2007年04月28日 07:04
先日も、家帰ってからネクタイも外さず勢いで書き上げ、その後、飯、風呂など一通りの事をすますと、時計も既に1時を回り、書いた記事の誤字脱字チェックだけして布団に入ろうと思った。
すると、その記事に一言コメントが付いてるのを見てしまった。もう批判なのか落書きなのかわからない一言コメントで、この手のコメントは残念ながらそんな珍しいことでもないので、いつも通りスルーすることにした。しかし布団に入ったものの、なにを読んでそんなコメントになったのか、自分の書いた記事を無性に読み返したくなった。
しかし、時計を見ると1時半になっている。ブログは仕事ではないわけで、睡眠を優先しないといけない。「鈍感力、鈍感力・・」と暗示をかけるようにつぶやき、布団をかぶった。
だが、それが気になっているのか、なかなか寝れない。まいった・・。結局、読み返すはめとなり、改めて読み返してみると、ますますそのコメントが見当違いに思えた。
最初は丁寧にその批判に応対して書いていたが、時計をみると2時になろうとしていた。たった一言のこのコメントのせいで、こんな時間まで起きる事になってるのかと思うと、最後は結構強めにコメントを返していた。こうなってくると直接関係ない外部要因がますます怒りに火をつけてくるのだ。
次の日、冷静な状態で読み返すと、返信するにも値しない、なんてことないラクガキだとわかった。だが人間怒りに火がつくと、周りが見えなくなっていくものだし、自分でなかなか鎮火はできない。
そんな中、かなり深夜にやっていた「さんまのまんま 総集編」を見て、さんまさんに学ぶ部分が大いにあると思った。
「梓みちよ シャンパン事件」となっていた。
わたしは失礼ながら梓みちよさんが誰なのかも存じあげないのだが、観た直後、これは本当に事件だ思いネットでちょと調べてみると、やはり当時週刊誌をにぎわせた本当の事件だったようだ。
(以下「さんまのまんま 1000回スペシャル」より)
梓 「あなた私の事好きなの?」
さんま 「好きでしたよー」
梓 「でしたよ(過去形)?」
ここで軽く飲みかけのシャンパンをかけられる。
前後の経緯は総集編なのでわからないが、シャンパンを男にかけるのが手馴れている感じに思えた。
さんまも笑いながらかけられたシャンパンを拭いていたが、
その笑顔の裏側で怒りを抑えているのを見逃さなかった。
私も接客業の仕事の経験がある為わかるが、立場的に相手にその怒りを悟られたくない時は、とりあえずひたすらしゃべって隠そうとする。なんだかこの時のさんまの状態が痛いほどわかってしまう。
さんま「かなわんわー。そんなんしていつも男の人にシャンパンかけよるんですか?」
梓 「うん」
さんま「おかしな人とデートしてはるんですなー(笑)」
ここで2度目のシャンパンが強めにかけられ、さんまから瞬時に笑顔が消える。
テレビで唯一見せたさんまの本気のキレ顔ではないだろうか。
この表情をみてわかる通り、一瞬にして空気が張り詰める。
さきほども触れたが、これは一回目のシャンパンで怒りをなんとか押し殺している伏線があるから、この2回目は間をすっ飛ばして、一気にMAXに到達してしまうのだ。
この直後に映った梓の顔を見れば、これが冗談ではなく向こうも本気で怒っている事がわかる。
この空気が読めてない一部の観客の笑い声が響きながら、お互い真顔でしばらく沈黙するという、異様な空気が場を支配する。わたしがデレクターなら「はい、スットプですー」とここで収録を止めているだろう。20年前の録画なのになんだか見てられない。
そしてさんまは、おもむろに立ち上がり梓をにらみつけた。
俗に言う一触即発という状態だ。何故これが放送出来ているのか?
