’T DIE: The Man Wants to Live Forever

【監督】クリス・スミス

【出演】ブライアン・ジョンソン

【公開】2025年1月

【上映時間】88分

【製作国】アメリカ

【ジャンル】ドキュメンタリー

【視聴ツール】Netflix、吹替、自室モニター

ネタバレあらすじ

現代の科学技術が進化する中、老化や寿命の限界に挑む一人の男がいます。その男の名はブライアン・ジョンソン。裕福な起業家である彼は、アンチエイジングと健康寿命の追求に人生を捧げています。
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老化への挑戦

ジョンソンさんは、自分自身を「人間実験台」として位置付け、最先端の科学技術を駆使して老化を遅らせることに取り組んでいます。彼の目標は「生物学的年齢」を逆行させ、老化を止めることです。そのため、血液検査やDNA解析、厳格な食事制限、運動プログラムを取り入れた徹底的な生活を送っています。年間数百万ドルを投じ、科学者や医師と協力しながら、永遠の若さを追い求める日々を送っています。


徹底管理された日常

映画では、ジョンソンさんの日常生活が克明に描かれています。毎朝の起床時間から食事、運動、瞑想に至るまで、彼のスケジュールは分刻みで科学的に設計されています。さらに、最新の医療機器を自宅に設置し、体内データをリアルタイムで監視しています。
しかし、徹底した管理の影響で、彼の生活は孤独とも隣り合わせです。友人や家族との時間が限られているだけでなく、社交の場でも健康を最優先する姿勢がしばしば誤解を招くことがあります。それでも彼は、目標を達成するために情熱を持って取り組み続けています。


科学と倫理の交差点

本作は、ジョンソンさんの挑戦を描くだけでなく、科学者や哲学者の視点を通して「永遠の若さ」を追い求めることの意味を問いかけます。寿命を延ばすことは人類の幸福につながるのか、またその取り組みが引き起こす倫理的課題とは何かを深掘りします。
科学者たちは、細胞老化の抑制や遺伝子修復といった最新技術の可能性を語る一方で、これらの技術が社会全体に普及することの難しさについても指摘します。さらに、倫理学者は「人間は自然の摂理を超えて生きるべきなのか」という問いを投げかけ、観客に深い思索を促します。


家族との葛藤

ジョンソンさんの挑戦は、家族にも大きな影響を及ぼしています。彼の息子は、父親が健康管理に没頭するあまり、感情的な距離を感じることがあると語ります。それでも、息子は父の努力が未来の医療に貢献する可能性を信じています。本作では、家族間の葛藤やその中で垣間見えるジョンソンさんの人間らしさが丁寧に描かれています。


未来へのビジョン

映画の終盤で、ジョンソンさんは自らの取り組みについて語ります。「自分が永遠に生きられるかは分からないが、次世代がより健康で長生きできる社会を築くための基盤を作りたい」という彼の言葉は、科学技術がもたらす未来への希望と課題を象徴しています。


結び

『DON'T DIE』は、老化という人類共通の課題に挑む一人の男の情熱を通じて、科学・倫理・哲学が交差する複雑なテーマを浮き彫りにするドキュメンタリーです。この映画は、観客に「未来の自分や社会に何を求めるのか」という問いを投げかけ、深く考えさせる作品となっています。

考察や感想

本作、『DON'T DIE』は、主人公ブライアン・ジョンソンのアンチエイジングへの執念を通じて、人間が寿命や老化という自然の限界に挑む姿を描いたドキュメンタリーです。この作品は、科学技術の最前線を映し出すだけでなく、視聴者に倫理的な問いや人生観について深く考えさせる内容となっています。


科学技術の力と限界

本作で最も印象的だったのは、老化という現象が単なる「時間の経過」ではなく、細胞レベルで解明されつつあるという点です。ジョンソンは、自身の身体を実験台にして、血液データや遺伝子解析をもとに徹底した健康管理を行っています。その努力が、科学技術がどれほどの可能性を秘めているかを具体的に示しています。
しかし同時に、技術がいくら進歩しても「老化の完全な克服」という目標が実現可能なのかは疑問が残ります。寿命を延ばすことに意味を見いだすのは個人の自由ですが、それが社会全体にどのような影響を与えるのかについては、十分な議論が必要です。


人間性と孤独

ジョンソンの日常生活は規律正しく計算されたものであり、ある種の完璧さを感じさせます。しかし、その完璧さの裏側には「人間らしさ」の欠如が垣間見えます。彼は家族との時間を犠牲にし、社会的な交流よりも健康管理を優先しています。この選択は、彼自身にとっては納得のいくものでしょうが、周囲との関係に影響を及ぼしていることは否定できません。
老化や死という現象は、ある意味で人間の有限性を受け入れる機会でもあります。ジョンソンがそれを徹底的に排除しようとする姿勢には感服すると同時に、少しの寂しさも感じます。


倫理的な問い

本作は、「寿命を延ばすことは本当に人類の幸福につながるのか?」という倫理的なテーマを観客に投げかけます。ブライアンの取り組みは多額の資金と最新の技術を必要とし、多くの人にとっては現実的な選択肢ではありません。この点から、科学技術が社会的不平等をさらに助長する可能性も浮き彫りになります。
また、「いつか死ぬ」という前提のもとで構築されてきた人間の文化や価値観が、寿命の延長によってどう変わるのかについても考えさせられます。ジョンソンの挑戦は、技術革新だけでなく、私たちがこれから迎える社会の在り方についての一つの警鐘とも言えるでしょう。


まとめ

『DON'T DIE』は、老化という普遍的なテーマに挑むブライアン・ジョンソンの姿を通じて、科学の可能性と人間性、そして倫理の複雑な関係性を描いた作品です。ジョンソンの取り組みには、未来の医療技術の発展や健康寿命の延伸という希望が込められていますが、それが同時に新たな課題を生む可能性も示唆されています。
この映画を通じて感じたのは、「永遠の若さ」や「寿命の延長」という夢が、単なる個人の野望ではなく、社会全体の幸福や倫理に影響を与える大きなテーマであるということです。観客それぞれが、自分ならどう生きるかを考えさせられる、深い余韻を残す作品でした。

本作から得られる教訓

「科学の力で限界に挑むことは可能性を広げる一方で、人間らしさや倫理とのバランスを問う重要な課題をもたらす」




評価点   92点
お薦め度  94点


2025年  88分  アメリカ製作

 
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