2008-01-09(Wed)

ドル暴落と地球温暖化サギ

いきなりだけれども、お金について考えてみたい。
考えると言っても、ほしいなあ~ という妄想ではなく、お金ってなんなのか考えてみたいのである。

■■
まず、お金でお金を買う「為替取引」
円が高いとかドルが暴落とか言うのは、ドルで円を買うから生じる現象だ。
世界中でお金でお金を買う市場は、一体どれくらいの規模なのかというと、なんと、1日に110兆~165兆円もの売買がされるらしい。

市場を読む為替マーケット講座(ソニーバンク)

単純計算すると年間では、兆を超えて、3京4000兆円程度と言うことになる・・・

ところで、なぜお金でお金を買うのかというと、相手の国のものを買う、つまり輸入をするためだと思われる。
私たちが海外旅行をしたときに、エクスチェンジするのを大規模にしたようなものだ。

しかし、世界の輸入はドンダケかというと、たかだか900兆円規模なのである。
輸入に必要な金額の、40倍近いお金が、意味もなく売買されていることになる。
まあ、専門家に言わせればいろんな理由があるのだろうが、素人目に言えば、意味もなく売買しているようにしか見えない。

当たり前だが、片方が上がれば片方が下がるわけで、全部足せば絶対にゼロになる。
どこかで誰かが得をすれば、その分だけ誰かが損をしている。
まったく、生産性がない。これが、投機の投機たるところだろう。


■■
それにしても、40倍というのはひどいものだ。
株式市場と比較しても、株式の時価総額とGDPの比率は2倍にもならない。
バブルの頃の日本でさえ、10倍にはるかに届かなかったはずだ。

いったい何でこんなことになるのかと考えてみると、基軸通貨としてのドル という問題がある。
これも分かりにくいけれども、世界中の貿易は、原則として米ドルで支払うことになっているから、アメリカはこんなにも強い立場なのだ ということ。

極端な言い方になるが、わかりやすく言うと、アメリカはドル札を印刷すればトヨタの車を輸入できる。
しかし、日本は、円の札を印刷しても、一度ドルを買わなくてはならず、ドルをたくさん買うと値上がりして、円を増刷した分だけ円の価値が目減りしてしまう。
まさに、基軸通貨としてのドルは、アメリカにとっての打ち出の小槌、魔法の杖なのである。
これなくして、今日のアメリカはない。

■■
とは言えアメリカにも悩みはあって、機軸通貨であるためには相場を安定させておかなくてはならないし、あまり安くなると他の通貨(ユーロなど)に機軸通貨の地位をとられてしまう。
で、高値安定を心がけると、輸出には不利になり、膨大な貿易赤字を抱えることになる。

しかも、いわゆる双子の赤字といわれる財政赤字も深刻で、日本や中国に米国債を売りつけて凌いでいる。
日本の持っている米国債は数百兆円分と言われており、仮にこれを売却すると日本の赤字国債は半分くらい解消する。
中国の保有は日本よりも多らしく、ときどき「投げ売りするぞ」とアメリカを牽制し、その都度あわててポチ日本が買い増しをしている。

こんな無理矢理なドルの維持を見ていると、輸入額の40倍近い為替売買の大きな部分は、ドルの買い支えにあるのではないかと思えてくる。

■■
もう一つのドルの姿は、イラクにある。

イラク戦争はなぜ起こされたのか。
石油のためというのがもっぱらの評判だが、実はちょっと違うらしい。

産油国でドル支配に反旗を翻した一番手は、かのサダム・フセインである。彼は2000年11月、国連の管理下に置かれていたイラクの石油輸出代金収入による人道物資基金をユーロ建てに置き換えた。放置すれば、他の産油国にもドル離れが広がる恐れがあった。
ドル対ユーロ、イランで代理戦争 ツケは消費者に(iza) 

案の定、ブッシュはこれを放置せず、2年半後にイラクを破壊した。

上記の記事に詳しいが、ブッシュの次の標的になったイランがまたそうだ。
盛んにユーロでの石油取引をしようとしているが、輸入側がびびってしまって乗ってこない。

イラク侵略とイランへの恫喝がなければ、石油はユーロ ということになっていたかもしれない。
そうなれば、雪崩をうってドルの利用は減り続け、アメリカは打ち出の小槌を失うことになると同時に、ドルは暴落し、当然ドル建ての米国債も暴落する。
アメリカの世紀の終焉である。

■■
これが、普段なにげなく使っている「お金」の正体だ。

大量の人殺しをしてまで守ってきたドルが、しかし、2008年の到来とともに暴落している。
グラフで見れば、これまで何回かあった急降下とそう変わらないけれども、これまではアメリカが意図的に下落させていた面がある。