それは、すぐわかることとなった。
ポケットに手をつっこみ、ふて腐れた様に席を離れ部屋を出て行くのかと思わせて、急にしゃがみこみで「あぁー冷たかったぁ~」とおどけて言い、観客の大爆笑を誘い、それに釣られ梓の笑った画も映りこの総集編は視聴者を安心させ終わった。
この時のさんまの切り返しの行動は、笑いとしてはひねりの無いものだったが、以前書いた「緊張と緩和の法則」の通り、このピリピリした空気を逆に利用して笑いに変えたばかりか、この危機的状況をも救ったのだ。
果たしてさんまはどの段階で切り替えしに入ったのかはわからない。かけられてマジ顔になってしまった直後に、この状況のオトし方を考え怒った演技を続けていたのか、それとも本当に出て行こうとして直前でなんとか踏みとどまったのか・・・
少なくとも2回目で本気になったのは事実で、通常はあの空気になると、取り繕いようがない。
さんまが怒りの感情より自分の仕事を優先するプロだという事は間違いない。
ここでもしさんまが怒っていれば、この回は放送できないし、梓とも遺恨を残すはめとなり、彼にとってプラスとなる事は何もない。後の顛末を少し書くと、当然、視聴者から梓へかなりの数のクレームがいくはめとなり、その結果この梓の醜態が週刊誌などでいっせいに叩かれ、梓は高価なブレスレットをさんまに送って謝罪したという。今ではその事をお互い笑い話としてしゃべれるような関係にあるらしい。
さすがにここまで計算していたとは思わないが、結果論としてキレずにあそこで切り替えた事で得たものは計り知れない。お笑い怪獣とは笑いをとるだけで得られる称号ではないようだ。
考えて欲しい。通常職場ではその様な状況にならないようにひたすら忍耐となるわけだが、その我慢をも越えるような事態となった時、ものの数分で大の大人がピエロの様におどけられるだろうか?
あくまでもおどけるのはさんまの仕事柄であって、我々がそこまでする必要はないが、大事なのは瞬時に切り替えられるかどうかだ。これは喜怒哀楽全てに当てはまる事だが、やはり私は怒が一番頻度が高いし、切り替えも怒が一番難しい。
いまさらそう簡単に身につくものではないが、それが出来る様になった対価の大きさをこの事件で教えてもらった気がします。
私に足りない「鈍感力」と「切り替え力」は根底で繋がっているようにも思えます。
コメント
Yumi | URL | -
はじめまして
“加勢大周”ってカッコいいと思っていた年代です。
逮捕されたとの事で思い出し検索していてこちらに来させてもらいました。
梓みちよさん事件はテレビで見ていて驚きました。
67年生まれですのでこの事件のことは良く覚えているんです。
シャンパンをかけた梓みちよさんにも驚いたんですが、
さんまさんの切り替えしに“エライ!”と思った事を覚えています。
さんまさんの事を思い出させてくれ、このブログを読ませてもらって一歩進める気がしました。
上手くは言えませんが私の心に響くものがありました。
人付き合いの難しさに落ち込む日が続いていたんです。
何か言われたりすると怒りより、すぐ凹んでしまう自分がイヤでイヤで…
気持ちを切り替えるのはなかなか難しいですよね…
最近、字を読むのが疲れるので、さぁ~~~っと飛ばして読む事が多くなったのですが、
このブログは引き込まれるように最後まで読ませていただきました。
また、おじゃませてもらいますね。
( 2008年10月06日 01:03 )
イツキ | URL | -
はじめまして
朝目新聞ってことのリンクからきました。
最近、自分がイライラしていることが多くて、彼女や友人との関係がギスギスしていて、もっと感情を抑えて相手とのコミュニケーションをとろう。と考えていたときにこの記事を読ませていただきました。
この事件のことは知らなかったですけど、さすがさんまさんだなぁ~と凄く感心しました。
もっと勉強します!w
( 2007年05月08日 15:07 )
犬 | URL | -
http://www.youtube.com/watch?v=iUXusudcX_E&NR=1
こちらですね。見つけたので、とりあえず、貼っておきます。
( 2007年05月06日 20:30 )
キクリン | URL | -
>〓Rising-Force HD さん
ありがとうございます。最初は後半の部分しか書いてなくて、何か簡単な最近の怒りを書き足そうと思ったら、書きながら再燃してきて、ちょとのつもりが普通のグチになってしまいました。今読み直すとちっちゃい男です・・・いやはや、「営業はお笑い芸人」ってのは深くてよいですねー(笑)
>わたたさん
コスモスっていろんなものを呼び起こす魔法の言葉ですよね。画像集の皆さんの記憶に響いたものは断トツ「コスモス」「多面式筆箱」「ポッピンアイ」とこの3つが多いようです
>ユズ さん
一回5人の方に同時に誤字をつっこまれた事あるんです(笑)
この怒りの元となった記事はイジってないですね。アン・スイスは即座に直しました^^A
>鈍感であることは精神安定剤にはなっても栄養にはなりません。
このセリフ頂きました!なんか響きました。
こんな記事にコメントくださってありがとうございます。何回も読ませてもらってます。本当にありがたいですね。
( 2007年05月01日 20:40 )
ユズ | URL | -
よいお話をありがとうございました。
そうやってきちんと直面できてるきくりんさんが羨ましいです。
この機会だから書きますが、あの記事の本文に加筆修正がなされてたことに非常に感心してました。
もし自分だったら、面倒でとてもそういう気持ちにすらなれないですから。
ああ、伝わらなかったんだな。で終わってます。
ちなみに「鈍感力」は、あたしも以前読みました。
まぁ、ケースバイケースで鈍感を演じることも必要かもしれませんが
逆に「敏感力」を無くしたらおしまいだということをあの本を読んで再認識しました。
鈍感であることは精神安定剤にはなっても栄養にはなりません。
あの本が流行る世の中が恐ろしいです。
◇追伸◇
誤字脱字チェックは甘めにおねがいします。
むしろそんなのしなくてもいいくらいですよ!!
