2008-01-11(Fri)
テロ特措法と日本の貧困
アメリカのテロを支援するための特別措置法が、衆議院単独で成立した。
再可決で賛成票を投じた、自民と公明の議員は、自ら率先して「テロとのたたかい」とやらに赴いて、流れ弾にでもあたってもらいたい。
ところで、この戦争へ一直線の動きは、日本の貧困と裏表である、ということは最近つとに指摘されている。
今日は、そのことについてちょっとだけ書いておく。
■■
まず、日本の国内総生産、いわゆるGDPというものから。
これの増減が、経済成長率といわれる。
「日本の国内で1年間に新たに生産された財・サービスの付加価値の合計」などと説明されるが、わかったようなわからんような・・・
内閣府のこのページを見ると、まだしもわかりやすい。
平成18年度国民経済計算確報(支出側系列等)
これによれば、額の大きい項目は
家計最終消費支出 300兆7690億
民間住宅 18兆4716億
民間企業設備 88兆2618億
政府最終消費支出 94兆6627億
公的固定資本形成 21兆0334億
純輸出(輸出-輸入) 21兆4914億
その他も含めて合計 553兆4398億
となっている。
想像するに
我々が買い物した金 54%
家やマンションを買った金 3%
工場などの設備投資 16%
政府が使った金 17%
道路などの公共事業 4%
輸出-輸入 4%
ということなのだろう
ここで54%を占める家計の支出には、税金などは入っていない。買い物(消費)したぶんだけ。
コピー用紙を買ったりする、企業の支出も含まれていない。家計だけ。
■■
こちらには、とにかく何かの仕事をした人の統計がある
労働政策研究・研修機構 「就業者、雇用者」
「雇用形態別雇用者」
07年1月をみると、
就業者(仕事を少しでもした人) 6,278万
雇用者 5,450万
うち短時間のパート 863万
役員を除く雇用者 5,120万
てなことが書いてある
ここから分かるのは
会社役員 5450-5120=330万人
フルタイムの労働者 5120-863=4257万人
どれにも入らない人 6278-5450=828万人
どれにも入らない人のうち 700万人くらいは個人事業主と思われる
のこりの120万人くらいが、ちょっとだけ仕事した人
■■
では、みんなでいくら稼いでいるのか
パートの収入を少し多めに年100万としても
100万x863万=8兆6300万円
フルタイムの労働者の平均が06年で33.5万x12=402万
402x4257万=171兆1314万円
あわせても180兆円足らず。
ここから税金などの天引きを20%とすると、消費に回せる額は144兆円
結局、300兆-144兆=156兆円を、役員と事業主の1000万人程度が消費していることになる
一人平均、1560万円
総支給額にすると、2000万ほどになるだろうか。
しかも、個人事業主の多くは、そんなに金持ちではない。
良い見本がここにいるこの私だが、それ以外にも、ほとんど偽装請負のような形で、むりやり事業主にさせられている人も多い。
また、ヤクルトおばさん、じゃなくてレディが個人事業主だというのは有名な話。
そうしてみると、1割くらいの人数が、全体の半分くらいの所得を占有しているという構図ではなかろうか。
これでは、いくら一生懸命に働いても、絶対に儲からない。
競馬や宝くじで、胴元が5割天引きしているのと同じで、絶対に儲からないシステムなのである。
■■
個人で考えると「儲からない」「金がない」「食っていけない」という話だけれども、経済全体で見ると、絶対に行き詰まるシステムとも言える。
なぜか
先ほどの国内総生産の項目を見ても分かるように、家計の消費が伸びなければ、経済は回ならい。
当たり前だ。
いくら工場を設備投資して製品を作っても、住宅を建てても、個人の給料がなくては買うことができない。
政府の消費は全部税金なのだから、それを払っているのも、元をただせば家計の財布だ。
要するに、給料を少なくして、少ない人間からさらに搾り取るような貧困ビジネスを続けていても、絶対にいつかは行き詰まるのだ。
経済活動の原資が枯渇する。
ない袖は振れない。逆さに振っても鼻血も出ない。
もちろんその分、一部の人はガンガン儲けるから使うかもしれないが、消費よりは貯蓄や投資に向かうのは明らかだ。
かくして、金で金を買うというワケのわからんビジネスが過熱し、原油が高騰し、二酸化炭素まで投資商品にしようという動きに拍車がかかる。
■■
ともかく、このまま行くと、日本は立ちゆかなくなる。物を買うことができない大量の国民と、マネーゲームばかりしている少数の金持ちを抱えて、立ち往生する。
そのとき、どうするか。
古典的なテーマだ。
戦争という、破壊で需要を作り出し、略奪的な収益をあげる関係を国内外に作り上げるしかない。
それがうまくいくかどうかは別問題で、もうそれしか道がないところに、日本は堕ち込んでいるように見える。
そして、食えない(正確には、食えなくされている)若者が、食える兵士として動員される。
とりあえず、弾が当たるまでは食える兵士として。
■■
今日の新テロ特措法、アメリカのテロを支援する特措法は、こういう文脈で強行可決されたのだと、私は理解している。
もちろん、アメリカのポチとしての責務もあっただろうが、それだけを見ていては、ことの深刻さに気がつかない。
再可決で賛成票を投じた、自民と公明の議員は、自ら率先して「テロとのたたかい」とやらに赴いて、流れ弾にでもあたってもらいたい。
ところで、この戦争へ一直線の動きは、日本の貧困と裏表である、ということは最近つとに指摘されている。
今日は、そのことについてちょっとだけ書いておく。
■■
まず、日本の国内総生産、いわゆるGDPというものから。
これの増減が、経済成長率といわれる。