相場観を身につけよう(ソニーバンク)
 
しかし、今回はアメリカの仕掛けで下がったのではない。
プライムローン問題を引き金にして、矛盾が吹き出している。

いかに軍事力や政治力で脅しても、結局お金は儲からない方向には流れていかないのだ。
この先しばらくのドルの値動きには注目したい。
ひょっとすると、歴史的な事態を目撃することになるかもしれない。

■■
さきに、イラクやイランのドル離れのことを書いたけれども、実は、もう一つ巨大なユーロ市場が誕生しつつある。

二酸化炭素である。

昨年のEUでの二酸化炭素(排出権)の取引は、4兆円(250億ユーロ)。たいしたことはない。
二酸化炭素排出権取引市場(CELENTホームページ) 

これまでにEUがどれだけ排出量を削減したかというと、2%だ。
もし、EUの言うように20%削減と言うことになると、単純に考えても40兆円。
売り手市場で市場拡大のときは価格も高騰するから、2倍として80兆円。

さらに、EUは世界の排出量の10%足らずだから、世界に拡大すると10倍以上で800兆円以上。
さらにさらに、投機的な売買に拍車がかかると、どれだけ増えるか見当もつかないが、仮に10倍とすると8000兆円。

まあ、きわめて単純化した計算だけれど、なんと世界の外国為替市場の4分の1くらいの規模になる可能性がある。
この市場をユーロの取引でおさえてしまおうというのが、EUのねらいだ。
でかい。

■■
こうしたユーロ陣営の攻勢にたいし、ドルに主導権を取り戻そうとしたのがゴアのペテン映画だったのだろうと思う。

それにしても、いい加減に気がついて欲しいのは、「排出権を買う金はどうやって稼ぐのか」 ということだ。
それこそ詐欺でもやってだまし取らない限り、生産活動からしか金は生まれない。

現代社会で生産活動をすれば、当然二酸化炭素が出るのである。
ほんまに、アホちゃうか?

こんなことは、すこし頭の回る専門家は、本当は気がついているはずだ。
にもかかわらず誰も何も言わないのは、そのことに気がついている専門家は、実は二酸化炭素なんて怖くないということにも気がついているからだろう。

要するに、本気で二酸化炭素を減らそう なんて思っているのは人の良い一部の一般市民だけであり、声高に叫んでいる連中は全然本気じゃないのである。
ただ、巨大市場になる可能性のある排出権市場に乗り遅れるな、とばかりにワーワーやっているのである。

なにせ、クールビズとか言って、持っている背広の袖をちょん切るのなら分かるが、わざわざ新調してエネルギーの無駄使いをさせるような連中が、本気でエネルギー問題を考えているわけがない。

頭の中にあるのは、排出権市場で儲けることか、原子力発電をバカバカ建てることか、ウランが高騰してウハウハすることか、核兵器を作ること。

こんなことのために悪者にされた二酸化炭素がかわいそう。


※温暖化詐欺についての以前の記事

人類総家畜化計画=「CO2脅威論」
ツバルの惨状とCO2問題 
温暖化脅威論は原子力利権そのもの 
私が国産の木材を使う理由 







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CO2排出権は地球温暖化サギ

本質的な生産活動の抑制には向わず、排出権市場での解決?(本質的には解決しない)を試みようとする世界の流れは、詐欺そのもの。 結局やりたいことは、 >> 要するに、本気で二酸化炭素を減らそう なんて思っているのは人の良い一部の一般市民だけであり、声高に...

脱炭素を真剣に考えるときなんだけど。。

 地球は温暖化していないとか、温暖化の犯人は二酸化炭素ではなく水蒸気であるとか、

読んでみたい本

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はじめまして

引用させていただきました~
CO2排出権市場、日本にも導入されるみたいですね。
日本はどれだけお金をつぎ込むことになるんでしょうか・・

下のコメントについて

管理人・明月です。たかがネット情報を収集しているだけの当ブログに、これだけの評価をしてくれてありがとう。
こういう悪意垂れ流しのコメントは、通常は無条件削除だけれども、特別に残しておきます♪

あなたのスノッブにも歪曲性を感じる。

セミプロな、活動家、ヘイトサイト、

普段はまじめに家を作っているだけに、残念だ。
やはりあなたに家を頼もうとは思えない。

事実は淡々と伝えればいいし、
誇張してまでクールビズを悪役にしなくてもいいし、
そう、CO2を悪者にしている手口と変わらないよ、これでは。

いくらもらい、どの筋から情報を得てるの?という結論になる。
個人収集の域を超えてるでしょ、情報量も質も。
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