スイスばりのサプライズを再び期待してる読者より。
( 2007年04月30日 02:17 )
わたた | URL | -
私も七十年代生まれで初めて書きますが、、、最高!Xの話題や、コスモス!かなりツボになまりました。これからもお願いします。
( 2007年04月30日 00:48 )
〓Rising-Force HD | URL | -
こんにちは。
私は営業職なので重クレームの
対応なんかもやらされたり・・・。
そんな私の格言は
「営業はお笑い芸人」
です。
(勝手に決めていますが・・・)
さんまさん、武さん等
大物芸人の方の話術は
本当に素晴らしいですよね。
もちろん
切り替え力も。
あと、このブログ程面白く、
70年代生まれの人間の
ツボにはまる内容だと、
嫉妬心でいちゃもんを
つけてくる人間もいると
思いますが、これからも
気にせずオモロイ記事の
執筆頑張ってください。
( 2007年04月29日 16:06 )
キクリン | URL | -
こんばんわ
>ももんがさん
こんばんわ。食事中に飲み物をかけるなんて一昔前のドラマだけだと思っていましたが、梓さんのその経歴を知るとこういう事も習慣化してる感じなんでしょうね。ホント考え方なんて人それぞれです!ありがとうございます!
>34 ♂さん
こんばんわ。
それは・・シンクロニシティって奴です!(笑)このブログに同じ感性の方が集まってくるようになっているのです!・・そうだとよいのですが・・。
アンルイスとなると少し遠かったかなと思っていたのですが、杞憂でした!安心しました。クレーム対応経験者の方とはすぐに打ち解けれる気がします。
>asaさん
こんばんわ。言われる通りどうやったらその能力が身につくのかと考えます。男によくあるのが、一度怒ると建前というか、面子みたいなものが邪魔してもう引き返せないんですよね。
その点さんまさんがすごいと思うのが、一度街中で信号待ちしていたら思いっきりケツ蹴られて、怒って振り返ると、見たことも無いいかにもヤクザな人だったらしく、「ワォー」と言ってその場を逃げたというエピソードを話して事があります。
これは切り返し力に感心したというよりも、あれほどの地位にある人がこれほどの屈辱的な事を、面子も無視してあっけらかんとTVでしゃべれる心持ってやつに学ぶ事が多いと思ってしまいました。たしかにこれ聞いてさんまは情けないと思うよりかは、やっぱおもしろいと思う人の方が多いと思います。瞬時に第三者的な視点を持てるようになりたいです。
あ、ちょと長くなってしまいました。
皆さんコメントありがとうございました。
( 2007年04月29日 01:39 )
asa | URL | -
とてもよく考えさせられます。
「怒」が一番感情のコントロールが難しいですし、表情にでると相手に伝わりますからね。
瞬時に頭を切り替え、いろいろ状況を検討する脳の回転の速さってどうやれば鍛えれるんですかね。やっぱり経験なんですかね。
速さが身につくまで修羅場をいろいろ経験するんでしょうね。
( 2007年04月29日 00:07 )
34 ♂ | URL | -
何故かいつもタイムリーな話題に驚いております。
六本木で頭の中に六本木心中がリフレインしていて困っていた翌日の記事がアンルイス(笑)
本当に笑いました。
私はクレーム対応で自分自身の切り替え力の無さを痛感したばかりでした。
ここまで理不尽な事では無かったのですが、過度の要求に全て拒否して部屋を出て行きたい衝動を抑えるだけで必死でした。
今回ご紹介頂いたさんまさんの対応は本当に為になります。
私も負けずに頑張りますね。
( 2007年04月28日 15:47 )
ももんが | URL | dODgeAUE
はじめまして。
mixiでたまたまこちらのブログを発見して以来、ブックマークして見ています。
私は71年生まれなので、もうこちらのほとんどの話題についていけます(w
梓みちよは結構芸能界でも問題人物らしく、和田アキ子も「こいつだけは許せない」とラジオで話していました。そういえば昔いいともで羽野晶紀に執拗に絡んでいて観ていて気分が悪くなったのを思い出します。考えてみたら「すきでしたよー」と言われてワインぶっ掛ける理由なんてないですよね。
考え方なんて人それぞれです。本当に「鈍感力」です。これからも読ませていただきます。では。
( 2007年04月28日 09:16 [Edit] )
コメントの投稿