「日本の国内で1年間に新たに生産された財・サービスの付加価値の合計」などと説明されるが、わかったようなわからんような・・・
内閣府のこのページを見ると、まだしもわかりやすい。
平成18年度国民経済計算確報(支出側系列等)
これによれば、額の大きい項目は
家計最終消費支出 300兆7690億
民間住宅 18兆4716億
民間企業設備 88兆2618億
政府最終消費支出 94兆6627億
公的固定資本形成 21兆0334億
純輸出(輸出-輸入) 21兆4914億
その他も含めて合計 553兆4398億
となっている。
想像するに
我々が買い物した金 54%
家やマンションを買った金 3%
工場などの設備投資 16%
政府が使った金 17%
道路などの公共事業 4%
輸出-輸入 4%
ということなのだろう
ここで54%を占める家計の支出には、税金などは入っていない。買い物(消費)したぶんだけ。
コピー用紙を買ったりする、企業の支出も含まれていない。家計だけ。
■■
こちらには、とにかく何かの仕事をした人の統計がある
労働政策研究・研修機構 「就業者、雇用者」
「雇用形態別雇用者」
07年1月をみると、
就業者(仕事を少しでもした人) 6,278万
雇用者 5,450万
うち短時間のパート 863万
役員を除く雇用者 5,120万
てなことが書いてある
ここから分かるのは
会社役員 5450-5120=330万人
フルタイムの労働者 5120-863=4257万人
どれにも入らない人 6278-5450=828万人
どれにも入らない人のうち 700万人くらいは個人事業主と思われる
のこりの120万人くらいが、ちょっとだけ仕事した人
■■
では、みんなでいくら稼いでいるのか
パートの収入を少し多めに年100万としても
100万x863万=8兆6300万円
フルタイムの労働者の平均が06年で33.5万x12=402万
402x4257万=171兆1314万円
あわせても180兆円足らず。
ここから税金などの天引きを20%とすると、消費に回せる額は144兆円
結局、300兆-144兆=156兆円を、役員と事業主の1000万人程度が消費していることになる
一人平均、1560万円
総支給額にすると、2000万ほどになるだろうか。
しかも、個人事業主の多くは、そんなに金持ちではない。
良い見本がここにいるこの私だが、それ以外にも、ほとんど偽装請負のような形で、むりやり事業主にさせられている人も多い。
また、ヤクルトおばさん、じゃなくてレディが個人事業主だというのは有名な話。
そうしてみると、1割くらいの人数が、全体の半分くらいの所得を占有しているという構図ではなかろうか。
これでは、いくら一生懸命に働いても、絶対に儲からない。
競馬や宝くじで、胴元が5割天引きしているのと同じで、絶対に儲からないシステムなのである。
■■
個人で考えると「儲からない」「金がない」「食っていけない」という話だけれども、経済全体で見ると、絶対に行き詰まるシステムとも言える。
なぜか
先ほどの国内総生産の項目を見ても分かるように、家計の消費が伸びなければ、経済は回ならい。
当たり前だ。
いくら工場を設備投資して製品を作っても、住宅を建てても、個人の給料がなくては買うことができない。
政府の消費は全部税金なのだから、それを払っているのも、元をただせば家計の財布だ。
要するに、給料を少なくして、少ない人間からさらに搾り取るような貧困ビジネスを続けていても、絶対にいつかは行き詰まるのだ。
経済活動の原資が枯渇する。
ない袖は振れない。逆さに振っても鼻血も出ない。
もちろんその分、一部の人はガンガン儲けるから使うかもしれないが、消費よりは貯蓄や投資に向かうのは明らかだ。
かくして、金で金を買うというワケのわからんビジネスが過熱し、原油が高騰し、二酸化炭素まで投資商品にしようという動きに拍車がかかる。
■■
ともかく、このまま行くと、日本は立ちゆかなくなる。物を買うことができない大量の国民と、マネーゲームばかりしている少数の金持ちを抱えて、立ち往生する。
そのとき、どうするか。
古典的なテーマだ。
戦争という、破壊で需要を作り出し、略奪的な収益をあげる関係を国内外に作り上げるしかない。
それがうまくいくかどうかは別問題で、もうそれしか道がないところに、日本は堕ち込んでいるように見える。
そして、食えない(正確には、食えなくされている)若者が、食える兵士として動員される。
とりあえず、弾が当たるまでは食える兵士として。
■■
今日の新テロ特措法、アメリカのテロを支援する特措法は、こういう文脈で強行可決されたのだと、私は理解している。
もちろん、アメリカのポチとしての責務もあっただろうが、それだけを見ていては、ことの深刻さに気がつかない。
- 関連記事
-
- ハシモト注意報発令(大阪) (2008/01/26)
- 女性の敵 橋下とおる (2008/01/24)
- 橋下候補の公約は「仮装の利益」=ウソだと自白 (2008/01/22)
- 戸田ひさよし市議の鮮烈なる橋下批判 (2008/01/20)
- 橋下とおる候補と維新政党・新風 (2008/01/17)
- 「エロなまはげ」と橋下とおる (2008/01/16)
- 小沢一郎の欠席について (2008/01/13)
- テロ特措法と日本の貧困 (2008/01/11)
- ドル暴落と地球温暖化サギ (2008/01/09)
- 2月10日岩国市長選挙 (2008/01/05)
- 2008年を迎えて (2008/01/01)
- 佐世保乱射事件をふりかえって (2007/12/29)
- 「強制」された強制の削除 教科書問題について (2007/12/22)
- 薬害肝炎見殺し事件(犯人は国) (2007/12/20)
- サラ金の顧問に大阪をまかせていいの? (2007/12/19)